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【RIZIN】リングとケージで異なる難しさ──元谷友貴「リングの外に逃げられて……ああいう展開は今後も出てくる」、祖根寿麻「なんであそこでバック見せて逃げたのか」=8.12『RIZIN.12』

8月12日『RIZIN.12』(ドルフィンズアリーナ・愛知県体育館)セミファイナルで、元DEEPフライ級王者の元谷友貴(フリー/初代・)と現修斗環太平洋バンタム級王者の祖根寿麻(ZOOMER)が対戦。元谷が2R4分32秒、リアネイキドチョークで一本勝ちした。(写真=RIZIN FF/GONG KAKUTOGI Masaru Kawabata)


試合は、KrushでKO勝利の実績もある祖根が、スタンドで圧力をかけていく展開に。

左ジャブを返していく元谷に対し、詰めた祖根はケージレスリング同様にコーナーを使いダブルレッグでテイクダウン狙いへ。しかし、元谷もカウンターで再三のギロチンで応戦。ここで得意のスイープで後方に回す元谷だが、祖根の身体がロープ外に出るなど、リングゆえの攻防の難しさが現れてしまう。

さらに、フィニッシュとなった元谷のシングルレッグに背中を向けて片足を抜きながら正対できなかった祖根。その際で背中についていき、ロープ間のスペースでバックを奪った元谷。リングとケージは異なるものの、勝負の瞬間を逃さず極めきった元谷が、難敵を退けたバンタム級の一戦だった。

▼第11試合 RIZIN MMA特別ルール 61.0kg契約 5分3R ※ヒジ打ちあり

○元谷友貴(フリー/初代・第3代DEEPフライ級王者)

[2R 4分32秒 リアネイキドチョーク] 

×祖根寿麻(ZOOMER/修斗環太平洋バンタム級王者)

【試合展開】

1R、ともにオーソ。先に左インローから入る元谷。圧力をかける祖根はワンツー、右アッパーを打ち込んでいく。元谷はブロッキング、離れて右ロー。祖根はコーナー詰めダブルレッグへ。クラッチを組み、リフトしてテイクダウンを決める。

ハーフガードの元谷はアームインギロチン。上体を立てた祖根にギロチンをクローズドガードの中に引き込んで入れる。頭抜く祖根は左腕を枕に巻くが、元谷の頭がロープ外へ。ストップドントムーブで両者頭をリング中央に向けられ再開。元谷は祖根の右腕をオーバーフック。さらにZガードから右手で左足を手繰りに行く。

警戒し体を離す祖根は鉄槌1発もその空いたスペースで上体を立てていく元谷は、寝かしに来た祖根の頭が下がったところに右腕を巻き、今度はハイエルボーのノーアームギロチン! 後方に回すと祖根の身体がロープ外に出てしまう。

スタンド再開。左ボディから右顔面、あるいは右ボディから左顔面と対角に散らす祖根。元谷は左ジャブを突き返し、左フックを当てる。祖根は右アッパー、縦ヒジ狙いで前に出るとガード固める元谷はカウンターの左フック狙い。左跳びヒザから近づき、右で差して組み付く祖根。頭を元谷のアゴ下につけて押し込み右で足払い! しかしすぐに立つ元谷はコーナーにいる祖根に逆に大きな左右を振り組み付くが、差し返した祖根が突き放すと、互いに右ローを2度当て返してゴング。

2R、左ローの元谷に右ロー連打は祖根。さらに右アッパー・左フックのコンビネーション。元谷はそこにカウンターを狙う。腹から上を突く祖根に元谷は左ジャブもコーナーに詰まり、祖根はダブルレッグに! 頭を脇に出し、尻下で組んで倒した祖根に対し、元谷はガードから祖根の足に外掛けへ。後ろを向いて足を抜く祖根のバック狙う元谷だが、すぐに正対する祖根。そこで上を取る元谷。祖根の下からの三角絞め狙いを早めに潰すと、祖根もすぐに上体起こしダブルレッグへ!

そこに左手でノーアームのギロチンチョークは元谷。祖根は両足を右に振り左足でまたいで頭と対角でテイクダウン。ギロチンを防ぐ。ハーフの元谷は右手で腰を押しガードに戻して立つとそこに三度ダブルレッグに入る祖根にまたもノーアームでハイエルボーのギロチンチョークで引き込み! ここもコーナーに詰まる元谷に対し、首を抜いた祖根は右ヒジを狙うが、その際で祖根の右脇を潜り抜ける元谷!

バックにつくとヒザ。正対してきた祖根にコーナー際でダブルレッグを仕掛ける。左手でスイッチを狙う祖根はコーナーを使って背中を立てて行くとダブルレッグで組み付く元谷の頭に右ヒジを落とす。元谷も頭をアゴ下につけて押し込んだまま空いた左手で祖根の顔にパンチ。元谷は祖根の左足を右の小外で刈ってバックを狙うが、両者足を立ててスタンドに。

右ローを当てる祖根。左ジャブ2発でけん制する元谷は、祖根の左の打ち終わりにシングルレッグへ! いったん尻をついた祖根はすぐに片足立ちになるが、なおも足首を掴む元谷に祖根はバックを見せながら足を抜きに。足が抜けた瞬間に背中についた元谷! 左足をかけながら崩すと素早くバックから両足をかけていく。

一瞬、互いの上体がロープの外に出るが、その際で祖根は脱出を試み、元谷もロープ間のスペースがあることでバックについていくことが可能に。一瞬、場外のレフェリーからリングに戻される両者。両足をフックした元谷は左腕をのどもとに食い込ませて右手を後ろ頭に組むと祖根が右を向いたところでさらに深く腕が入り、タップ。元谷がリアネイキドチョークで一本勝ちした。

試合後、リング上で元谷は、「DEEPの元谷友貴です。祖根選手が試合前から盛り上げてくれてちょっとナメてたんですけど強かったです。やっぱり修斗王者です。でもしっかり勝てたんでよかったです。自分は公武道ファイト出身で、名古屋がキャリアのスタートだったんで、またここで試合ができて本当によかったです。まだ、テイクダウンを取られて弱かったんで、もう少し強くなって帰ってきます。応援よろしくお願いします。ありがとうございました」と挨拶した。

◆元谷友貴「一個ずつ勝って、大晦日のRIZINに繋げられたら」

──試合を終えた率直な感想をお願いします。

「序盤結構ペースを取られたのでヤバいなと思いつつ、最後はしっかり(一本を)取れたのでよかったです」

──祖根選手と戦った印象は?

「思ったよりもMMAをしてきましたね。もっとブン殴ってくるかと思ったんですけど。いきなりテイクダウンも混ぜて綺麗にMMAをしていたのでびっくりしました」

──そこにギロチンチョークを様々な形で極めにいきました。手応えは?

「正直、2本くらいはもう極まったと思って……1本目と3本目かな、結構深く入って、ああもう極まると思ったんですけど、リングの外に逃げられてしまって……まあでも、ああいう展開は今後も出てくると思うので、あれにこだわらずしっかりリカバリーできるように強くしていけたらなと思います」

──途中足関節からと、相手のヒジ打ちの際で脇を潜り体勢を入れ替える場面がありました。

「下からのリバースは柔術、というか、外掛けなのでMMAの動きで返すことができました」

──最後はシングルレッグからバックを奪い、極め切りました。

「そうですね。あそこでバックを取れて勝負どころはココだ! と思ったので。全力は尽くせました」

──今後については?

「とりあえず一個ずつ勝って、今年の年末に繋げられたらなと思ってます。大晦日のRIZINに繋げられるように。まだ4カ月くらいあるので、試合できたらなと思っています」

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◆祖根寿麻「いつもだったら絶対にやっていない動きが出てしまった」

──試合の感想を。

「全部、いいペースで運べているなと思ったんですけど、ひとつのミスで……」

──序盤、祖根選手からダブルレッグでテイクダウンを取りに行きました。

「普段はあそこでテイクダウンは行かないんですけど、相手の作戦を狂わせようかなと思って。あそこでダブルレッグでテイクダウン出来たときに、やっぱり(元谷が)前に出て来なくなったんですよ。そこは作戦で頭使いました」

──自分のペースが狂ったなと思ったタイミングはありましたか?

「バックは気をつけていたんですけど、手を掴んだなと思ったらロープを掴んでいて、日ごろの行いが悪かったです(苦笑)」

──いったん上体がロープ外に出そうになりました。

「あー、ヤバい(ロープ外にまた)出ちゃうなと思って、自分で後ろに戻りました。そのときに元谷選手のチョークに来た前手を掴んだなと思ったら、それがロープでした」

──実際に戦ってみて元谷選手の印象は?

「いやーやっぱ強かったですけど、全然いけるなと思ってたんですけど……やっぱり強かったです」

──フィニッシュの前で、相手のシングルレッグに背中を向ける形になりました。足は抜けてもバックを奪われた場面をどうとらえていますか。

「そうですね。あの展開も、なんであそこでバック見せて逃げたんだろうという……ほんとう、自分のダメなところが出たというか。いつもだったら絶対にやっていない動きがここで出てしまいました」

──ケージとリングの違いも影響しましたか。

「そうですね。あっ顔出ちゃったなって。ケージだったら背中つけて(ケージを使って)立っていけるっていう……」

──今後の展望や目標があれば、教えてください。

「負けて言うのもなんですけど、正直、全然まだ自分を出し切れていないので、もっと出していきたいです」

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