見出し画像

妊婦マークをつけた男性に席をゆずった話

息子が高校に通っていたころの話。

息子の高校はとても遠く、始発から終点までまるまる乗っていくようなところにあった。

朝も早く帰りも遅いので、出来る限り電車の時間を有効に使って欲しくて、眠ったり勉強したりできたらいいなと母としては思っていた。

ところが謎に正義感?が強い息子はせっかく始発で座ってもお年寄りや怪我をしている人などを見ると席を譲ってしまうため、ほとんど終点まで座っていくことはないようだった。

「お願いだから席ゆずらんでよー」

と私が頼み込むように言うと、

「気になって座ってる方がつらいもん」

と言うので、

「知らん年寄りの健康より、お母さんはあんたの身体が大事やもん」

「すぐに寝ちゃえばいいんだけどねー」

と笑う息子。

そんな息子に聞いたある日の出来事。

「パって見上げたらさ、30代くらいのスーツの男の人がさ、妊婦マークつけたカバンを持ってたんだよ。よく見ても妊婦マークでさ。すっごい悩んだけど、譲ることにしたんだよ」

「はぁ?男の人なんでしょ?」

「うん、でもマークつけてるんだもん。譲るしかないじゃん」

「あんたって子は…」

「でね、おれが、座りますか?ってそのおじさんに声かけたら、「ありがとうございます」って答えてさ、まわりの空気が一瞬ざわついたんだけどさ、そのおじさんが後ろにいた女性をうながしてさ」

奥さんのカバンを旦那さんが持ってあげてたのねー。

いやいやまぎらわしいやんww


「ゆずってよかったよー」

すげーな、息子よ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?