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私の腎移植体験記  3

〈手術前の手続き〉

すでに人工透析を受けておられる方は身障者手帳もお持ちですし、この話は必要ないのかもしれませんが、私は食事療法により透析を受けないまま腎移植手術を受けることになりました。
そこでいろいろな手続きが手術前に必要となりました。

なぜならば、腎移植手術で一番問題となるのは、その手術費用です。
ドナーとシピエントで総額は500万円から600万円になります。健康保険があり、高額療養費制度を受けてもなかなかの金額になります。さらに、術後の免疫抑制剤も実額なら月額30~40万円になります。

そこで、事前に「自立支援医療制度」(厚生医療制度)の支援を受けられる手続きが必要になります。この制度を受けられれば、支援を受けることで、治療費が、月額1万円前後の費用に収まります。(ただし、腎移植に関わらない治療は一般の健康保険の適用になります〈私の場合は、高脂血症や甲状腺機能障害等いろいろあります〉。また、入院した時のベッド代や食費等は実費となります。)
なお、ドナーの入院・手術費用にいては、レシピエントの健康保険に含まれて支払となります。(その後のドナーの通院はドナーが支払うことになります)

(1)自立支援医療制度

私はこういった制度に関して、全く知識がありませんでしたので、最初に当該病院のサポートセンターのような所へ行って話を伺いました。ただその時、専門用語が並び、私にはあまり内容が良く理解できませんでした。現実に自分がいつ、どこへ行って何を提出するのか、今一つわからないところがありました。

その説明では、自立支援医療制度を受けるための必要書類として示されたのは、
①自立支援医療費支給認定申請書
②自立支援医療費意見書
③概略書・見積り明細書
④医療保険被保険者証等の写し
⑤世帯の所得状況等が確認できる書類(区市町村民税課税・非課税証明書等)
といったものでしたが、①、②、③は役所のどこかでもらうとして、⑤とかどこでもらうんだろう?と考えてしまいました。

一人で考えてもらちが明かないので、とりあえず私はまだ身障者手帳の申請をしていませんでしたから、先に身障者手帳の申請を行い、そこで役所の人に聞いてみることにしました。
すでにクレアチニンは5.0を超えていましたから身障者3級の申請が出来ます。


(2)身障者手帳

そこで区の福祉事務所を訪ねて3級の身障者手帳の申請を申し出ました。
その時、約8か月後に腎移植の手術を受ける予定についても話しました。
身障者手帳の申請は簡単で、最初に必要書類をもらいます。その中の医師の意見書を当時の主治医(糖尿病と腎不全の通院治療を受けていた病院)に記入してもらって後で提出します。

書類提出時に、自分で記入する申請書や写真、身分証明書が必要です。
書類を提出して、やがて1カ月程経って、「できましたよ」という連絡が来て受け取りに行きます。(何を依頼するにしても、病院も役所も日数がかかりますから、なるべく早めに手続きした方が良いと思います)
その身障者手帳の受領時に担当者の方から、「あなたの場合、身障者の認定を受けられたので、年齢的に後期高齢者医療への特例の編入ができますが、どうされますか?」と聞かれました。私は国民健康保険に加入していましたから、できるのならお願いしたいということで、手続きを教えていただきました。


当時私はまだ75歳よりずっと前でしたが、身障者手帳交付により、特別に編入が認められるとのことでした。
その手続きは役所の別の部署を訪ねました。訪問するところはいろいろあります。わからないことは行って誰かに聞いて教えてもらうのが良いと思います。
身障者手帳の交付によりいろいろ支援がありますが、個人的にはここで後期高齢者医療に編入されたことが一番助かりました。手術前も手術予定の病院と今までの腎不全や糖尿病等の治療を受けている病院の二か所に毎月通院していましたので治療費や検査費の負担が軽くなるのは助かりました。


(3)自立支援医療の申請

前回身障者手帳交付の申請に行った時に、8か月後に移植手術予定という話をしましたところ、「手術の3カ月前くらいに申請書類をもらって、それを医師に記入してもらい、出してください」と言われました。
以前どこでもらってくるのかわからなかった所得証明については、私が「収入は年金所得のみです」、と告げたところ、「それならこちらで確認するので不要です」と省略していただきました。
また、この時、意味が良くわからなかったんですが、担当者の方に私の手術予定の病院名を告げたところ「あそこならよくわかっていらっしゃるから、手術用とその後の分と二つ書いてもらえば良いですね」と言われました。(この意味は手術後にわかりました。術後の通院でまたお話しますが自立支援受給証は入院・手術用と通院用の二つが必要です)

そして、手術の三カ月前に申請書類を受け取り、病院(移植手術を受ける病院)に依頼して記入してもらい(病院の記入も約1カ月かかりました)、それらを提出しました。

しばらくして、役所から封筒で黄色い自立支援医療の受給証と治療毎に記入する用紙が送られてきました。

なお、手術後にはすぐに再度身障者1級への更新手続きが必要になります。



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