ムーブ! バンプ! セル!

ムーブ、バンプ、セルはプロレスを構成する最小の単位です。
今回はこれらの専門用語の説明です。
本記事以降にこれらの専門用語を使っていくので、前提知識の確認を行いたいと思います。確認なので結論はありません。

プロレスは、ムーブ → バンプ → セルの繰り返しですので、説明もその順番で行います。

ムーブ
能動的な行動のことです。
主に「技を掛ける」ことを指します。
ロープに振ったり、コーナーに登ったり、相手を掴んで立たせる等の予備行動もムーブに含めて良いかと思います。
技=ムーブのイメージで使っています。

バンプ
プロレス流の受け身のことです。
とは言え、日本語の「受け身」は武術で使われている「身体を衝撃から守る」ための技術を指す言葉であって、バンプ=受け身ではありません。

プロレスはレスリングを祖としていますが、背中から倒れることは敗北を指さず、それどころか、倒れることが2番目に大事まであります。
(一番大事なことは身体を守ることです)

バンプは身体を守ると同時に、衝撃を大きく見せる技術です。
言い換えると、派手にやられているように見せるためのものです。
ムーブをより良いものとして、観客に認識させるために「衝撃を盛る」ことがバンプの役割です。

その役割の性質上、バンプを行うに当たっては「どのようなムーブであるか」を把握している必要があります。把握していなければ、適切な盛り方が出来ません。
逆にムーブを仕掛ける側は何をやるのか、相手に通知する必要があります。

バンプの具体的な動きとしては、マットに胴体や頭が当たる瞬間に、腕や脚を強くマットに叩きつけて衝撃を身体全体に逃がすものです。武術の受け身と基本的には変わりません。
ショルダータックルを受けた時に後ろに倒れこんで、バンッとマットを叩く光景が思い浮かべば、それがバンプの基本的な動きと考えて問題ありません。

ムーブとバンプは一対で、プロレス技を成立させています。

セル
痛みを観客にアピールすることです。
セルの綴りは「sell」で、ムーブを「売り出す」と言う意味です。
ムーブを売り出すとは、痛みを表現することを示します。

ムーブはバンプで衝撃を盛られ、セルで痛みが観客に共有されます。
プロレスはこれの繰り返しです。
プロレスは、ムーブ、バンプ、セルの繰り返しで構成されているのです。

セルの具体的な動きは、顔を苦悶にしかめたり、傷んだ個所を抑えたり、大声を上げたり、腕や脚をバタバタさせたりといったものです。

セルがなければ、ムーブを繰り出した意味がなくなり、その試合に無意味な時間を発生させてしまいます。
ムーブの意味を確定させることがセルの役割です。


補足1
バンプはプロレス技の結果が背中から倒れるものという時代に生まれた技術です。そのため、現代のプロレス技におけるバンプは「受け身」に特化して行われることも多々あります。
頭から落ちる時には自分の命を守ることが第一で、それ以外に気を回す余裕がありませんし、ハイキックを受けた時に後ろに倒れても手遅れです。
そのため、現代プロレスにおいてはムーブとセルが直結しているシーンも多々見られます。

補足2
ムーブ、バンプ、セルのどれが一番重要でしょうか。
これはレスラーの立ち位置によって変わりますが、真のトップとして君臨するのであれば、セルが重要です。
何故なら、真のトップはベビーフェース(善役)として、ヒール(悪役)にいたぶられることが多いため、セルが下手では試合を盛り上げられないからです。
逆に一番重要度が低いのがムーブです。
ムーブは3つもあれば充分です。(3つしかムーブない選手が成功するとは思えませんが)
バンプは上手いことに越したことはありませんが、頑丈な人は下手でも何とかしてしまうので、何とも言えません。

補足3
ムーブは掴み起こしやロープワークなどの予備行動も含みます。
そのため、実際の試合においては「(ムーブの繰り返し)→(バンプ)→セル」という構造になります。

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