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私の腎移植体験記  5

〈術後の通院~現在〉


いよいよ退院です。
退院してもすぐには歩くのも大変でした。
たった3週間の入院なのですが、筋力が無くなってしまい、立ってるのがやっとの状態でした。
副反応も強く、夜も眠れない日々が続いていました。
そこから現在までの経緯です。


1.退院後1週間


(1)自立支援医療の受領証の間違い

退院してすぐに(実際には休日がありましたので、休日明けから)毎日通院が始まります。
しばらくは一人で立って歩くのが難しかったので、折り畳みの杖をネットで買い、それを使って通院しました。

そして、最初の診察が終わって、会計で自立支援医療の受領証を出したところ、「それは違います」と言われました。
大事な事ですが、私が自立支援の受領証を申請する時に、「入院・手術用」のみで、「通院用」をもらっていなかったのです。
会計で別の受領証が必要だと教えられて、初めて気が付きました。
「通院用」の自立支援医療の受領証がないと、免疫抑制剤は普通の健康保険で購入することになります。3割負担なら、1カ月で15~20万円になります。もちろん払い過ぎた分は後で戻りますが、それにしても大きな負担ですから、忘れずに事前に両方もらってください。

私は、あわてて福祉事務所に「通院用」の申請を出しましたが、受領まではやはり時間がかかりました。


(2)デンプン食へ復帰

この頃は、クレアチニンの数値はあまり良くありませんでした。
1.5を超えていました。

実は退院前と後に、当該病院で二回栄養指導を受けています。
最初の時は、「今後は一日のタンパク質を60g摂取してください。」と言われて、主食も普通の白米やパンに切り替えて、タンパク質もそれくらいを摂取していました。そもそも、入院中の食事もそれを基準にしていますから、「ずいぶんタンパク質が多いな」と言うのと「普通の白米やパンをこんなに食べるのは久しぶりだな」と言うのが、私の感想です。

が、その後インシュリンの数値を見て、これはまずいと思い、私は以前のデンプン食に主食を戻し、タンパク質も一日40g位にしました。
デンプンに変えることで、白米のタンパク質が消えますから、肉や魚のタンパク質はそんなに減っていません。
(デンプン食については、「人工透析を遅らせるための食事療法」を見てください)
二回目の栄養指導は別の先生でしたが、私が「11年間、故I先生の指導による食事療法を続けている」話をしたところ、その先生はI先生のことを良くご存じでした。
「それなら、こちらから言うことは何もないので、困った時に来てください」と任されました。

その後クレアチニンは少しずつ下がって行きました。
血糖値も少しずつ下がりはじめました。
私は、自分のこれまでの体験から、「デンプン食」というのは、腎臓や糖尿病には絶対に効果があると確信しています。


2.副反応

免疫抑制剤による副反応は、人によっていろいろとあるようですが、私の場合は、とにかく「不眠」と「血糖値の上昇」が最大の問題でした。
手術の前後は大量の免疫抑制剤を服用していますから、これは我慢するほかありません。
免疫抑制剤については、1カ月、3カ月、半年、1年のタイミングで、少しずつ減らされて行きました。薬が減って行くことと、時間の経過で身体が慣れることで副反応も少しずつ少なくなって行きました。
血糖値については、当時も今も、一日3回インシュリンを食前に打っています。



3.退院後3カ月


三カ月ほど経って、それまで順調だったのですが、副反応で眠れないために、睡眠薬だけはずっと常用していました。
ところが、ある日突然手が震えるようになって来ました。
脳神経内科の医師に診ていただいたところ、「ジストニア」と診察されて、「睡眠薬の影響だから薬を止めるように」と指示され、服用中止になりました。

その後、睡眠薬を中止したことで、また眠れない日々に戻りましたが、時間の経過とともに徐々に、睡眠時間も多くなり、また手の震えも止まりました。


4.現在


今は一年経過して、順調に推移しています。
頭を悩ませた副反応も少しずつやわらいでいます。
インシュリンについては、量は減りましたが、まだ一日3回打っています。
今後も生きている限りは、免疫抑制剤を毎日服用し続けて、手術していただいた病院にも最低月に一回は通い続けることになります。
しかし、ほとんど諦めていた命が助かり、こうやって何の支障もなく、日々を過ごせているのは、本当にありがたいことだと、思っています。
手術前は、自分の身体がどこまでもつのか、いつ終わるのか、そればかり考えていましたから、今は本当に夢のようです。
最初にデンプン食を教えていただいたI先生、腎移植へ導いていただいた先生、そして、手術を執刀していただいた先生、助けていただいた多くの方々のおかげです。


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