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The Long And Winding Road

ポール・マッカートニーの新刊本「The Lylics」が出版されました。

初めての自叙伝と言ってもいい内容らしい。

本書には、曲の下書きや手紙、写真など、ポールの個人的なコレクションから初公開される資料も含まれ、それぞれの曲がどのような状況下で書かれ、その曲のヒントとなった人物や場所、現在のポールがその曲についてどう思っているのかなど、年代順に物語るのではなく、アルファベット順に綴られており、ピューリッツァー賞受賞作家のポール・マルドゥーンが、過去5年間にマッカートニーと交わした会話を基に編集しています。
(MUSIC LIFE CLUB「NEWS」より引用 ※上記リンク先)

めっちゃ読みたい!
そのインタビューの中での、ポールの言葉

「“I never really said ‘John I love you man’, I never got round to it. So now it’s great to just realise how much I love this man…”」
「『ジョン、愛してるよ』と言ったことは一度もありません。だから今、私がこの男をどれだけ愛しているかを理解するのは素晴らしいことです…」

泣けました(T_T)

ポールの言葉を聞いて、私がすぐ思い浮かべた曲が

The Long And Winding Roadです。

私には、この曲こそ1969年、ポールがジョンに捧げた曲にしか聴こえないんですよね。愛の曲です(男女の愛とは違いますよ…)。

ポールにとって十代の頃からの相棒であり、その才能に憧れ、愛していたジョン・レノン。でもポールから見たら「長くて曲がりくねった道」がずっと続いていて、いつも置き去りにされたまま。僕がどんなに孤独で、泣いて、いろいろなやり方を試してきたか、なんてことは結局、君は知らないんだよね。どうかこの僕を、君の心の扉まで連れて行ってくれないか。(私の意訳です💦)

みたいな、ポールの心の叫びがしみじみと歌われている気がします。

ビートルズ解散の引き金を「訴訟」という形で引いたのはポールだけど、そもそもジョンがオノ・ヨーコをレコーディングに連れて来たあたりから、メンバーの不協和音はピークに達していたわけで。

そのポールが「怒髪天を衝いた(怒り狂った)」=「訴訟」のきっかけになったのも、この曲「The Long And Winding Road」のアレンジ(オーバーレコーディング)でした。

この曲はポールが作ったもの。1969年1月、アップルスタジオで録音が開始され(ジョージ・マーティンがプロデュース)、ボーカルとピアノがポール、ベースがジョン、ギターがジョージ、ドラムスがリンゴ、(さらに外部ミュージシャンのビリー・プレストンがローズ・ピアノ担当)という編成だったそうです。

オリジナルは静かなバラード。私達が聞き慣れた曲調とはかなり違います。いろいろと大人の事情が絡んで、実際に発売されたアルバム「Let It Be」の中では、フィル・スペクター(アメリカの音楽プロデューサー)によるオーバーダビングが施されていました。オーケストラや合唱で派手に盛り上げていくような、私たちが聞き慣れた曲はこちらです。

このオーバーダビングに、ポールは怒りを爆発させて、最後は訴訟となり、ビートルズは解散しました。。。。(ノД`)

それだけポールにとって大事な曲だったんだと思います。

ジョンの言葉を借りれば、ビートルズの解散は「離婚」みたいなものだったとか。解散直後はお互いにいがみ合ったり悪口や皮肉の応酬となるのも無理はないですよね。

だって高校生から30歳近くまで、ずーっと仲間でやってきたんですもん。あれこれ不協和音があっても、なんとかビートルズとしてやっていきたいと思う気持ちは、多分ポールがいちばん強かったのではないでしょうか。

いつもお互いの曲について、いろいろと意見を交わすポールとジョンだったようですが、The Long And Winding Road」については、ジョンはほとんどなにも言わなかったとか。

多分、ポールからの自分(ジョン)への気持ちが、この曲に込められていることは、理解していたと思うんですよね。

でも、それこそ「離婚」と同じで、もう新しい段階に自分の気持ちは移っていて、ビートルズから解放されたいというのが、当時のジョンの本音だったのではないかと思います。

ちなみにオリジナルの録音では、ベース担当のジョンがけっこう演奏ミスをしていたとか。ポールから「自分の許可なく楽曲に勝手に手を加えた」と訴えられたフィル・スペクターも裁判では
「ジョンのミスをカバーするためにオーバーダビングした」
と言い訳したほど。

ジョン、もしかしてわざとミスしたのか?(笑)

ビートルズの解散、レノン氏が「引き起こした」 マッカートニー氏が主張
(BBC NEWS Japan 2021年10月21日)
「…あれは僕の人生で一番つらい時期だった」
「これは僕のバンド、僕の仕事、僕の人生そのものだった」と、マッカートニー氏はビートルズについて付け加えた。
「続けたかった。自分たちはかなりいい仕事をしてると思っていた。『アビイ・ロード』や『レット・イット・ビー』は悪くなかった。続けられると思っていた」(上記リンクより引用)

The Beatles の事実上の解散(1970年)から半世紀過ぎて、
ジョン・レノン射殺(1980年)から40年あまり。

79歳(!)のポールは「The Lylics」の中で何を語っているのかな。
早く邦訳を出してほしいです!


✨✨ちなみにオリジナルの「The Long And Winding Road」は、『レット・イット・ビー...ネイキッド』(Let It Be... Naked)というアルバムで聴くことができます。厳密には、私達が聞き慣れている曲とは別の日に収録されていて、歌詞も一部違います✨✨

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