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阿武町の4630万円誤送金に関する報道に対する違和感

 4月8日、山口県阿武町が町内の463世帯にコロナ禍で苦しむ家庭を支援する臨時特別給付金として1世帯につき10万円振り込まれた。ところが、それとは別に、給付対象である463世帯への総給付額となる4630万円が、24歳の給付金対象者の男性に“誤送金”されてしまった。
 この件についてはテレビのモーニングショーやワイドショーで連日取り上げられ、どのメディアも誤送金を受けた男性を責める内容であり、違和感を覚える。男性は振り込まれた銀行口座からお金を移動させ、ネットカジノでずべて使い果たしたと言っているらしい。これに対し、阿武町長の花田憲彦氏は「許せない」とか「悪い人」などと言っているようだ。

 しかし、そもそも事の発端は町職員の過失であり、それについてはどこのメディアも批判することもなく、町長もこのとおりで誤送金を受けた男性が一方的に悪者にされ、換言すれば人のせいにして町側のミスを隠そうとしているような印象を受ける。
 地方自治法では地方公務員の重大な過失によって自治体(すなわち住民)に損害を与えた場合、自治体がその公務員個人に賠償請求できる、昨今の相次ぐ住民監査請求なども背景にあるのか、公務員個人が賠償した事例は少なくない。記憶に新しいのは昨年12月に兵庫県職員が貯水槽の排水バルブを閉め忘れたまま給水し、水道料金600万円を請求された事案がある。この職員は訓告処分を受け、半額の300万円を賠償している。

讀賣新聞オンラインより

 今回の事案も、まずは誤送金に関与した町職員の処分と損害賠償を求めることが妥当な解決方法であるように思えるのだが、世の中の論調は誤送金を受けた男性に対する批判ばかりで、違和感を覚えている。

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