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【DEEP】フェザー級新王者・弥益ドミネーター聡志「初めて梅田恒介さんの指示を実行できたことが、すごく嬉しいです」=10.27「DEEP 86 IMPACT」

10月27日、東京都大田区総合体育館で開催された「DEEP 86 IMPACT」。三大王座戦の最初に組まれたDEEPフェザー級タイトルマッチでは、6月大会ノンタイトル戦で芦田崇宏(BRAVE)に一本勝ちしていた弥益ドミネーター聡志(team SOS)が、今回は「挑戦者」として王者・芦田崇宏(BRAVE)と再戦。判定0-5で弥益が勝利し、新王者に輝いた。

▼第14試合 DEEPフェザー級タイトルマッチ 5分3R
×芦田崇宏(BRAVE/王者)
[判定0-5]※27-30×4、28-29
○弥益ドミネーター聡志(team SOS/挑戦者)
※弥益が第9代王者に。芦田は初防衛失敗。

遠い距離からの打撃、近距離での打ち合いも制し、離れ際には前戦同様にサッカーキックも繰り出して行った弥益。組みの展開でも芦田の両足を束ねてのドミネート、スクランブルでの切り返しなど、新たな引き出しもみせた。

前回の対戦で「せっかく3Rルールでサッカーキックも解禁されているのでやってみたいと思っていた」とトライした蹴りの残像が芦田に植え付けられていたのか、弥益は「おそらく芦田選手は前回の試合が記憶に残っていて、僕の動きにビビって反応してくれた。だからやりやすかった」と試合を振り返る。

「前戦は棚ぼた的に芦田選手と試合をさせてもらって、実力的にはDEEPのなかで“すごく強い選手”ではないかもしれませんが、自分としては“怖い選手”になりたいという気持ちがありました」と語っていた弥益。その怖さが、初戴冠に結びついた。

第9代DEEPフェザー級王者となった弥益は、DEEPには2011年の「アマチュアDEEP MMA☆FIGHT☆in水戸」から出場。JMLやPANCRASEを経て、DEEP八王子、DEEP名古屋、DEEP富士山、DEEP浜松などの地域大会で揉まれながら、東京開催のナンバーシリーズ出場を果たしてきた。

試合後、ベルトを腰に巻いた弥益は、苦戦が続いた地域大会からセコンドについて導いてくれた梅田恒介さんへの想いを語った。共同インタビューでの一問一答は以下の通り。

◆弥益ドミネーター聡志「“ドミネーター”の片鱗を見せられた」

──ベルト獲得、おめでとうございます。

「ありがとうございます。疲れました」

──試合を振り返って、率直な気持ちを教えてください。

「自分のイメージとしては、1ラウンド中盤くらいでもう1回、自分のトリッキーなスタイルで仕留められるかな、仕留めないと厳しいなと正直、思っていました。自分としては初めて、いろいろやった試合になりました。今までやったことがない、試合で出したことのないことをやったので、ひとつ自信になりました。まだ強くなれている、という気づきのある試合でした」

──今まで見せたことがない動きとは?

「途中でつまらない展開になってしまったかもしれないですが、グラウンドになって上になって相手を固めるというか、いわゆるドミネートと言いますか……。今までずっと“ドミネーター”という名前がついている割には、全然、そういう試合をしたことがなかったので、今回は少しだけ、その片鱗を見せられたのかなと思います」

──4カ月ぶりの再戦。芦田選手からも「やり返したい」という発言がありました。あらためて肌を合わせた感覚はいかがでしたか。

「自分の感覚ですけど、芦田選手はたぶん前の試合の結果がチラついているというか、こちらの動きにすごく反応してくれたので、そこはすごくやりやすかったです。ちょっとしたフェイントでもしっかり反応してビビってくれたので、前回のああいう勝ち方が出来たことが、自分のアドバンテージになったと思います」

──1Rから前回同様サッカーキックが出ましたが、2Rは下になってパウンドをもらったりリバーサルという展開もありました。あのあたりは勝利への執念が出たのでしょうか。

「勝ちへの執念というより、あのあたりは単純に自分が弱かった。芦田選手が強いというのでもなく、自分が弱い」

──遠い距離から打撃を当て、そのなかで芦田選手と距離が近くなったときは打ち合いになりました。そのときに芦田選手が結果的にテイクダウンを狙ってきたことは、どのように感じましたか。

「打ち合いは……本当は自分はもっと遠い距離でやるべきだったと思うんですけど、今日は自分もちょっと打ち気になってしまって、何回か近い距離で打ち合いの状況になってしまいました。やっぱり芦田選手は前の試合のことがチラついているのか、ほぼこっちを見ないで左右のフックを振るというスタイルだったので、ビビッてくれているところがあったので、もっとそこで冷静に自分が見れて、アッパーを突いたりできれば良かったです」

──「今まで見せたことがない動き」のひとつには接近戦も入っていたかと思いましたが、接近戦はやりたくなかったと?

「いや……実は自分は喧嘩みたいな打撃も好きで、スパーだと結構バチバチもらいながらやっているんです。茨城のT-BLOODなどで大きな人とたくさん殴られながらやっているので、殴り合いは上等とは言わないですけど、多少はつきあっても、こっちにチャンスは、分はあるかなと思っていました」

──後半のスクランブルの展開でも優位に立ちました。新たな面を見せたと思いますが。

「こんなこと(自分が)できるんだって、試合中に思っていました(笑)。今日、梅田恒介さんにセコンドについていただいて、自分は梅田さんにマネージメントをしていただいて、ずっと名古屋DEEPとか出させてもらっていたのですが、梅田さんにセコンドについていただいていた時に一回も勝てていなくて、自分が梅田さんの指示を実行できる実力が全然、伴っていなくて、それがすごく申し訳ないと思っていました。今日、初めて梅田さんの指示を実行できたことが、すごく嬉しいです」

──試合前の挑発的な発言は、戦闘モードに持っていくためだったのでしょうか。

「自分、毒舌キャラになっちゃってるので、そこの脅迫観念はないわけじゃないです(苦笑)。でも、挑発することで、(相手が)打ち気になってくれることを願っていた部分はあって、自分のイメージとして芦田選手は上迫戦などを見てもスタミナがあって強いなと感じていたので、挑発して打ち気になってくれたほうが、自分にメリットがあるなということもあり、ああいう発言をさせていただきました」

──改めてチャンピオンベルトを巻いた気持ちは?

「選手としては月並みですが、やってきたことが一つ形にすることができたかなという想いはあります。ただ、格闘技を始める前から格闘技を見ていて、DEEPのことも知っていて、凄い選手がいるなと思って観てきたなかで、正直、自分がチャンピオンになっちゃって、DEEP大丈夫か(笑)という気持ちもちょっとあるので、それはそれで複雑というか(苦笑)。大丈夫かなという気持ちなんですけど」

──DEEP王者の器ではないと?

「器じゃないです。チャンピオンなんてとんでもないです。いろんな意味で大丈夫かなっていう気持ちがあります」

──今後の格闘技の目標は?

「格闘技を始めた頃から一つの夢として持っているのは、海外で試合をしたいというのがあります。普通の会社に勤めてしまっているので、海外となると結構長めに休みを頂かないといけないというのと、色々と弊害が多いのですが(苦笑)、だからこそ海外に挑戦してみたいという気持ちもあります。そこに向けて動いていければと思っています」

──「海外で」という言葉には、梅田さんが挑戦し、結果を残せなかったROAD FCも含まれますか。

「そうですね。ROAD FCはあります。梅田さん、本当に強い選手だと思っていて、その梅田さんが悔しい結果になったROAD FC、それにもちろん今勢いのあるONEとか、海外で強い選手とやって、自分の格闘技の新しいステージに行ってみたいという気持ちはあります」

──DEEPのベルトを巻いて、梅田さんから何か言葉はありましたか。

「『試合中、ようやくお前、俺の言うことを聞いたな』って……。嬉しいというか、厳しい言葉をいただきました。梅田さんは引退されるときに、『もう格闘技を見ていてもあんまり燃えなくなった』と言われていて、それが引退のひとつの理由になったと思うんですけど、今日は試合直後に、『なんか久しぶりに格闘技を見て泣きそうになった』と仰ってくれて、それが今日一番嬉しかったことです」


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