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JAZZ-FUSION SUMMIT 2024に参加して

関東は梅雨も明け、熱中症警戒の気温の高さになった7月20日。
国内有数のジャズ・フュージョンバンドが一堂に会する大型イベント、JAZZ-FUSION SUMMIT 2024に参加してきたので、簡単に感想を書いておこうと思う。

JAZZ-FUSION SUMMITは2023年に初開催された、その名の通り国内のジャズ・フュージョン界隈のミュージシャンによる音楽の祭典である。
前年の好評を受けて、今年2024年も開催されることになったようだ。

出演するのは以下の通り。非常に豪華な面々だ。
BLUE NOTE TOKYO ALL -STAR JAZZ ORCHESTRA by ERIC MIYASHIRO
T-SQUARE
かつしかトリオ
coba x 沖仁
THE JAZZ AVENGERS

非常に豪華であるのはもちろん、日本のジャズフュージョンを支えてきたレジェンドから、新世代まで、非常に年齢層の厚い面々となっている。
ちなみに個人的にこのライブを知ったきっかけは、かつしかトリオである。
かつしかトリオを生で見るタイミングをずっと伺っていたのだが、
そんな中でこのイベント参加することがわかった。
他のメンバーを見て個人的に垂涎ものだったため、参加することを決め、無事チケットを確保することが出来たというところだ。

場所はTOKYO DOME CITY HOLE。
東京ドームシティの敷地内にあるライブハウスで、目の前に東京ドームがある立地。
かなり久々にきた印象で、陰陽座の復活公演の時以来かな?
ちなみにこの日はという今日ドームで都市対抗野球のJR東日本VS西濃運輸の試合が行われており、その観客及び応援団でも人がごった返していた。
それにしてもこの日は暑すぎて並んでいるだけでも具合が悪くなってしまいそうだった。
この日は16:30開場で、17:30開演で席指定なので入場に混乱はなかったが、暑すぎたので速攻入場。
この日は第3バルコニーでライブを拝見。
そもそもチケット先行の段階でS席、A席らくせんでのB席でのスレスレ確保だったわけだが、ステージ全体を上から見下ろせる席で、演奏陣の挙動を見る上では、むしろ個人的にもの凄く良い席だった。
(ちなみにこの日のチケットは、立ち見まで含め、ソールドアウトだった模様。)

先にステージのセッティングについて触れておくと、
この日に出演するバンドの楽器や席が既に全てセッティングされており、
閉幕→楽器転換のような、メタルフェスでよくある感じではなかった。
ざっとした配置としては、
ステージ下手手前がギター陣、上手後方がキーボード陣、
ステージ上手はビッグバンド用の席
ステージ中央横一列にはベース陣で、後方横一列には4台のドラムが並び、
上手右奥にはパーカッションセクションがあった。

17:30オンタイムでライブはスタート。

【THE JAZZ AVENGERS】
まず開演すぐ登場したのは、THE JAZZ AVENGERS。
川口千里をリーダーとして、Gt、Ba、Key、Drumのリズム隊に加え、ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス✖️2という8人構成によるジャズバンドで、これまでに2枚のオリジナルアルバムを発表している。
今回この8人編成ということで、ビックバンドに近いアッパーサウンドなのかと思っていたが、実のところそうじゃない作風なのがある種、魅力的と言えるかも。
適度にテクニカルな感じで、とっつきやすさもある。
現場によっては怒涛のようにテクニカルに叩きまくる川口千里も、アンサンブル重視で控えめな印象だ。
少ない曲数だったが、会場に手振りをさせたり、存在感は十分に見せつけた。
(やったと思うセトリ)
Unite
exploration
8steps
As you like

【ドラムセクション】
ジャズアベが終了してメンバーが全員袖にはけるかと思ったら、川口千里だけステージに残ってドラムソロをスタート。
そしてソロの最中に、神保彰、坂東慧、仙波清彦がポジションに。
そこから1人ずつのソロで回していくというドラムセクションとなった。
皆で回した後は、神保彰ワンマンオーケストラの要領でチックコリアのSPAINを全員で披露。
まさかこの会場でワンマンオーケストラまで聴けるとは思っていなかった。

このセクション面白かったわ。何がって?仙波の師匠が笑。
高速パーカッションを披露したと思ったら突然止めて「これくらいにしといてやるか」とか言うし、パーカッションすらせずにスマホ耳に当てて「今ライブ中なんで」とか終始おちゃらけて楽しませてくれた。
プレー的な部分でも、Synchronized DNAみたいな物ではなかったが、菅沼DNAの2人と神保彰の調和の取れたSPAINは非常に見応えがあった。

【かつしかトリオ】
SPAINが終盤に差し掛かると、舞台下手から白い衣装の怪しい2人組が笑。
そしてかつしかトリオの演奏にそのまま入った。
ようやく生で見ることができた。
このバンドは、俗に言う、第1期CASIOPEAの野呂一成以外のメンバー、向谷実、櫻井哲夫、神保彰によって結成された3ピースフュージョンバンドでおる。
CASIOPEAは元々野呂と向谷が中心となって結成したバンドだが、CASIOPEA 3rd活動時に、向谷実は参加せず、なぜ参加しなかったかは現在も理由はわかっていない。
いずれにせよそういう事情の下、第1期メンバーで構成されているバンドであることから、こちらの方が往年のCASIOPEAサウンドだと評価している人も多いようだ。
JIMSAKUのプレーは神保還暦ライブで見たことはあったものの、向谷氏のプレーを生で見るのはこれが初めてだったが、YAMAHA MONTAGEの色々な音色を駆使した演奏は、ゴージャスというか煌びやかで素晴らしかった。
3人のバンドアンサンブルも各パート出過ぎず、引っ込みすぎず、絶妙なバランスだったように思う。
個人的な経験上、どうしてもCASIOPEA 3rd(現在はP4)との対比で聴いてしまうが、やっぱりそれぞれ別物という印象を受ける。
既出アルバムが1枚だけだし、ファーストアルバムの曲がミディアムな曲が多いので、バンドとしてはまだまだこれからというところか。
今度発売される2ndアルバムではかなり早いチューンも入っているようなので楽しみ。60歳越えのバンドにこれだけワクワクさせることも中々ない。
なお、この日は向谷氏の司会ぶりも絶好調だったことも付け加えておきたい。
(やったと思うセトリ)
Bright Days
ミライ
柴又トワイライト
a la mode
Red express

【T-SQUARE】
かつしかトリオの卓越なプレーを終えたのち、3人が舞台袖にはけるかと思いきや、向谷は壇上に残り、T-SQUAREの伊東たけしがステージに登場。
向谷の演奏でForgotton Sagaを演奏。
その後のSNSの投稿を見ても、これは作曲者であり無くなった和泉宏隆に捧げた演奏だったようだ。
ただこの2人での演奏は、CASIOPEA VS T-SQUARE以来になるのかな?観客からはどよめきが起きるくらレアな演奏であったのは間違いない。
実際、この演奏には胸が熱くなった。
2人の演奏が終わったら、T-SQUAREが登場。
現在、T-SQUAREの正式メンバーは伊東たけしと坂東慧の2人だが、この日のサポートは松本圭司(key) 、 田中晋吾(b) 、 杉村謙心(g)のラインナップ。
ここまでは予告されていたが、途中からサプライズで本田雅人と仙波師匠も参加。最終的には周年ライブで見れるような豪華ラインナップとなった。
初期アルバムからの曲から、昨年発売の45周年記念アルバムからの曲まで披露し、幅広に楽曲を披露。
特にMarverick Moonは伊東・本田のツインによる圧巻の演奏。
本田作曲の楽曲で、さながらBad Moon パート2のような様相をみせる難曲を見事に演奏していた。
本曲途中、伊東と本田のノーガード殴り合いのような即興掛け合いは会場の熱を上げ、本当にワクワクさせられた。テンションが上がったのか、本田雅人も煽りに煽りまくって、一瞬「勘弁してよ」的な表情を見せる伊東も面白かった。(演奏止めてたしw)
ちなみにこの日坂東のドラムは、ワンタムタム、ワンフロアのいわゆる3点セットという珍しいセッティングだった。(川口千里曰く、男前セットとのことw)
(やったと思うセトリ)
DANSAN DE CHAMBRE
Marveric Moon
A FEEL DEEP INSIDE
TEXAS KID

【coba&沖仁】
T-SQUAREの後に20分間の休憩を挟み、再開して始まったのがこのパート。
今回個人的に最もエモーショナルなパートだったと言える。
アコーディオン奏者のcobaとフラメンコギタリストの沖仁によるコンビだが、演奏の途中で仙波師匠がドラムで参加、さらにかつしかトリオの櫻井哲夫も入り、最終的にはバンド編成のような形となった。

いやー、生で聞くアコーディンとフラメンコギター、そしてその絡み合いがこんなにも良いものだとは知らなかった。
その叙情的で煽情的な旋律に終始ドキドキさせられた。
二人の演奏ももちろんだが、途中仙波師匠によるドラム演奏がまたタイム感やタメの間に味があって物凄く良かった。なお、今回このライブにあたっては、渡辺香津美とcobaが一緒に出る予定だったらしいが、渡辺が倒れてしまったことから叶わなかった。
CRIMSON STRINGSというのは渡辺からインスパイアされてcobaが作曲した曲とのこと。
(やったと思うセトリ)
カンパーナ
CRIMSON STRINGS
エルマーレ
時間のプレイリスト
リベルタンゴ
悲しみの神

【BLUE NOTE TOKYO ALL -STAR JAZZ ORCHESTRA by ERIC MIYASHIRO】
トリを務めるのは、トランペッターのエリック・ミヤシロが率いるジャズビックバンドによる演奏。
実は個人的に、今回ここに参加する、ベースの川村竜の生演奏を見ることをとても楽しみにしていたし、実際に見れて感激した。
川村竜はウッドベースの世界大会で1位になったこともある、超実力派ベーシストである一方、ミートたけしの名で格闘ゲーマー兼YouTuberとしても活躍している。
日頃YouTubeで毒?を吐きまくって、「音楽(本業)の話はいいや」みたいな感じで言っているので、ミートたけしの本業、もとい川村竜のプレイを見てみたいとは思っていたが、今回それが叶った形だ。
実は今回このビックバンドに参加のエリック・ミヤシロやトロンボーンの中川英二郎といった面々は、ミートたけし放送で名前を聞いたこともあったので、そういった面々の生演奏が見れたということにも感激した。
なお、本バンドには先ほどT-SQUAREで演奏した本田雅人や、ジャズアベで演奏していた川口千里や米澤美玖も参加している。
演奏自体は、ビッグバンドでの演奏でありながら、曲ごとに楽器をフィーチャーし、そのプレイヤーが前に出てきて演奏するというスタイルだった。
(やっと思うセトリ)
Assasin
Saint Pole
First Circle
The Dream

【アンコール】
アンコールはビッグバンドを基軸として、各バンドの曲をビッグバンドアレンジで数珠続きに演奏するというもの。それぞれの曲で今日参加した4組を呼び込んで演奏をしていた。
結果的にアンコールの総時間だけで25分近くになっていた。
そういえば、演奏中にエリックと川村が示し合わせて、宮本貴奈におかずの音を入れろ的に煽っていたな。この場面だけでなく、エリックと川村がアイコンタクトとってニヤッとしているところがあったように見受けられたと記憶している。


気づけば21:00を回っていたが、国内最高峰のJAZZおよびfusionを堪能することができた。
インストが打ち込み主流になってきている中、生演奏の魅力に存分に引き込まれた魔法のような夜だった。





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