見出し画像

『うた』以外で振り返る『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』~Road to Matcha Pafe~


『うたううた』とバンド名! 衣装!

 この記事に目を通そうと思った諸ンドリーマーに今更言うまでもないのだけれど、『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』10話の詩超絆、みんな感動したと思う。マジ泣いた。あまり不器用で絶望的なコミュニケーションのすれ違いと掛け違いと逸らし合いを全部ぶち壊すステージ。光(照明)、リリック(詩)、メロディ(ギター)、リズム(ドラム)、ハーモニー(ベース)、そして観測(観客)。歌がどんどん形作られていくその過程は、ボーカルは星──故にライブハウスは宇宙そらだと、いうところまで表現されていて、彼女達を見守る、ライブハウスに居合わせた観客たる我々がのめり込まないはずがなかった。まさにバンドアニメとして一つの到達点だった、と言えるだろう。
 うん! 音楽は凄い! 音楽は人を繋げる最強のコミュニケーション! 音楽最高! 『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』、完!!!!!

放送前:どうやってあと4話で結成するんだよ→放送後:あと3話何を……?

 ──と、そうは問屋が千早愛音!
 
明ける11話、愛音ちゃんは「大事なこと」の決定を迫る。
  バンド名と衣装である。
  
ハァ?(ちいかわ椎名

極道入稿系ライブの決定に視聴者も「またライブが観れる!」でなく「お、落ち着け!」となったシーン

 歌が中身(本物)であるのであれば、ガワ(見栄)である要素。
 
敢えてそれをライブの後に置くことに、クリフハンガーとしてコミュニケーションの不和を使ってきたことへの誠実な回答だと私は感じたし、印象に残った。ちょうど再放送もはじまった今日この頃、振り返る時に参考にしてもらえたら、と鍵盤を叩かせてもらおうと思う。

『本物』に囚われない、薄っぺらさと安っぽさへの向き合い

 と、そんな表明してなんだけども、前段として他所の記事を引用させて頂きます。立っている車輪は再発明をするなとはよく親に言われたもので。
 必要な重要部分は引用しますが、まだ読んでいない方は是非目を通されることをオススメ。

 上記記事のたまに(?)苛烈に挟まる『HiGH&LOW』推しはさておくとして(今回は『HiGH&LOW』の話はしないよ!)、特に私が印象に残ったというか、「これ、私の(思ってる)ことだ……(ポロポロ」とバンギャ椎名のごとく激しく頷いたのは以下の部分。

でも同時にそういう安っぽい同情とか表面的なコミュニケーションって時には大事だよなとも思った。前々から創作における“安っぽい同情”に対する潔癖なまでの拒否感に対して疑問を抱いていたが、本作で千早愛音は堂々と安っぽい同情を示すので良かった。(中略)
 コミュニケーションにおける「必要な手順を踏む」という努力をこなすことはそれ自体迂遠で薄っぺらなものだったとしても、努力は努力であり誠実さ他ならない

『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』を観ろと叫びたい! ドロドロとした感情が痛烈に胸を穿つ

 そう、安っぽかったり表面的だったりする、ドラマティックでない部分! 所謂『社会性』。創作においては本質的でないとされがちだけど、しかし現実を生きる我々にとっては他者と共存するうえで大事な要素であり能力。
 この要素を、歌があるから無くても大丈夫!と無責任な応援の踏み台にするのでなく、その欠落や重圧をキャラクターの苦しみとして受け止め、きちんと彼女たちの歩みの両輪の片側としてその衝突と歩み寄りを描いてくれているのが、私にとってたまらなく好ましいスタンスだった。
 たとえ見栄や打算からくるものであろうと、積み重ねられたコミュニケーションは本物で、それが誰かの救いや原動力になったりする。そう、MyGO!!!!!を最終的に繋げたのは燈の歌だったけど、彼女の手を取って連れ出し追いかけたのは愛音であり、彼女をバンドに繋ぎとめようとしたのはそよだった(だからこそ、手を引かれて影に隠れてきた燈が、自分の意志で彼女達を追い、繋ぎ止めようとし、手を取るという構造がバチっとハマる)。
 ギスドリ、とはよく言ったものだが、ギスギスはそもそも双方向にコミュニケーションの意志と関係性の展望がなければ発生しない(関係性を途絶してギスギスさえ起こせなくなった10話序盤がわかりやすい)。自己完結して殻にこもりやすいメンバー揃いの中、衝突してもその手の安直でもあるコミュニケーションに拘り、関係性の維持や進行に貢献し続けた愛音ちゃんは素晴らしい狂言回しで、それは同時に、巧みなキャラ配置とポジショニングで1話から不器用なコミュニケーションの積み重ねにスポットを浴びせ続けていた、ということ意図を導き出す。だがしかし、コミュニケーションを全部振り返っていてはいくら時間があっても足りない。語りたいシーンが多すぎて椎名立希役の林鼓子さんのように全レス実況状態になってしまう。何言ってるかわからない人は是非振り返り特番↓見てね!

逆算からのテーマ選定

 というわけで、本記事では焦点、テーマを絞って音楽以外のコミュニケーションを振り返ってみたいと思う。では何に絞って?
 それには一つ、うってつけのテーマがある。13話を思い出してほしい。12話で衣装が完成してライブが成功、バンド名も成功した時点で、MyGO!!!!!のやるべきことはほぼ済んでいた。じゃあ13話で何をやったか。
 そう、打ち上げだ。

緩すぎというか経営が心配になるカフェ

 コミュニケーションの不和の先にあるゴールとして置かれた、12話(ライブ)を超えた先にある13話(打ち上げ)。この構成をみれば、表面的・社会的なコミュニケーションも大事にされているのを感じ取れると思う。 そして、このゴールに至るまでを、同種のコミュニケーション──飲食シーンと比較していけば、理解を深めるの役立つのでは? 
 ということで、飲食シーンで振り返る『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』、始めます!

各話振り返り

序盤戦

アノン・ザ・タクティクス

 1話。飲食シーン自体はほぼ無いも、愛音ちゃんがクラスカースト攻略ガチ勢であり、お昼の時間に所属したいグループを選定して動いたのは、そのナマっぽさを伝えるシーンとしてとてもよかったですね。コミュニケーションの場と飲食はニアリィイコールということでもあります。

そよ・ザ・デンジャラス

 2話。マチアプの初回アポでそれっきりになるパターンみたいな会話(表面的な会話の解像度が高すぎだろ)を繰り広げるあのそよに全俺の胃が泣いていたところに「流れ変わったな」となる燈の名前投下後ティータイム。
 砂糖ドバドバあまあまアールグレイ、そよ・ザ・デンジャラス(出典:ガルパ)に気づかず甘さだけを感じ取っている愛音ちゃんのわかりやすい比喩であり、10話へのロングパスですね。

ここ初期のCMで擦り倒すカットにしてたのズルだと思う


多分無理して羽沢のブラックを味わってる椎名
どっちが燈の分のカフェモカも飲んだんだろ

 3~4話。時系列は飛んでいますが、重要な連続シーンでもあります。というのも、ここでそよりんはカフェモカを「燈ちゃんの好きなもの」として挙げていますが、作中で燈ちゃんがカフェモカを好むシーンは出ていないんですね。そしてガルパで「別に燈はカフェモカが好きじゃない」という答え合わせがされています。つまりそよの早合点・相手の意志を確認しない押し付けということで、この後の中盤戦を予期されるような行為となっており、「飲み物を用意するような気遣いはできるが、相手のことを理解しているとは限らない」表現だったということになります。
 
 ところで、なんでそよは燈ちゃんの好きな飲み物をカフェモカだと思ったか。あんなカフェインに弱そうなのに?

 はい。最初の羽沢珈琲店での会合で、カフェモカが2杯注文されています。このうちの1人は燈ちゃんということですね。でも別に好きじゃない。睦はマンゴージュース、立希は羽沢ブレンド(あんまりアイスコーヒーをブレンドと言わない気もしますが……)と見えて、そうなるとカフェモカはそよか祥子なのですが、「好きじゃないけどカフェモカを頼んだ燈」を前提にすると、おそらく、カフェモカを頼んだ祥子と同じものを頼んだ燈、それをカフェモカが好きと覚えていたそよ、という構図なのでしょう。

中盤戦

燈を護りっきー

5 話。飲食のコミュニケーション以前に金銭の支払いが必要だと分かってるかすら怪しいさんねんせ、来たる。要家はちゃんとしつけをやり切れ。
楽奈が社会性から一番遠いことがよく示してますね……

ギスドリのピークこの辺り(後半は崩壊してギスる場が消えるため)

 卓を囲んでも、いや、卓を囲むことでお互いのズレや逃げが露わになります。策謀があったとしても、必要な衝突は必要ということで、同じ目線で顔を合わせる意義自体は間違いなくあった。

 6話……はMyGO!!!!!としては特になし。お茶する余裕もない。

定点カメラは見た!回

 7話。愛音ちゃんがお花を摘みに行く回。ケータリングや差し入れはありますが、これも飲食に気を回す余裕がないというか、余裕がなさ過ぎて手に取ってとにかく間を埋めたい気持ちがナマでしたね……。定点カメラがまとまらないメンバーをよく写しています。

あっこのアニメ飲み物出るシーンはかなり意図があるぞと示されるところ

 8話。燈ちゃんの家を訪ねた愛音ちゃんが牛乳を朗らかに受け入れるシーン。客人をフローリングに直で座らせ、牛乳でもてなすのはかなりのズレであり、普段人を家に呼ばないのがわかりやすく表現されており、かつそれをズレ自体は示唆するもポジティブな反応で返す愛音ちゃん、相手が向けてくれた好意(気持ち)は受け入れるというスタンスが表れています。ライブで緊張しててもクラスメイトが声援(期待)してくれると一気に持ち直す、というところがあり、一貫した在り方ですね。
 それはつまり、相手からの気持ちが切れたと感じた瞬間の脆さとの表裏である、というのが留学即バックレや9話の脱退にも繋がっているのですが。

 9話……もMyGO!!!!!としては無いです。じゃあ何があるんだよ、に触れるにはちょうど良さそうなのでここで番外編。

 女の話をしよう。
 人間関係おしまいコミュ力限界バンドアニメの中で燦然と輝いた、察知と寄り添いの化身たる八幡海鈴の話を。

花咲川顔良クラス編

教室でイヤホンつけてる椎名くんさぁ

 4話。八幡海鈴の初台詞シーンです。ここではエアドラムにふける立希が落としかけたジュースを拾い上げるところからで、飲食というよりは海鈴のプロフィール説明みたいなシーンですが。どちらかというと、語られているのは教室でイヤホンつけてエアドラムにふける立希、なのかもしれません。りっきーはシャットアウトしがち友達が少ない了解! これがこの二人の関係の前提です。

これみよがしに弱ってる様をみせて構って待ちの椎名、魂が妹

 6話。ディスコミュ連発して自己嫌悪になってるりっきーヘッドに海鈴が(立希の好みであろうジュースの)紙パックを乗せるシーン。既に放課後であり、帰る前にわざわざジュース買ってきたんだろうなぁと察せられます。
 この辺の『ちょっかい』っていうスタンスの取り方が本当に巧みで、弱ってる時に「弱ってるね? 大丈夫?」という優しさを椎名立希がそのまま受け入れられるか、ということを考えられてるんですね。あえてウザい立場に降りることで、相手に『気遣われた』負い目を背負わせることなく、リアクションを取りやすい形で切り出す海鈴、察知能力も出力が優れていることがよくわかります。視聴者はバンドでよしよしされて祥子コンプ爆発した立希みてるけど、海鈴はそれは知りませんからね。
 てかコミュ障さん相手には会話のスパーリングみたいな形をとれる高1,人生何周目?(ついでにスパーリングじゃなくてファイトも出来るのはにゃむ子の件で証明されとる)

こいついっつも自分の言葉で自己嫌悪陥ってんな椎名と何気にライブ予定は把握していた海鈴

 8話。またりっきーが自己嫌悪してる!!! そんなわけで相変わらず教室で「なんかあったな」空気を纏う立希。まあそれでも話しかけるの海鈴だけなんですけどね。やめよっかこの話。ちなみに6話もですがイヤホンはしていないので外部介入は拒んでいないというスタンスっぽい。ほんと面倒だなコイツ!!! そりゃバイト先のお姉さん方(実妹持ち)から構われる。妹が服着て歩いているみたいですね。妹は服着て歩くんだよ!
 
そんな椎名をみて、ライブの結果をきく海鈴。立希が成功した面をしていないというのもありますが、失敗を前提にきくことで、成功してても失敗してても相手は返しやすいというのがプレイングが上手。いつものミルクゼリーは慰めかお祝いかの両対応というのがテクニカルです。
 
そう、ライブの結果がどうであれ、慰め・お祝いとして『ミルクゼリーを渡す』という用件、話しかける建前というワンクッションを用意しているのが、立希ー海鈴間の関係では繰り返し描かれているんですね。これは今までおってきた、『共有するための飲食』とは少しズレていて、空間と会話は共有しているが、行為は共にしていない、後を考えると示唆的な一線です。

手付済

 そして、海鈴の建前を若干屈折して受けとったのか、今度は頼みごとを聞いてもらう対価として立希が買ってくる9話。話しかけるきっかけとしても、会話の目的としても使えてないあたりが不器用さんです。その結果、一度断られた立希を引かせないために高速でジュースに口を付けて借りをつくった海鈴のいじらしさが光ります。
 そしてバンド練に参加した海鈴の選択は、この記事読んでる皆様ならご存じの通り。彼女はきちんと場の状況を正しく察知し、『正しい』回答をしましたとさ。

10話アバン。白と黒。陽と陰。晴れ渡る青空と残酷な画作りの真骨頂

 10話。これまでの相手に飲み物を渡すという構図ではなく、立希が自分で飲み物を買ってその場で飲む、飲むのはブラックコーヒー。これまでうまく境界線を意識しつつ行っていた交流の断絶が伝わります。
 まあ、海鈴にとっては場を見たうえで当事者たちにとっての正答だったんですけどね。そよの発言を伝えずに何とか進めようとした立希にとっては、恨むとは言わないけど、突き放されたと少なからず感じるのも致し方ないというか。

燈は認知してた初華は立希のことも知ってたんだろうか

 11話。立希もバンドのトラブルの山場を越えたので余裕があるので、ウザ絡みも捌けるようになっています。この会話も海鈴が立希が話しやすいように拾って流れを作ってこそいますが、これまで会話の建前として必要だったジュースのやり取り無しに進むシーンは前進・氷解を感じさせるものでした。
 MyGO!!!!!の面々が打ち上げで終わるのとは対照的ですが、思惑や性格がバラバラだったMyGO!!!!!の5人が共有に至るのとは違い、立希と海鈴の2人は本来近づける距離より必要以上に線を引いていたのが是正された、ということなんでしょうね。

 以上、MyGO!!!!!関連としての海鈴まとめでした。ツールとしての飲み物が側面が強調される形でしたね。表面的なコミュニケーション(建前)としての飲み物。それは歩み寄りに必要な理解や誠実さでありましたが、同時に、一線をひいてしまうものでもあり、最終的にそれが必要なくなる性質のものであったということは、示しているのは誠実さや理解だけでなく──ティモリスの名の通りに──

『恐れることを恐れるなかれ』

終盤戦

紅茶を入れてタワマンの中心で愛音を迎え撃つそよりん

 さて、話はもどって、MyGO!!!!!側の10話。2話からのロングパスが炸裂します。そよの淹れたアールグレイを飲み干す愛音。今度は2話のように砂糖をドバドバしていない=アールグレイ本来の風味を味わっています。うん、そのままアールグレイ=そよの比喩ですね。これはさすがにわかりやすい。愛音が装ってないそよと向き合っていることが、二重に示されています
 ──同時に、しつこく追われたとはいえ、愛音を家に入れて、かつ礼儀とはいえお茶をふるまった長崎そよの心情やいかに、ということですが。勿論ホームグラウンドでの威嚇でもあったんでしょうけどね。

持ち運び適さない缶を選ぶ愛音ちゃんということかなと

 11話。ようやくここから始まったともいえる回です。
対外的には、『バンド名』と『衣装』という、何者であるかを外に宣言し・認知させるための記号の作成。内部的には、改めて同じ目標=新曲作成とライブにむけた共同作業です。
 
衣装作成もそうだね、最初は愛音ちゃん自分で作るって言ってたけど。ねえ愛音ちゃん?
 そんな中で彼女達の歩み寄り注目ポイントはこのシーン。
 楽奈ちゃんのライブ駄々っ子攻勢から逃げた愛音と立希。椅子に座る距離こそ隔てられていますが、互いに相手を認めるには障害となっていた要素、
『練習しない愛音』『キツいことばっかり言う立希』という認識を互いに改めた──ことを共有した、という儀式ですね。本当はお互い、「そう悪い(ダメな)奴ではないな……」というところまでは来ていたんですけど、コミュニケーションがかみ合わずになんとなく流してきていたところを、はっきり言葉にするには、お互いに腰を落ち着けて会話する場が必要だったということで。つまり駄々っ子した楽奈ちゃんのファインプレーだったのかもれない。

地雷スナイパーむつみん、無駄弾は撃たない

 12話。
 
ライブ成功の後にある差し入れに気づいたそよは、その送り主をすぐ察知します。そりゃあずっと見ていたからね。見ては。 
 物別れの直接的な原因としては、(13話でも示されるように)言葉選びの下手クソさなのですが、この『きゅうり』もそよと睦の断絶を示すにはこの上ないツールで。
 睦にとっては、自分が丹精込めて育てた大事な収穫物としてのきゅうりであり、かつ、そよが見たら自分が贈ったとわかるものです。育ているのはそよも知っていますからね。ですが、それはあくまで睦にとっての話で。
 そよにとっては、自分がCRYCHICの話をするときにも睦が手を止めずに優先していたものです。ガルパだと育てている作物について流れで聞いたら割と饒舌に話し出す睦に、複雑な笑みを浮かべるそよのシーンもあります。今聞きたいのは野菜の話じゃないのにね。
 なので、この場面のそよは、睦の意図というか、睦にとってきゅうりの大切さを知ってるからこそ突き返す行為を行うことを選びます。断絶の宣言に変えて。
 これが、お互いに一緒にきゅうりを食べた過去を共有してたとかあったらまた違ってたんですけどね……。残念ながらCRYCHICの春は瞬きの間で、彼女たちは駄菓子屋で曲がったキュウリを食べた団地の6人ではなかったのです。あっやべハイローの話しないっていったのに結局しちゃった。

https://x.com/unicococ/status/1697269314997588146?s=20

 その節は大変ご迷惑をおかけしました。

 なお、映画「HiGH&LOW THE WORST」の応援上映でもきゅうりの持ち込みはご遠慮くださいと注意がありました。横須賀でも皆様ご注意のほどよろしくお願いいたします。


一瞬を積み重ねた証としてのSNS投稿

 そして13話。最初に宣言した通りに、遂に打ち上げにたどり着きました。
 5人全員で、同じ卓を囲み、同じパフェを食べる。共同体としてのバンドが、ライブ以外で行った、行えるようになった共同行為。なんでもない一瞬かもしれません。でも、彼女たちは一瞬一瞬を積み重ねていくことで一生を実現すると決めたうえで重ねた一瞬、としてみると大きな区切りであり、スタートです。そして、それを形にしてみせてくれたのはまたしてこの女、千早愛音。彼女は打ち上げのパフェを『#一瞬一瞬で一生』タグと共に投稿します。
 一瞬は見えないものです。でもその切り取った一瞬がSNSに投稿され、証して重なっていく。かつてCRYCHICのSNS担当大臣であったそよりんが、愛音ちゃんの高速投稿に呆れつつもうれしさを隠しきれなかったのは、そういう、みえない・不確かなものを現実に降ろすことを大事にする価値観が通じているからなんだろうね、と。

終わりに

 振り返りまとめ

 というわけで13話分の振り返り、お付き合い頂きありがとうございました。詩超絆の突破力、パワーもすごかったですが、詩以外でどうつながっていくか、どうやって歩み寄っていくか、も大事に描かれていたのが改めて見直せたのではないでしょうか。『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』はライブシーンだけじゃなかった! 不器用ですれ違っても、歩み寄り寄り添っていこうとする人間関係の物語でもあった!
 初見ではただの日常光景だったものが、振り返ってみると思った以上に示唆的に、補助線的に置かれている。話を知ったからこそ理解できるシーンの背景、ちょうどTOKYOMXやBS日テレで再放送の始まった今、是非いろんなシーンに注意を払いながら再度みるのをお勧めします。きっと、新たな発見や解釈が生まれてくるでしょう。





レシートを取る祥子に声を漏らす睦のシーンも見ようね!

 2話の祥子が羽沢珈琲店で「おいしい」といったシーンが、『お嬢様でも唸らせる味』という意味合いでなく、『久々に良質な嗜好品を味わったシーン』に変わるような反転が。

おしまい

 というわけで本当に申し訳ない。ここまでが前振りでした。
 『歩み寄りの結果としての打ち上げ』
 『同じものを一緒に口にすること』
 『一瞬一瞬を積み重ねていく一生』
が13話で示されたということを
念頭に置いてぼうきゃくして、示された以下のシーンを噛みしめることで、本記事をおしまいにします。

©BanG Dream! Project

メンバーと打ち上げをおこなえず、
一緒に口にすることのない酒の空き缶空き瓶が
積み重なっていく無間へ帰っていった、
豊川祥子の境遇への理解が、よりクリアになったことを噛みしめながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?