エアリズム小笠原

夜のテニスレッスン。プリンスのラケットを操るコーチ小笠原と私はストロークをしていた。さすがに仕事終わりのレッスンは中高年にはキツい。もうほんの少し動いただけで、ゼエゼエ息切れだ。1on1のレッスン終了後、小笠原からの話は足を下げずに前に、横に出して、というものだった。しかし、そんな話が耳に入ることを小笠原の胸元が遮った。小笠原はポロシャツを着ていたのだが、このクソ暑いのに、その下に下着を。あれ?これはもしかして、昔ジョコビッチとスポンサー契約を結んでいたユニクロのエアリズムか?コーチ、それエアリズム?やっぱりそうだった。しかしエアリズムは汗を吸い取るどころか、ビシャビシャでヨレヨレだった。ヨレヨレと言えば思い出すのが、交通誘導員ヨレヨレ日記だが、そんなヨレヨレを小笠原のそれは上回っていた。男子テニスを長年牽引してきたのは、紛れもなくジョコビッチであり、テニスのコーチがジョコビッチを尊敬するのは当然のことだ。しかしである。ヨレヨレはあかんよ。それだと交通誘導員になっちゃうからね。その日を境に小笠原はエアリズム小笠原と呼ばれるようにになったことは説明不要だろう。今日もエアリズム小笠原は、子門真人の髪型をなびかせて、プリンスのラケットをスイングする。がんばれエアリズム小笠原!

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