メリカ不動産投資:参考文献リスト

イントロ

何か新しいことを学ぶ時にその分野の本を短期的に何十冊も読むというのは実に効率の良い学び方だと思う。利点を簡単に挙げれば

  • その分野を体系的に理解できる

  • 自分をその分野のためにオーバーフィッティングできる

  • 人は誰しも間違えるので何冊もの別の著者の本で同じく言及されていることは普遍的な事実に近いと確信を高めることができる

などがある。1はよくみたことがあると思うが、2と3も同じく重要だ。機械学習モデルもまずはOver fittingさせることができなければそもそも始まらない。自分を短期的にその分野にどっぷり浸からせることでせめて守破離の守の終わりぐらいまで一気に持っていくイメージ。第二宇宙速度を突破するために一気に大量のエネルギーを消費するのだ。これは新しいことをだらだら学ぼうとしても中途半端に終わることが多いという個人的な体験から来ている。3も個人的な経験から来ている。博士課程の時に「あの教授でもわりと出鱈目いうんだなぁ」という気づきから、人は誰しも間違えるという確信を得た。投資とは自分の資産を増やすことなので誰かを、たとえその誰かがどれだけ親しかったり、その物事についてのプロだったりしても関係ない。あくまでもデータの一つとして意見を頂くのであって、決して「誰かが言ってたから、書いてたから」などと盲信して自分の決断と偽って進んではいけない。今あなたが読んでいるこの記事もそうだ。これはあくまでも自分の主観的な捉え方であって、あなたにとってはデータの一つでしかない。もちろん相談されれば喜んで相談に乗るし、質問も出来る限り答える。それでも結局投資における判断をするのはあなたで、責任を取るのもあなたなのだ。だからあくまでもこういうのは参考の一つにしてほしい。

Without further ado, let's get right into it.


アメリカにおいて家を買うということについて

不動産投資といっても、まずは家を買うというプロセス自体について学ばなくてはならない。これについては何冊か買ったのだが、ぶっちゃけ "First-Time Home Buyer: The Complete Playbook to Avoiding Rookie Mistakes The Complete Playbook to Avoiding Rookie Mistakes (Books)" これが一番よくまとまっていて、それぞれのプロセスを明確に分けていて、その一つ一つのプロセスで何が待っていて何が必要かについて書かれているこの一冊で良いと振り返って思う。

他に読んだ本では "Home Buying Kit For Dummies For Dummies (Books)" や"100 Questions Every First-Time Home Buyer Should Ask, Fourth Edition: With Answers from Top Brokers from Around the Country With Answers from Top Brokers from Around the Country (Books)"などがあるが、助長な具体例などが多く、よほど家を買うというプロセスについて不安がある人以外にはそこまで新たな情報を得られるようなものではなかった。あくまでも自分たちの目的はメリカ不動産投資なのだから。

アメリカ不動産投資について(入門)

メリカ不動産投資においてどこでもお勧めされている本は何冊かあるが、誰でも知っているものに「貧乏父さん、金持ち倒産」があるだろう。間違えた。「貧乏父さん、金持ち父さん」だ。この本は実際一般的な人を不動産投資などに惹きつける魔力は持っている。ただ実際に不動産投資を開始する上での考え方の身につけ方や物件の探し方、どういう次のステップを踏めばいいのかなどの詳細があまりにもない。

そこでよくレコメンデーションされていた本の中で読んだのが "Retire Early With Real Estate: How Smart Investing Can Help You Escape the 9-5 Grind and Do More of What Matters (Financial Freedom, 2) Financial Freedom, 2 How Smart Investing Can Help You Escape the 9-5 Grind and Do More of What Matters (Books)" と "The Book on Rental Property Investing: How to Create Wealth With Intelligent Buy and Hold Real Estate Investing (BiggerPockets Rental Kit, 2) How to Create Wealth With Intelligent Buy and Hold Real Estate Investing BiggerPockets Rental Kit, 2 (Books)"の2冊だ。この2冊は素晴らしい。メリカ不動産投資という全体像を把握する上で最良の2冊なので何周もした。

ラベル付すると情報量が減るのであまりやりたくないのだが文字量を圧縮する上では有用なのであえてすると、前者は保守派、後者はもう少しアグレッシブなスタンスとでも説明すれば良いだろうか。前者のChad Carsonの本はまだ割と地に足がついていて再三5つの資産形成のどのステージ(Survival, Stability, Saver, Growth, Withdrawal)においてどういう考え方を取るのかについても話している。そのステージの違いにおける戦略の紹介も見事で、例えば自分のように始めたての不動産投資家には自分が取ったハウスハック、Live in then rent、Live in flip、BRRRRなどをそれぞれ詳しく説明している。この一冊はお守りのように持っておいてそれぞれのステージに到達したところでどういう戦略があるのかを確認するガイドとしての一冊。

2冊目はBrandon Turnerという人なのだが、この人はBigger pocketsでも大御所でこの本以外にも良い本を書く。不動産投資を始め、最後の購入するまでのプロセスをもれなく網羅しているという点で始めたての自分にとってまさに必要な本だった。物件のタイプや見分け方、不動産投資家としてのローンの取り方、戦略、交渉の仕方まで。実際交渉はこの本ひとつのデータとして参考にして実にうまくいった。最後の方に物件を購入した後、どのように物件をマネジメントするかについてもちょろっと書いているのだが、これは同じ著者の別の本 "The Book on Managing Rental Properties: A Proven System for Finding, Screening, and Managing Tenants with Fewer Headaches and Maximum Profits (BiggerPockets Rental Kit 3) (Kindle Books)" にさらに詳しく書いてあり、物件を購入した今、この本を手引き書のように使い物件のマネジメントを頑張っている。

入門と中級の間の位置付けになってしまうのだが”Build a Rental Property Empire: The no-nonsense book on finding deals, financing the right way, and managing wisely. (InvestFourMore Investor Series 1)”もなかなか良い。この本の良いところは他の本には書かれていなかったコントラクター関連の具体例や他の家の購入方法についても網羅されていた点。ただ入門書と呼ぶには少し想定読者の前提知識が結構いるように思われた。あとこの本わりとお金の具体的な数字についても書かれているので、これらは他の著者は時代が変わることで変わることを嫌ったり、場所によって変わるので書かないことも多いのだが、数字というデータ好きの自分としては絶対値ではなくそれぞれのコストの割合を考え多少普遍的なコストの分配について理解するのに役立った。

アメリカ不動産投資について(中級)

今まではそもそも家を買うこと、多くあるメリカ不動産における多種多様な戦略、初心者にとって大事な基礎を網羅している本だった。ここからは少し細分化していって、それぞれの戦略の深堀だったり、不動産という分野の中でもさらに枝葉について、違う考え方の本について紹介していく。

数字分析の鬼

研究者として数字は大好きだ。数字は嘘をつかない。いや、まあ不動産投資はよくよく掘ってみるとヒューマンエラー万歳で割とみんな結構数字の嘘つくんだけど笑。まあそれはさておき数字分析が好きな人は "Real Estate by the Numbers: A Complete Reference Guide to Deal Analysis (Kindle Books)"がお勧めだ。著者のDave MeyerはBigger pocketsでもデータサイエンティストのトップかなんかを勤めているらしい。肩書きに踊らされるわけではないが不動産投資界隈でデータについてちゃんと書いたり語ったりしてくれる人は意外と少なく、この人はその少ない人の一人だ。不動産投資自体は高度な数学が使われることがないのだが、とにかくその前提となる数値自体を取ることが難しかったりする。例えば家の値段。売値がそのままその物件の価値ではない。Zillow estimatesとかもあるがそれもあくまでも一つのデータでしかない。NOIとかCap rateを使ってEstimateをしても良いし、何か織り込まれていない情報があるのならばそれを使って算出してもいい。計算式はみんな共有しているのだがとにかくその代入される数字自体を疑わないといけないのが不動産投資だ。この本はその数字の当て方、推測の仕方なども含めて色んなツールについて話してくれる。この人最近また新しい”Start with Strategy: Craft Your Personal Real Estate Portfolio for Lasting Financial Freedom”という本を出したので読んでいるのだが、まだ初めの方だがこれも入門編か中級に加えても良いかもしれない。不動産投資における全体的な戦略の種類と自分の立場におけるそれらの最適化について書かれている本だ。

マルチファミリー投資専門

ハウスハックをやろうと決めて、ただプライバシーは欲しいとなった時に取れる手段としてマルチファミリー向け物件は最高だ。そのマルチファミリーのみに絞った本が”The Multifamily Millionaire, Volume I: Achieve Financial Freedom by Investing in Small Multifamily Real Estate (Kindle Books)”。一つ注意点なのだが、これVolume 1と2があり、間違っても2を買ってはいけない。2はCommercialマルチファミリー向けだ。つまり5世帯以上のマルチファミリー向けの不動産投資について書かれていて、これは初心者にはかなり荷が重く、いろんな取れる手法が変わってくる。自分もいずれマンションとかに手を出すかもしれないが、それまでVolume2はお預けだ。

さてVolume1に戻るが、これはメリカ不動産投資におけるマルチファミリー投資を行う上で、物件の探し方、選び方、どういう計算式を用いて物件のFair valueを出すのか、リスク、経験、具体例が盛りだくさんのまさにマルチファミリーのハウスハックをしたかった自分にとってマッチした本だった。本の中で繰り返し唱えられるマルチファミリーの価値算出方法は確かに著者の言う通り驚きというかそんな感じでマルチファミリーの物件の価値って決まるのねと言う感じなのでぜひ読んでみてほしい。

Out of the state不動産投資

自分は結局このコンセプトについて学んで考えた上で初手には選ばなかったのだが、Out of the state不動産投資、またはLong distance不動産投資という考え方がある。これは自分が今住んでいる場所で不動産投資をするのではなく、そこより離れた、例えば他の州などに不動産用の投資物件を買って遠隔でマネジメントをし、不動産投資するという方法だ。利点を挙げるとアメリカは州によって不動産マーケットが非常に異なる。ベイエリアやシアトル近辺ではミリオンを超える物件など珍しくないが、州によっては2024年現在でも$30kぐらいでまともな家が買えてしまう地域もある。要はこのOut of the state投資はそういう地域ごとの特色を見定め、Cash flowする物件を買い、遠隔でProperty managerやContractorなどを雇って投資するという方法なのだ。物件を買うハードルが高い地域に住んでいる自分としてはいずれは手を出したい戦略である。しかし不動産投資について何も知らない上で、何も知らない地域に投資するのもまたハードルが高い。”Long-Distance Real Estate Investing: How to Buy, Rehab, and Manage Out-of-State Rental Properties”はそんなコンセプトについて詳しくどうすればいいか書いている本だ。これはいずれまたちゃんと読み返していざこの戦略を取る時にガイドのように使うだろう。

エアビービジネスの始め方

前回の記事でも書いた通り、自分たちはREPSもしくはSTR(エアビーなど)を用いたW2税金を減らすことに重きを置いていたので、エアビービジネスの始め方について学ぶ必要があった。これについてはどれも短く何冊か読んだのだが正直どれも似たり寄ったり。どれを買ってもだいたい同じような内容が得られる。ただエアビーというビジネス自体は変化のスピードが早く、本で書かれている内容が2024の時点で古いなと感じることも少なくない。なのでここに関しては一冊それ向けに読んで全体像を把握して上でYoutubeなどで長くエアビーをやっているプロたちの動画などをみてトレンドなどについてアップデートし続ける方が良いだろう。

”How to Start a Successful Airbnb Business: Quit Your Day Job and Earn Full-time Income on Autopilot With a Profitable Airbnb Business Even if You’re an Absolute Beginner (2023)”
”Airbnb Investments for Beginners: Discover the Newest Strategies to Build Your Short-Term Rental Business with Step-By-Step Details to Create Passive Income”

家はどのような作りになっているのか

これは便宜上中級編にいれたが、ぶっちゃけ家がどのように作られ、どのように動いているのか把握するという枝葉の部分なのでここにいれただけで誰が読んでも得られるものが多い本だと思う。”How Your House Works: A Visual Guide to Understanding and Maintaining Your Home (RSMeans) RSMeans A Visual Guide to Understanding and Maintaining Your Home (Books)” これはリノベーションや工事の際に英単語を学ぶのに本当に役立った。図鑑のようにすべて絵で説明できるので家のパーツの理解についてもこれ一冊で事足りる。

メリカ不動産投資の税金

Every Landlord's Tax Deduction Guide (Books)” いや、まあここであげた本の中で重要性は非常に高いのだが、ぶっちゃけ一番買うのはレコメンデーションしない笑。だって分厚い一冊全部税金のことよ!?まあ大事だから読んで理解するんだけどさ。一回読んだだけじゃ全部理解したとは言えない。でももう読みたくない

リモデル・インテリアデザイン関連

これに関してもトーシロだったので何冊か読んだのだが、抜群によかったのがこちら”The Interior Design Handbook: Furnish, Decorate, and Style Your Space Furnish, Decorate, and Style Your Space (Books)”。まずインテリアって何よ?どういう原理原則があって、基本的なルールはなんなのかを把握するのに一番役立った。他にも”Remodelista A Manual for the Considered Home (Books)”とか色々各種デザイン本読んだけどデザインってほんと難しい。結構著者によって色が分かれる。データドリブンで意思決定したい自分のようなタイプはちょっと普遍的なパターンマッチングがしにくいのでここに関してはもう少し勉強していかないといけない。

最後に

最初にも書いたが、これらはあくまでも自分の主観的な捉え方。相談・質問大歓迎。ただ盲信はしてほしくない。というか絶対ダメ。投資において一人の意見はあくまでもデータの一つだ。とにかくたくさんデータを集めること。裏を取ること。それに基づいて自分で判断すること。本に書かれている内容も一緒。あくまでも一つのデータ。不動産投資のプロが言ってた!それもあくまでも一つのデータ。それを忘れないでほしい。

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