キャラクターのヘイト管理持論
注意
◆あくまで桜餅ごめ子の個人的な考えです。
桜餅ごめ子は読者が納得するかより自分(作者)が納得できるかを重視して創作してきたので、参考になるかは分かりません。
文章は断定口調ですが、全ての文末に「※個人の意見です」が付くと思ってくださるとありがたいです。
◆この記事では、キャラクターが読者からどの程度嫌われているかの度合いを「嫌われ度」、読者に嫌われさせたいキャラを「嫌われキャラ」と表記します。
◆この記事はオリジナル作品を制作する場合を想定しています。
はじめに
ヘイト(hate)とは、英語で「憎む」「憎悪する」という意味の言葉です。
「ヘイト管理」という言葉は、シナリオ制作などで「キャラクターが読者からどの程度嫌われるかを管理すること」を指します。
悪役や敵役などの嫌われキャラが悪事を働くと、読者はストレスを感じます。
読者は基本的にストレスを感じたくないので、ストレスを感じさせるキャラのことを読者は嫌いになります。
ストレスの加減をコントロールできなかった場合、作者の意図とは異なる感情を読者に抱かせてしまいます。
そうならないよう、作者はヘイト管理をする必要があるのです。
この記事では、ヘイト管理において気をつけたいことをまとめてみました。
嫌われ度調整ポイント
私は、嫌われキャラの嫌われ度を左右するのは以下の3つのポイントだと考えています。
読者と悪の距離
嫌われキャラ本人の振る舞い
悪への報い
これらのポイントに気をつけて「作品全体の読後感」や「キャラへの最終的な印象」をどうしたいかを考え、嫌われキャラの嫌われ度を調整しましょう。
1.読者と悪の距離
読者と悪の距離とは「読者が悪をどのくらい身近に感じるか」を指します。
例えば、
こちらのキャラAとBを現代の法で裁くなら、罰が重いのはAでしょう。
しかし、以下のようにするとどうでしょうか。
キャラAとBをこのように描写した場合、読者の感情はどのようになるでしょうか。
私は、主人公という読者と近い立場に加害したキャラBの方が嫌われ度が高くなると想定しています。
人間は、他人事の惨劇より自分に降りかかった加害の方が重大に感じるものです。
また、現実で起こりうる悪も「読者と近い被害」と言えます。
Bの「万引き」は実際に被害を受けている読者が数多く存在し、自身のことのように感じることができる身近な悪です。
しかし、Aの「1000万人殺害」はあまりにも数字が非現実的すぎるため、読者にとって遠い悪だと感じるでしょう。
2.嫌われキャラ本人の振る舞い
嫌われキャラ本人の態度や言動も、読者の心証に影響します。
例えば、
という二人の人物がいるとします。
CとDは、悪事の内容は同じです。
ですが読者は、Cに対して「やってることは最悪だが、確固たるポリシーがあるかっこいい悪役」と感じ、Dに対しては「やってることが最悪な上、自分の行いに自信を持てないかっこ悪い悪役」とモヤモヤイライラする、と私は想定しています。
どちらがいいキャラ、よくないキャラ、というのはないです。
ですが、一本筋の通ったCを倒した時は、巨悪を倒したすっきり感があります。
しかし、自分の行いに懐疑的でモニャモニャ言ってるDを倒した時は、不完全燃焼な読後感になるでしょう。
そういう読後感を狙うのもまたひとつの表現ではありますが、倒してもスッキリしない嫌われキャラは基本的に嫌われます。
3.悪への報い
冒頭にも書きましたが、嫌われキャラが悪事を働くと、読者はストレスを感じます。 読者は基本的にストレスを感じたくありません。
なので、読者はストレスの原因を排除したいと思い、嫌われキャラに対して「早くちゃんと報いを受けてほしい」と考えます。
なので、嫌われキャラが受ける報いの具体的な内容より、報いを受けるまでの時間と周囲からの扱いの方が重要だと私は思っています。
「時間」は「報いを受けるシーンにたどり着くまでの読者の労力」と言い換えてもいいです。
仮に、最初に悪が登場して、最後に報いを受けるストーリーがあるとします。
しかし、1話完結形式の作品のオチとして報いを受けるのと、何百万文字も読み進めて最後にようやく報いを受けるのでは、感じ方は当然変わります。
嫌われキャラが報いを受けるまで時間がかかればかかるほど、読者は長期的にストレスを感じることになります。
もちろん、読者にストレスをためさせて嫌われキャラが報いを受けたときのカタルシスを大きくする、という手法もあります。
しかし、報いの受けさせ方を誤ると、長期的にストレスを受けた鬱憤が爆発することになります。
また、嫌われキャラが周囲からどのように扱われているか、も読者の心証に影響します。
周囲(特に、読者視点に近いキャラ)が嫌われキャラの扱いをなあなあにしていると、「なんでこんな奴の扱いのをなあなあにしてるんだ」と読者はモヤモヤしたりムカついたりします。
補足
悲しい動機を持つ悪役
「理不尽な目にあった」「大切な人を殺された」などの悲しい過去を持っていて、それを理由に悪事を働く悪役、よくいますよね。
作者はそのキャラに対して「悪事を働いてしまったけどこういう理由がある哀れな奴なんだよ……」と同情的な心理になりがちです。
そうした心理を反映して作者はそのキャラに手心を加えてしまいがちです。
ですが、「はじめに」に書いたとおり、読者は基本的にストレスを感じたくないので、ストレスを感じさせるキャラのことを読者は嫌いになります。
なので、そいつがどんな過去を持っていようが割と知ったこっちゃないです。
読者に同情してほしければそのように描写する必要があります。
報いの内容
嫌われキャラがどれだけ熾烈な苦痛を受けていても、被害者の心が晴れないままなら読者もモヤモヤしたままでしょう。
嫌われキャラが報いを受けても、被害者にも落ち度があればそれはそれでモヤモヤするでしょう。
罪人は、何をしたら償えるのでしょうか?
この問いに答えはありません。現実にも創作にも。
作者自身の考えを反映するしかないと思います。
ギャグ作品
誰か1人がタコ殴りにされてても笑えないし、誰か1人が美味しい思いしてても面白くない。
全員が悪事も報復も最終的にプラマイゼロになるのがよいのではないかと……。
……と書いてて気づきました。これ完全に銀魂の受け売りですね。
さいごに
最初に書いたとおり、私は読者が納得するかより自分が納得できるかを重視し、自分が作ったキャラクター自身が自らの行動原理に沿って動けていればオッケーという創作活動をしてきたので、参考になるかは分かりません。
私は素人ですし。
そもそも、全てはどう表現するかによって変わると思います。
こうしてまとめたはいいものの、正しい答えは私もさっぱり分かりません。
というわけで、この記事を読んで何か思ったことがありましたら、コメントをして頂ければ幸いです。
もしコメントを頂けた場合、返信用の記事を作成したいと思います。
匿名希望の方向けにお題箱もあります。
同意、反論、ヘイト管理が上手い作品……などなど、コメントお待ちしております!
それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!
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