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週末チャート点検(2024/6/16)
81個のチャートを用意しました。今回は、半導体全般、DRAM、NAND、シリコンウエハ、半導体製造装置、セラミックコンデンサ(MLCC)等、半導体関連データを多く盛り込んでいます。そしていつもの事ですが、必ずチェックしておくべきチャート、見ておいた方が良いチャート、興味を引くチャート、等を含んでいます。今「自分がどこにいるのか」(どんなマーケット環境におかれているのか)を押さえておく事は、投資家にとって最重要です。長期投資家にとっても、短期投資家にとっても重要です。
投資にあたり必ず押さえておく最重要ポイントを、「毎週」の投資戦略会議のディスカッションの中から「Investment Outlook」としてまとめています。今マーケット/投資家自身がどこにいるのかの「Big Picture」を俯瞰し、実践者/実践経験者がグローバルマネーの視点で分かり易く解説します。株式投資でうまくやって行くための情報をドンドン書いていきます。マーケットやメディアで表面的に語られている内容はこうだけど、「本当はこういう話ですので、こう考えるべきです」という話をたくさん盛り込んでいきます。多少言い難いけど「本質的にはこうです」という話にもできる限り触れていきます。
新しく投資を始める方へ(既に御覧の方は、本編へお進み下さい)
※このパラグラフはInvestment Outlook創刊号(2023/12/29発刊)からのもので、創刊号の6%の分量です
※導入の説明として必要と考え再掲したもので、御了承頂ければ幸いです
※Investment Outlook創刊号を既にお読みの方は、直ぐ下に続く「投資戦略会議サマリー」へお進み下さいませ
投資を始めるにあたり、重要な3つのステップは以下の通りです。
① 正しい投資の基礎を学ぶ(同時並行で過去の成功/失敗ケース実例をドンドン学んでいくと、学びが最も速く効果的)
② 幾つかの個別企業の株式銘柄を候補としてリストアップし調査分析を開始する(時間は十分ある、今飛びつき買いをしない)
③ 今マーケットがどこにいるかをよく知っておく(株式や投信など金融商品を買うのに適した好機を判断するために最も重要なので、マクロ環境について常に情報をアップデートしておく)
株価を形成する要素として、マクロ要因、ミクロ要因、その他の要因があります。そして、それらのウエイトはおおまかに、マクロ要因=6割、ミクロ要因=3割、その他=1割くらいであると覚えておけば良いでしょう。マクロ要因には、(金融政策を含む)金利や流動性など、そしてそれらの水準/規模と方向性などが含まれます。ミクロ要因には、企業業績の将来的な見通しをはじめ競争優位性を含む企業が内包する力などが含まれます。その他の要因では、株式や債券などの需給や地政学的要素などを考慮しています。
このうちウエイトで6割ほどを占めるマクロ要因は重要なのですが、各人がゼロから独自で研究するとなれば、途方もない時間がかかりますし、ちゃんとした理解に辿り着ける様になるのかも不明です。このたび創刊する「Investment Outlook」は、毎週末に開催される投資戦略会議から重要な部分を分かり易くサマリーとしてお伝えしていくものです。主要な視点は「グローバルマネーはマーケットをどう見ているか」となります(加えて、その時々の興味を引く業界や個別企業についても触れていきます)。これにより上述の「③今マーケットがどこにいるかを知っておく」にかかる(投資をはじめる方にとって大きな負担となる)時間と労力を大幅に低減できる事を目指します。マーケットの未来を予想してそれにベットする(賭ける)よりも、ハワードマークスがたびたび言及する様に、「今マーケットがどこにいるかをよくよく知ってから」「貴方が今どういう環境にいるか」を理解してから投資の判断に進む方が何倍も重要です。この投資レターは、主に中長期目線で投資する方を想定していますが、その時々のマーケット/マクロ環境を熟知しておく事は、実際は短期目線のトレーダーにもかなり重要であると思っています。
「取り敢えずは投資してみて勉強はそれからです」とか、「最初は誰でも損はするものですし、損をすると必死に勉強するものです」とかの声が聞こえてくるケースがありますが、お金と時価の無駄です。精神衛生上も宜しくありませんし、投資の最初に大損を経験し、「株式投資なんてもう嫌」になってしまうのは人生の大損です。素晴らしい会社(銘柄)を見つける事はもちろん重要ですが、それと同等に重要な「投資で成功する要件」は買い値に拘る事(割安な株価で買う)です。従って、足元は素晴らしい会社の株価は(極一部を除いて)どれもだいたいは割高なのは明らかですので、新NISAを契機に投資を始めようという方にとり非常にラッキーな事に、実際に投資に踏み切る前にお勉強する時間は十分に有ります。
ここから「本編」です→ =================================
週末チャート点検
まずは、最も重要な「S&P 500」のチャートです。今週(終わった週)は、1週間で1.58%上昇しました。
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S&P 500をより短い期間(2023/10~)で見ておきます。6/12(CPI発表とFOMCのあった日)には、オールタイムハイ更新となりました。
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S&P 500「イコールウエイト」を見ておきます。こちらのオールタイムハイは3/28です。上述のS&P 500は、時価総額の大きい銘柄の寄与が大きいです。
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S&P 500をS&P 500 イコールウエイト(1枚柄1銘柄を同じウエイトとしている株価指標)で割ったレシオが赤線です。足元で急上昇しています。限られた数銘柄(要するにエヌビデア等)に依存した「S&P 500」が顕著に強い上昇を見せているという事です。相場の終盤には「限られた数銘柄に資金が集中する現象がおきる」というのは歴史が証明するところです。
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VIX「日足」です。再び12割れがありましたが、6/14金曜日には陽線(上髭付き)となりました。
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こちらはVIX「週足」です。コロナ後で12以下をつけたのは、2023/12、2024/5、2024/6です。
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VVIX(VIX of VIX)の週足も見ておきます。長い下髭のついた陽線で週を終えています。
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エヌビデア「日足」です。5/22発表の好決算と株式分割発表を経て上に飛び、「窓開け3つ」です。CEOの株売りの情報もありましたが、6/14にオールタイムハイを更新しました。
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エヌビデアは「週足」も見ておきます。大きな陽線となりました。機関投資家としては、6月末(四半期末)を前に「何で持ってないんですか」と聞かれるのは見えているので、「持っておかざるを得ない」銘柄となっています。「持っていなくても良いんです」という理由を説明できる期間投資家はグローバルにはいますが、日本の機関投資家にはいない印象です。
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セールスフォースドットコム(日足)です。5/29に発表の決算を受け株価は急落しましたが、その後のフォローアップです。ダウ平均採用銘柄であり、ダウ工業株指数に影響がありました。
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セールスフォースドットコム「週足」です。同社が、四半期の売上高予想をミスしたのは2006/2以来(73四半期ぶり)との事です。5~7月期の売上高の伸びが過去最も低調になる(最大8%増の92.5億㌦)との見通しを示しました。予想通りならば、売上高伸び率は四半期として上場後の20年間で初の1桁台となるとの事です。この1年間で売上高が伸び悩んでいることが市場で懸念されており、経営陣はAI指向のソフトウェアや機能が売上高を押し上げると説明してきましたが、業界がAIツールにシフトする中でセールスフォースが存在感を維持できるかに懸念が強まったとの解説がなされています。(6/2コメントを再掲)
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アップル「日足」です。AIに関するビジョンの準備を進め、6/10開幕の世界開発者会議(WWDC)にて発表しました。AI機能が「待望のiPhoneアップグレードサイクルにつながる可能性がある」「アップルは消費者の情報だけでなく信頼も得ている(スタンドアローンのチャットアプリやパソコン、アンドロイド端末では完全には再現できないであろう方法で深く統合された機能を提供可能)」との評価を得たのか、株価は急伸しました。
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アップルは「週足」も見ておきます。オールタイムハイ更新です。
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大型テックETF指数「MAGS(Roundhill Magnificent Seven ETF)」日足です。6/13にオールタイムハイ更新です。
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原油価格(WTI)日足です。76~80㌦の揉みあいから、一旦下抜けてから再び戻ってきました。
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原油価格を長期(2000年~)で見ておきます。
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銅「日足」です。5/20に「5.20㌦」のオールタイムハイをつけ、その後は大きめの陰線が連発しました。6/14は4.49㌦で週を終えました。
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銅「週足」です。「上髭つき陰線」が3週連続となった後、上髭つき陽線となりました。
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銅価格を2000年から見ておきます。オールタイムハイの2024/5/20の「5.20㌦」から、14%ほどの調整です。
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銅については、以前から新規の鉱山(や鉱脈)の発見が乏しい事が指摘されていました。生産キャパシティを機敏に拡大するのは簡単ではない状況であるとの認識です。(再掲)
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NASDAQ 100「日足」です。6/14(金)にオールタイムハイをつけました。
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NASDAQ 100「週足」です。5週連続の陽線の後、1つ陰線を挟んで、再度の上アタックとなりました。終わった週は大陽線となりました。
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NASDAQ 100(青)は2021/11に一旦のピーク、2022/10に底をつけ、2024/6にオールタイムハイ更新となりました。終わった週は「棒上げ」でした。
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SOX(半導体株価指数)日足を見ます。6/13(木)に高値5624.01 をつけ、オールタイムハイ更新です。
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SOX「週足」です。4/19週に「大陰線」をつけてから8週目です。オールタイムハイ更新です。
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ラッセル2000と「日経平均ドル建て」の相関を見ておきます。
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ここで「米国債利回り」(青線)を見ておきます。10年債利回りは4/25に4.702%で一旦のピークをつけ、6/14は4.219%で週を終えました。赤線は、債券ボラ(MOVE)です。
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10年債利回りと2年債利回りのスプレッドです。同スプレッド(緑)は、2023年にはマイナス1%超えまで大きく「逆イールド」が進みました。その後マイナスが縮小して、4/24には -0.285%まで上昇しました。6/14は -0.483%となりました。
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実質金利とS&P 500です。ここでは「10年債利回り」から「BEI(Break Even Inflation、市場が予想する期待インフレ率)」を差し引いたものを「実質金利」(青線)としています。実質金利は4/25に2.28%をつけ、6/14は2.05%で終えています。実質金利は、4/10にCPIが発表されて以降は基本2%以上です(6/5の1日だけ1.98%の2%割れ)。
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ドル円の日足です。160円をつけてから介入で152円まで下落した後、157円近辺まで戻りました。6/14(金)の日銀政策決定会合では再びの肩透かし。
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ここで「円相場」です。主要通貨に対して、円安が進行しました。世界の資源価格が上昇し円が安くなれば、円建ての原材料価格は上昇します。賃金上昇の好循環がもたらす物価上昇基調とは違ったコストプッシュ型物価上昇になる可能性があります。足元の為替介入はその懸念の表れかと見ています。
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S&P 500に戻ります。冒頭のシンプルな「S&P 500」チャートに、200日線からの乖離率を加えたものです。6/14の乖離率は12.61%です。直近で乖離率が最大になったのは3/21(FOMCの翌日)で、乖離率は14.04%でした。
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S&P 500とSKEWの関係を見ておきます。青いタテ線は、SKEWが当面の高値をつけた時です。そのしばらく後に、S&P 500が高値をつけるケースが見られました。この様な環境下、6/13にSKEWは再度160超えを付けました。良いサインであるとは受け止めていません。
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SKEWが150以上でピークをつけた後、S&P 500がピークをつけた事例を以下にまとめました。以下の事例の範囲では、28~49営業日で株価がピークをつけて、大きめの調整に至る傾向がある様に見えます。
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VIX先物について、「Non-Commercial」資金のネットポジションの推移を赤線(左軸)で示しました。青線はVIX現物(右軸)です。シカゴボードオプション取引所 (CBOE)子会社のCBOE先物取引所のデータを基にしています。毎週火曜日付けで出てくるので、最新データは6/4のものです。6/11(火)のVIX先物の差引のショートポジション(赤線)は「-48438枚」でした。赤線が上に行くほど、ボラが高まり易くなる可能性があると見ています。
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S&P 500に加えて、ナスダック100、ダウ工業株、ラッセル2000をプロットし、合計4本の株価を並べました。2021年秋冬の高値を100として指数化してあります。ラッセル2000(赤線)には、儲けを出していない会社が4割ほど有るとの事で、特に留意しています。
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S&P 500、ダウ工業株、ドイツDAX、日経平均、日経平均ドル建て、の5チャートを2021年末=100として指数化しました。赤点線の「日経平均ドル建て」を見ると、ダウ工業株(青点線)やS&P 500(青実線)の戻りに追いつけず、ギャップが開いたままになっています。足元の円安は、日本株にマイナスとなっている可能性があります。
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ダウ工業株、ドイツDAX、日経平均の1985年からの長期株価です。各月の月末終値データを掲載しています。「日足チャートのみ」を見ていると気が付かない事が見えて来ます。様々な好条件が重なって、株価の大きな上昇が起きた後である点に留意して下さい。「ここから買って」または「保有継続」で、本当に儲かるのか要検討です。
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バフェットはキャッシュポジションを積み上げ中です。魅力的な投資先が見つからない時の動きです。
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全81チャート中39チャートまで来ました。これ以降さらに有効な情報が、チャートと共に続きます。知恵(投資についての正しいロジック)と経験値(正しい基礎をベースにした実践とその検証の経験の累積)を持つ人間が集まって、時間と労力をかけて作成しています。これより先を有料とさせて頂きますが、御理解頂ければ幸いです。
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