「サッカロマイセスセレビシエ」

「サッカロマイセスセレビシエ」

サッカロマイセスセレビシエ。
言って仕舞えば東京のパン屋のガイド本なのですが、これもう音読したいていうか時々してる。
構成は、パン屋の概要、インタビュー、商品紹介といたってシンプル。しかし味わいは深くて他に類を見ないほどにワンダー。すごすぎて思わず笑ってしまう。

新手の変身呪文のようですが、サッカロマイセスセレビシエっていうのは、パン酵母のこと。翻ってこの本での定義は「パンを作り上げ、パン職人を突き動かして人生を捧げさせ、そして私たちに幸福を与える見えない何かのこと」。もうこれだけでこの尋常じゃない熱量が伝わるかと(笑)

パンへの愛とその圧倒的な語彙力で、胃袋は空になり脳髄が満たされます。読んでも読んでもすぐ忘れちゃう、という人は左脳だけで読むタイプに多いそうです。この本は、右脳への刺激が強烈なのでそんな方への特効薬になりうるでしょう!

うちの近所にもカナルブレッドっていうパン屋がこの人に紹介されています(^-^)

百聞は一読に如かず。
とある食パンの紹介文を引用。

「この食パンには比喩でなく畑の香りがある。草の香りであり土の香りであり、虫やその他の有機物の香りかもしれない。それほど生々しく、荒々しい。それと相反するように歯切れも舌触りもよく食べやすい。口溶けもすばやいので小麦がもっとも味わえるのは喉の奥である。味わいは透明、なのに香りは野生。」

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