見出し画像

マイクロソフト 決算(2024/4/25 発表)

1~3月の売上高は、前年比+17.0%増加の61858百万㌦でした。粗利率は70.1%でした。営業利益は27581百万㌦、営業利益率は44.6%となりました。クラウドサービス「アジュール」を含むインテリジェントクラウド部門の売上高は、前年比で21%伸びて267億㌦となりました。(以下に添付のマイクロソフト業績 ①「3部門」を御参照下さい)注目の「アジュール」の売上高は、前年比+31%でした。(マイクロソフト業績 ②「各商品サービスの伸び率」を御参照下さい)モアパーソナルコンピューティング部門の売上高は、前年比17%伸びて156億㌦となりました。2023/11に「30㌦/月」で企業向けに提供を開始したAIツール「コパイロット」が企業向けソフトウエアとウィンドウズ事業の伸びに寄与している模様です。
 
4~6月の会社ガイダンスは、以下に添付の通りです。売上高の会社予想は、前年比+13.9%増加の64000百万㌦です。粗利を44300百万㌦と見込んでおり、粗利率予想は69.2%となります。営業利益を27100百万㌦と見込んでおり、営業利益率は42.3%となります。(3つ下に添付の「FY24 Q4 Outlook」を御参照下さい)
 
1~3月:実績
売上高:61858 百万㌦ +17.0% y/y
粗利: 43353 百万㌦
粗利率:   70.1 %
営業益:27581 百万㌦
利益率:   44.6 %
 
4~6月:会社ガイダンス
売上高:64000 百万㌦ +13.9% y/y
粗利: 44300 百万㌦
粗利率:   69.2 %
営業益:27100 百万㌦
利益率:   42.3 %

資料:マイクロソフト業績 ①「3部門」
資料:マイクロソフト業績 ②「各商品サービスの伸び率」
資料:マイクロソフト「FY24 Q4 Outlook」
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https://c.s-microsoft.com/en-us/CMSFiles/OutlookFY24Q3.pptx?version=6e34f351-e6b0-846d-3ea9-87e942836305

以下に添付したチャートの右端が、4~6月の会社ガイダンスになります。

資料:Gold River

サティアナデラCEOは、マイクロソフトの全製品に提携先であるオープンAIからの技術導入を進めています。文書の要約や新しいコンテンツを生成するAIツールを業務用ソフトウエア「オフィス」に追加しました。オープンAI商品付きのクラウドサービス「アジュール」のサブスクリプションを購入する顧客が出始める等、既にAIイノベーションの強化の成果が出始めている模様です。
 
サティアナデラCEO及びエイミーフッドCFOが、カンファレンスコールで述べた事は、以下の通りです。「(オープンAIの「Chat GPT」等の技術をクラウド経由で使う「アジュールオープンAIサービス」の提供が増えた事に関し)大手企業の6割以上が同サービスを使っている」「アジュールの大型案件が増え、1億㌦以上の契約が前年同期比で80%増えた」(将来の売上高の指標とされる「コマーシャルブッキング」は29%増となり)「我々が予想していた水準をかなり上回った」「(データセンターのグローバルネットワーク拡大に多額の投資を進めており、1~3月の設備投資が140億㌦に増加した事に関し)「AI需要拡大が続いており、我々もそれに見合った取り組みを続ける」「(今後の設備投資が1~3月の140億㌦から)大幅に増加すると予想する。また、来年度の設備投資額も前年度を上回る」「(4〜6月期の見通しについて、AI関連の)需要が当社の供給能力を上回っている影響を受ける」としました。
 
AIで儲け始めている会社
 
以下は、メタの決算をレビューした時の考察です。
 
AIについては「産業革命である」とポジティブ視される一方、「正確性」や「IP保護」等クリアしなければならない課題も多々あります。AIについては、汎用AI(GAI、general artificial intelligence)ができる前までは、①業種や製品ごとに「AIとの親和性」に違いがある、②AI投資が実を結んでマネタイズ(実際に収益化)できるまでには時間がかかる(数年単位?)事がある、③AIにより大きな差別化に1番乗りできれば「その製品などで総取り(Winner takes all.)」となり得る、等と考えています。
 
AI関連事業について「業種や製品ごとに「AIとの親和性」に違いがある」としましたが、マイクロソフトはAIとの親和性が相対的に高い企業であると見ています。2019年にオープンAIに出資している時点で、同社の「目利き」に優位性があったと見ています。オープンAIが「Chat GPT(Generative Pre-trained Transformer、生成可能な事前学習済み変換装置)」を公開したのは、2022/11の事です。マイクロソフト以外の大手IT企業のAIに関する動きが顕著になったのは、それ以降である印象です。マイクロソフトは、オープンAIとの出資提携した後、あらゆる既存事業にAIを融合させて準備で他社に先行していたものと見ています。「Chat GPT」をクラウドで使えるサービスの顧客数は世界で5万社を超えているとの事で、マイクロソフトは「AIイノベーション」を既にマネタイズ(収益化)できているものと見ています。メタのザッカーバーグCEOが、「(AIから収益が上がるようになるまで)数年かかる」としたのとは対照的です。
 
マイクロソフトは、1995年に発売を開始したパソコン向け「ウィンドウズ95」を起点に、長期的に大きな成長を遂げて来ました。一時低迷の気配がありましたが、「技術のパラダイムシフトにおけるリーダーであり続ける」とするサティアナデラCEOのもと、再び「長期的に大きな成長」の基盤となり得る技術を手に入れた可能性があると見ています。尚、ナデラCEOの経歴は以下の通りです。
 
1992年、サンマイクロシステムズからマイクロソフトに転職。サーバ部門、ビジネスソリューション部門を経る。2008年、オンラインサービス部門の上級副社長に就任。2011年、サーバ & ツール部門社長。2013年、クラウドやエンタープライズエンジニアリング部門の上級副社長に就任。2014/2、スティーブバルマーの退任後、3代目CEOに就任。

資料:Gold River

株価チャートをチェックしておきます。2021/4からの「週足」です。

資料:Stock Charts「週足」

1987年からの長期株価です。

資料:Trading View「マイクロソフト株価」
https://jp.tradingview.com/symbols/NASDAQ-MSFT/

今回はここまでです。
お読み頂き有難う御座います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?