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【RIZIN】衝撃KOルイス・グスタボ「父との約束のためにずっと勝ち続けなければいけなかった」、矢地祐介「これから俺の時間だというときにカットがあって……」=8.12『RIZIN.12』

8月12日(日)『RIZIN.12』(ドルフィンズアリーナ・愛知県体育館)メインで、RIZIN5連勝中の矢地祐介(KRAZY BEE)と、ヴァンダレイ・シウバ推薦のルイス・グスタボ(EVOLUCAO THAI)が対戦。2014年のプロデビュー以来無傷の8連勝で全てKOか一本勝ちでフィニッシュしているグスタボが、RIZIN初戦となったこの試合でも2R2分32秒、矢地祐介をKOに降し、9連勝を飾った。

荒削りなようで懐の深い打撃だったグスタボ。矢地の右のクロスを防ぐと、テイクダウンを奪われてもスタンドへ復帰、コーナーに詰めて逃げ場を無くしてのヒザの二段蹴りなど、際の攻撃や決定力の強さも際立った。何より、1Rから終始圧力をかけ、矢地の距離・ペースにさせなかったグスタボのスタミナ・気力は、日本でのチャンスをモノにしようとする22歳の強いハングリー精神の賜物。

5連勝中だった矢地はRIZINで初黒星。メインを放送席で解説した五味隆典は「残念な弟の仇を取ってやらないとなと思いました」とグスタボ戦に名乗りを上げている。(写真=RIZIN FF/GONG KAKUTOGI Masaru Kawabata)

RIZIN▼第12試合 RIZIN MMA特別ルール 70kg契約 5分3R
○ルイス・グスタボ(ブラジル/EVOLUCAO THAI)
[2R 2分32秒 KO] ※右フック
×矢地祐介(KRAZY BEE)

1R、サウスポーの矢地、オーソのグスタボ。先に前に圧力をかけるのは矢地。グスタボも右ミドルハイで押し返す。さらに同じハイキックをもう1発。矢地は左インローを返す。

スイッチしての左ハイでけん制はグスタボ。さらにグスタボが左フックもそこに矢地も右フックを狙う。パンチの交錯に少し下がる矢地。そこを逃さずグスタボは跳びヒザから一気にロープまで詰めて右フックを打ち込む。
打ち合いのなかで右を振ってコーナーから出る矢地。隣のコーナーまで追うグスタボは再び跳びヒザ。ここは矢地がさらに右へまわりかわす。下がりながらも左は矢地。グスタボはブロッキングして左を振る。

大きなステップでどんどん圧力をかけていくグスタボ。下がる矢地にダブルレッグテイクダウン! 序盤からかなり力を使う。すぐに右の鉄槌を振り下ろすと矢地はクローズドガードからヒジ無しルールのためグスタボの両手首をつかむ。右手首を回して外して右のパウンドはグスタボ。ボディを突いてから顔面を打つ。

グスタボはクローズドの矢地をリフトしてスラムで叩きつけパウンド。矢地が足を解き、腰を切るとすぐに体を離し、矢地の立ち際に右のサッカーキックを狙う。それを矢地はかわしながら右で差して両脇も差しグスタボの左脇を潜りスタンドバックへ。左足を外からかけていくが、グスタボが正対。その際に矢地は右のヒザを顔面に突き上げる。さらに近距離から右フック。頭を顎下につけたグスタボは矢地の首を掴み、首相撲からヒザを突き上げる。矢地もヒザを返すとグスタボは左右フックで反撃。回る矢地はコーナーから出る。

左ローから首相撲で頭下げさせヒザを突く矢地。左右で前進するグスタボだが、若干肩で息をするように。大きな右からスーパーマンパンチのグスタボに、矢地は下がりながらも右を狙う。しかし前進を止めないグスタボは右から左の二段跳びヒザ蹴り! 

ヒザをもらいながらも矢地は右フックを返す。グスタボの大きな右にカウンターの右を狙う矢地だが、その圧力に終始下がりながらの打撃となる。1R終了間際、左から右で前進はグスタボ! クリーンヒットはしないが、コーナーまで矢地は下げさせれらる。グスタボの右ハイ、右スーパーマンパンチを右にかわしてコーナーを出る矢地が左ハイを返したところで1Rが終了。

2R、サウスポーから右ジャブを出してけん制する矢地。そこに思い切りよくステップインし、右ミドルを当てるグスタボ! しかしそのミドルを掴んだ矢地が小外をあわせてテイクダウン! サイドから抑え込み、腕を狙うが、その際のところで左ヒジを立てて立ち上がるグスタボ! その立ち際に矢地も右ヒザを狙う。

ワンツーは矢地。ブロックするグスタボは右ハイをブロックの上から叩いて前へ。さらに右オーバーハンド。下がる矢地はグスタボの左フックに外から右フックをかぶせるが、そこにすぐにツーの右を打ち込むグスタボの圧に矢地はロープまで後退。さらにコーナーに詰めて右フック、左跳びヒザ! この一撃で出血する矢地。

右瞼の上をカットした矢地。ドクターチェック後、再開。前に出る矢地は勝負をかけたか、グスタボの左にいつにも増して大きな右をカウンターで振るが、再三、この試合で狙われたグスタボはその右をよけて、さらにカウンターの右フック! さらに左の返しは空をきるが、すでに矢地は後方にダウンしていた。グスタボの飛び込む鉄槌1発でレフェリーがすぐに間に入ってストップ。

勝利者コールを受けたグスタボはリング上で、「9年間、この日を待っていました。父が亡くなった時に僕は『世界一になる』と彼と約束をしました。一生懸命練習してきました。母さん愛してるよ! そしてアンドレ(・ジダ)とヴァンダレイ(・シウバ)に感謝します。日本に連れてきてくれてありがとう。そして日本の皆さん、オブリガード!」と落ち着いた表情で挨拶。

放送席の五味隆典は「残念な弟の仇を取ってやらないとなと思いました」とグスタボ戦に名乗りを上げた。

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◆ルイス・グスタボ「ゴミとなら喜んでいつでもやる。この後、すぐにでも戦いたい」

「この試合は自分とアンドレ・ジダとヴァンダレイ・シウバと3人で考えた作戦通り。彼らに勝利を捧げたい。勝つためにやってきた。まだ22歳。日本デビューでの勝利が嬉しい。正直、作戦はシンプルでよく動いて、相手の動きをみきわめて相手の試合をさせないことだった。

(1Rあれほど力を使ってスタミナに不安は?)正直、ちょっと疲れたけど、この日のために8、9歳から練習をしてきたんだ。戦うには十分なスタミナがあったよ。

これで全勝無敗。すべて1Rで勝ってきた。今回は2Rかかったけど今まで通り。私もいずれヴァンダレイのようなビッグな選手になりたい。今後の相手は誰でもいい。(放送席の五味が「仇を取る」と言っていたが?)さきほど相手を選ばないと言ったけど、ゴミとなら喜んでいつでもやるよ。この後、すぐにでも戦いたいよ。

父が亡くなる(銃で撃たれた後日他界)前に王者になると誓った。ずっと勝ち続けなければいけなかった。今日は100%を出せた。次の試合についてはいまのところ未定だけど、オファーがあればいつでも戦うよ。

(70kgトーナメントがあったら)いつでも声をかけてください。試合前は減量も初日本もあり、そうとうなプレッシャーがあった。いまは自分もその圧力から解放され、もととどおりのフレンドリーな表情になりました(笑)。

(これでこの階級の一番か?)父との約束のために戦って勝った。一生懸命実現するために戦った、ただそれだけだよ」

◆矢地祐介「未完成なのは自分でもわかっている」

「正直効いちゃったし、まだ悔しさがこみあげてこないので……。負けちゃったんで何も言えないけど、相手が強かったです。

序盤しょっぱなから来るとは思っていました。それを凌いで中盤以降に自分のリズムにしたかったけど、カットしてから『止めるよ』と言われてからはテンパってしまって……。最後は左フックですかね(※右フック)。もらったのは覚えているのけど、最後はもう曖昧でした。縫ったのは7、8針。これから俺の時間だ、というときにカットがあって、後ろ向きになってしまいました。

(連勝ストップしたが)負けたのはしょうがない。未完成なのは自分でもわかっているので、この結果を受け止めてまたどんどん勝てるようにしたいです。敗者に口なし、です。自分の悪いところが出たので、またひとつずつ作っていきたいです。

(急遽、対戦相手が変わったことについては)仕方ない。自分の実力が足りなかったと思います」

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