【東方Vocal曲紹介 Track.4】IN THE RAIN

暗い夜の雨に濡れても。きっと朝は来る。虹が架かるよ――


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基本情報

曲名

IN THE RAIN

FELTさんはYouTubeの公式チャンネルで多くの楽曲を配信してくださっています。
みんな聴け(聴け)


サークル

収録アルバム ※初出のみ記載

Fluster Escape(2016年)

※リンク先でクロスフェードデモの視聴も可能です。

原曲

  • お宇佐さまの素い幡

出典:『花映塚』vs因幡てゐテーマ
関連キャラ︰因幡 てゐ [いなば てい]

評価

オススメ度

★★★★★(並←→極)
梅雨すらも楽しみに変えてくれそうな曲。
Aメロが最高。

前提知識

☆☆☆☆☆(少←→多)
不要!
一般の人にも後ろめたさなく聴いてもらえる。はず。

原曲度

★☆☆☆☆(弱←→強)
原曲がちゃんとわかるのは出だしのみ。

雰囲気

★☆☆☆☆(軽←→重)
蒟蒻ゼリー10個分くらいの軽さ(わからん)

解説

今回こそ控えめに、控えめに……ウボァー

選定理由

うさみみ繋がり

えー、わたくし、東方Vocalで特に好きなサークルが二つありまして、そのうち一つは前回紹介した凋叶棕さんです。
なので今回はもう片方、一番大好きなサークルであるFELTさんを紹介させてください。

凋叶棕さんとは対象的に、物語より雰囲気重視、短めであっさりという感じの曲が多いですが、「それがいい」。
耳触りが非常に心地よく、延々と垂れ流しても負担に感じません。
きちんとした食事をとるか、軽くお菓子を食べるか、みたいな感じです。
東方知らない人にもオススメしやすい曲が多いのもいいですね(実際にしたことはないですが)
素敵な曲が本当にたくさんあって、次は何をチョイスしたものかと夜中にうんうん悩んでいたのですが、そのときちょうど雨が振ってきて「これだー!」ってなりました。

ちなみに、そんなFELTさんですが致命的な不満点がありまして……
なんとカラオケに1曲たりとも入っていない!
そしてもう解散してしまった!
お金落とせない!
いったいどうすればいいんだ!
助けてえーりん!

マジメな話、FELTさんの解散が、自分が東方Vocal曲の蒐集活動を引退した要因の一つです。
(経済的にキツいとか、単純にCDの保管スペースがなくなったとか、他にもちょこちょこ理由はあります)
事前になんとなーくジャブは入れられてましたが、本当に解散する知った当時はかなりのショックでしたね……(目からハイライトが消える)
ちなみに、ベストを除いて一番好きなアルバムは『Star Piece』です。
僕から語れることはありません、とりあえず聴いてください。
まぁそのうち紹介するつもりの曲もあるけど

原曲について

なんと、あの神話で有名な「因幡の素兎(しろうさぎ)」ご本人――の、可能性があるちっこいウサ耳少女、因幡てゐのテーマです。
イタズラ好きで、しかしどこか達観したところのある彼女にピッタリな、不思議なリズムの曲になっています。
『永夜抄』で初登場したときのてゐは5面中ボスで台詞もなく、「おまけ.txt」でのコメントを除き素性不明だったのですが、続く『花映塚』でまさかの自機に(※)。
『永夜抄』はストーリーの都合でそれなりにシリアスなのですが(だから出演控えめだった?)、『花映塚』はゲームシステムも変わってワチャワチャした雰囲気となっており、そこにこの原曲が重なることで、てゐのキャラがより強く引き立てられています。


※【Topics!】幸運×狡猾(トリックスター)な地上の兎、因幡てゐ――
『人間を幸福にする程度の能力』を持つ地上出身のロリ兎さんです。
月のJK兎である鈴仙・優曇華院・イナバ [れいせん うどんげいん いなば]にちょっかいかけたり、玉露に茶柱総立ちさせたりして、住処である「永遠亭」で毎日楽しく過ごしています。
上で「因幡の素兎」との関係性について触れましたが、東方Projectでは神話や歴史の教科書に出てくるような登場人物を元ネタにしたキャラが多数存在し、また彼女たちのセリフには実際に元ネタご本人であることを思わせる情報が紛れていたりします。
(例:思兼神=八意永琳、聖徳太子=豊聡耳神子)
神話『因幡の白兎』ですが、いろいろあって酷い目に遭わされた兎が、助けてくれた大黒様(イケメン。ここ大事)に「想い人と結婚できるよ」的な予言をし、それが的中する――という物語となっており、てゐの能力もこのエピソードに基づくものと思われます。
ただ、浄玻璃の鏡を持つ閻魔様である四季映姫 [しき えいき]・ヤマザナドゥからは明確に「妖怪兎」と言われており、真相はよ―わからんです。
(因幡の白兎も別に神格を持つわけではない(※)ので、妖怪と呼んでも矛盾ではないですが……)
※ただし、鳥取県の白兎神社では「白兎神」として祀られています。

ちなみに上述の閻魔様からは「嘘をつきすぎる」とも評されています。
あまり「幸福」という言葉のイメージと結びつきませんが、元ネタである『因幡の白兎』には、川を渡るためにサメさんたちを騙し、その頭を踏んづけていく(そして最後に失敗して、ブチギレたサメさんにほぼ食べられる)というワンシーンがあり、おそらく嘘つきは生来の性質なのでしょう。
長年培ってきたスキルとも言えますが、神を元ネタとする「月の頭脳」永琳の想定すら超えることもあれば、ゲーム本編で『因幡の白兎』のような自業自得を味わうこともあり、どうにもムラが激しいようです。
同じネックレスをつけるほど仲がいい(?)鈴仙からは短気と分析されていいるので、そのあたりが関係しているのかもしれません。
嘘はつくけど語尾に「ウサ」はつかないウサ

で、どうやったら幸運くれるんですか?


※【Topics!】対戦型シューティングで一味違った弾幕ごっこ!――
楽曲とは直接絡まない解説ですが、『花映塚』のシステムが少し特殊なため念のため説明しておきます。
(そうやってすぐ文字数増やす……)

東方Projectの「本編」は弾幕シューティングゲームで、これらは「○○作目」の「○○」に整数が入っています。
(ゲームの実行ファイル名が「th○○.exe」となっているのでそこで判断できます。ちなみに外伝は小数点の下に「.5」などが付きます)
基本的に、整数作品は『怒首領蜂』のような縦スクロールの1人プレイ用のシューティングなのですが――『花映塚』、旧作『夢時空』、そして2024年7月時点で最新作の『獣王園』は、2人でシューティングをしながら対戦するシステムとなっています。
これらの作品は『ティンクルスタースプライツ』という古いゲームの「皮を被った」もので、通常の整数作品とは操作性が大きく異なり、いわゆる「覚えゲー」のやり方はあまり通用しないというのが特徴です。
弾幕シューティングが苦手な人でもこっちならできるかも?
(ちなみに1作目の『靈異伝』もブロック崩しで全くジャンルが違うのですが、まぁさすがにここは例外ということで……)

普通の弾幕シューティング作品では自機キャラは2~4名のパターンが多いですが、『花映塚』系統の作品は対戦メインのゲームのため、自然と自機として使えるキャラが多くなってます。
そのため、通常は人間キャラが自機となる(鈴仙など例外あり)ところ、てゐのような非人間キャラも採用されているのです。
対戦モードでいろんなキャラの掛け合いも除いてみるのも『花映塚』系独自の楽しみ方だと思います。
特にてゐの場合は出演作品がそう多くないので、かなり貴重な情報源になっています。
まぁそれでもかなり恵まれているほうのキャラではありますが……
うどんげっしょー? なにそれモブイナバかわいいの?


感想:曲調とボーカル

後期FELTさんらしい緩急を効果的に使った曲です。
軽快なリズムのAメロが特に至高。
これより気持ちいいAメロ知らないレベル。
長靴履いて水溜まりで遊んでるてゐの姿が視える視える(幻覚)
短めなBメロを挟んで、サビには雲の切れ間から陽光が差し込むようなゆったりとしたメロディに変化します。
そしてまたAメロに入ると……はー、ここのギャップがたまらへんのや。

原曲については、出だし部分がイントロの入り際に使われていますが、あとはわからん!って感じ。
FELTさんは全体的に原曲度あんまり高くないです。
(アルバム内にオリジナル曲が入ることも多々あります)
ただ、今回のようにピンポイントでもどこかでわかりやすく原曲入れてくれることが多く、そこもまたアクセントになって聴く楽しさの向上に繋がっている認識。

FELTさんはボーカルにゲストを呼ばず、サークル所属のボーカル3名が、アルバム1枚につきそれぞれ1, 2曲担当するのが通例です。
(残りはインスト曲で、全10曲くらいの構成)
アルバムのジャケットは、そのうちの1曲――の、原曲関連キャラが飾ります。
で、そのいわゆる「ジャケ曲」の担当になりやすいのが、この曲のボーカルも務める舞花さん!

フラジャイルな、やや淡々とした歌声が特徴ですが、それがまたFELTさんの曲づくりと非常によく噛み合っています。
それはまるで、サクサクと軽く、上品な口溶けとともに素朴な甘みと香りが広がる、小さな幸せを優しく焼き上げたクッキーのような――
と、少し形容が大袈裟になってしまったかもですが、ともあれ東方Vocalでは珍しい雰囲気の曲が多いです。
お姉ちゃんサークルの『発熱巫女〜ず』さん(名前とは裏腹にガチ曲量産してくるとこ)にもボーカル参加していますが、個人的にはそれでもFELTさん側の舞花さんを推したいです(すでにめちゃくちゃ推してるとか言わないで)
ふぇるまいは僕の虹色の想い出。

もちろんこの曲でもその声の魅力は存分に発揮されていて、メロディだけでなく後述の歌詞との相性も抜群。
(というかサークルの主軸の一人である作詞&ボーカルの美歌さんが自分と相性いい舞花さんを引っ張ってきた説、あると思います。ないか)
また、サビの最初が伸びやかなのに対して最後はあっさり締まるのですが、その淡い余韻を滲ませるのも上手いなーと思います。
なんとなく、フレーズの引き際は意識されている気がするので、そのあたり注目して聴いてみるのもよさそうです。

感想:歌詞

FELTさんトコの歌詞、全体的にぼかした言い回しが多くて、正直なところ結構説明に困るんですが、まぁ考えるな感じろってことで何卒お手柔らかに……ふにふに……

探し物を見つけようと夜の森(※)に入った「僕」が、雨の中で迷ってしまった――と、どうやらそんなシチュエーションのようです。
で、「君」と呼ばれているのがおそらくてゐさん。
しかし初め、「君」は「僕」の様子を見守っているだけのようです。
※歌詞に「木の葉」とあるため「森」としましたが、てゐたちが住む永遠亭のある「迷いの竹林」が舞台と思われます。ジャケ絵にも竹のシルエットあり。

2番に入ったところで、「僕」くんは「君」の存在に気づいたご様子。
Bメロではその姿も視認しますが、「君」はただ物陰からこちらを見て微笑んているだけ。
だけど、どこか寂しそう……
「僕」は思います。
「君」の声を聞きたい、一緒に明けていく空を眺めていたい――
あ゛あ゛ー、もうこれは恋ですな!(ガバ判定) 

そして最後、雨雲の切れ間から届く朝日とともに、「君」の手が「僕」に向けて差し伸べられます。
なんともロマンチックではありませぬか!
……すげー無粋なことを言いますと、原作てゐさんであれば、「僕」が一人で安全に家まで帰り着けるように日が昇るのを待っていただけと思われます。
ダンジョンから脱出するまでの幸運を分け与えたら、あとはただ見送るだけ。
人間と妖怪の関係なんてそんなものです。
でも、そういった場面まで書ききらず、いろいろと想像の余地を残してくれているのがまた素敵ですよね。
「君」は少年を見殺しにしてもいいし、お持ち帰りしてもいい。
選択肢があるということは、きっと幸せなことなのでしょう。
てきればハッピーエンドでおなしゃす

2人がまた、いつかどこかで出会えるといいなぁ。

これも聴いとくとイイコトあるかもね

気づけば今回もいっぱい書いちゃったので、自重自重……
そこ、ネタの枯渇防止とか言わない。

騙されたと思ってさ、こっちも1回聴いてみてよ

  • Faith(原曲:狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon)

鈴仙が月から地上に降りてきた過去と向き合う1曲。
こちらも舞花さんが歌っていて、さりげなくアルバムリリース順的にお隣さんなのがエモい。エモモい。エモモモい。
イェッイェーイェッイェー

このサークルから抜け出せないだって? それならあっちの道を行くと良い

  • てゐのクイズ☆SHOW ~ 明日はどっちだ(サークル︰凋叶棕)

とある昔話、窮状を訴える人間に救いと破滅の道をそれぞれ示すてゐ様の1曲。
これも『貴女を幸せにするために』必要なことなんです。
ちなみに原曲は同じ。
そして偶然にも、前回のTrack.3で紹介した曲と同じアルバムです。
と、いうことは……?


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