なぜ猫と暮らしているか④

T氏と暮らしていたのは4ヶ月くらい。よくショッピングセンターのペットショップを見に行った。T氏は買い物ついでにただ見てるだけでのちにほんとうに飼うとは思ってなかったみたい。

T氏はわたしにちゃんと結婚して子どもを産みなさいと言った。

わたしがいらない、というと、どうして?子どもはかわいいよ、と言うのでじゃあTさんの子どもが欲しいと言って困らせたがわたしは自分のことが大嫌いでもし子どもができても自分の子どもなんか愛せないと思っていたのでちゃんと避妊もしていた。

T氏の仕事は基本的に休みも少なく労働時間も長い激務のようでしたが、わたしと一緒に過ごしていた時期は一つの大きな現場が終わりに近づきわりと休みがとれているだけで、それは新しい現場が決まればすぐに異動しなければならないことをわたしも理解していました。

ある日、T氏は県外に出張に行きました。新幹線と特急を乗り継ぎ3時間半ほどかかる街。本来は泊まりの予定でしたが少しでもわたしと過ごしたいと、最終の新幹線で帰って来てくれました。

駅の改札で待ち合わせ。出張=新しい現場が決まったと認識していたのでT氏を待っている間血の気が引いてまっすぐ立つことが出来なかったけれどT氏と合流してからは気丈に振る舞い少し飲んで帰りました。

10日後には新しい現場に赴任しなければなりませんでした。

その夜一緒にお風呂に入り、初めて泣いた。

「転勤しても遠距離になっても時々会うことはできる。だけどそれがなんになるの?」

T氏は、自分が既婚者であることが平気なんだと思ってたと。初めてわたしも少なからず傷ついていることを知ったみたいでしたがそんなことを議論してもなんの解決にもなるはずもなかった。

T氏と過ごす最後の週末、まずT氏の会社借り上げのワンルームマンションに残っている荷物を取りに行った。家具や家電は全てレンタルなので車のトランクに積めるくらいしか荷物はなく、異動が多い人の生活ってこんな感じなんだなーと寂しくなりました(奥さんと子どもと暮らす家はちゃんとあるのに)

当時T氏の携帯はdocomo、わたしはソフトバンクだったのでわたし専用のソフトバンクの携帯を一台契約し、お揃いのストラップと、デパ地下でシャンパンを買って帰った。

旅立ちの朝。6時くらいにT氏は出発しました。

続きます。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?