見出し画像

インテル 決算(2024/8/1 発表)

4~6月の売上高は、前年比で-0.9%の12833百万㌦でした。粗利率は35.4%でした。営業利益は1964百万㌦の赤字でしたので、営業利益率は -15.3%となりました。パソコン向け売上高は、前年比+9.3%伸びて7410百万㌦でした。データセンター向け売上高は、前年比で-3.5%の3045百万㌦でした。この2部門を除いた残り全ての売上高(ネットワーク、旧アルテラ、ファウンドリ―事業、モビルアイ、等)は、前年比で4.6%減少して6632百万㌦でした。
 
7~9月の会社ガイダンスは、以下に添付の通りです。売上高の会社予想は、前年比で-8.2%の13000百万㌦(12500~13500百万㌦)です。粗利率予想(GAAPベース)は、34.5%と出してきました。営業費用を当方で6300百万㌦と推定し(1~3月期:6286百万㌦、4~6月期:6511百万㌦)、営業利益を推計しましたら、1815百万㌦の赤字との計算になりました。営業利益率で -14.0%となります。
 
1~3月:実績
売上高:12724 百万㌦ 前年比 +8.6%
粗利:   5217 百万㌦
粗利率:   41.0 %
営業益:-1069 百万㌦
利益率:   -8.4 %
 
4~6月:実績
売上高:12833 百万㌦ 前年比 -0.9%
粗利:   4547 百万㌦
粗利率:   35.4 %
営業益:-1964 百万㌦
利益率: -15.3 %
 
7~9月:会社ガイダンス
売上高:13000 百万㌦ 前年比 -8.2%
粗利:   4485 百万㌦
粗利率:   34.5 %(GAAPベース)
営業益:-1815 百万㌦
利益率: -14.0 %

資料:インテル「News Release」

以下に添付したチャートの右端が、7~9月の会社ガイダンスになります。

資料:Gold River

 マネジメントからの発信:
 
今決算を受けて同社マネジメントは「本社の人員を減らし、現場で顧客をサポートする人員を増やす必要がある」「営業費用を削減し、2025年に100億㌦のコストを削減する」「11万人にのぼる全従業員の15%強を削減する」「2024/10~12期から株主への配当支払いを停止し、キャッシュフローが持続可能なより高い水準に改善するまで継続する(1992年以来、配当支払いを続けていた)」「(従業員へのメモで)前途が容易だと私(CEO)は幻想を抱いておらず、貴方達も抱くべきでない」「(今回の措置は)当社の歴史において最も重要な変化に属する」「売上高は、我々が望んでいる水準ではない」「財務はわれわれが望んでいる水準になかった」「(人員削減は)今後の事業についてより持続可能なモデルを確立できる状況にわれわれが至る上で必要だった」「2024年の新規工場や設備への支出を20%余り削減し、現時点での予算は250~270億㌦で、来年分は200~230億㌦の見通し」等としています。因みに、インテルは2023年に従業員を5%削減しています(発表は2022/10)。
 
以下の文章は、1~3月期の決算コールにおける同社マネジメントによる発信です。御参考までに以下に添付しておきます。1~3月期が底で、2024年後半はかなり力強いものになる等、当時は随分とアップビートなトーンですが、僅か3か月間で今回の様に劇的に変わってしまいました。
 
ここから→ 決算発表を受けてのカンファレンスコールにおいて、ゲルシンガーCEOやジンスナーCFOからのコメントは以下の通りです。「1〜3月期が底だと見ており、25 年に向けて収益の伸びが強まると予想している」「今年後半は、かなり力強いものになるだろう」「基本的に全ての事業が下半期にはより良くなると予想している」(下半期のパソコン販売について)マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」の新バージョン発売に伴う買い替えサイクルが始まると楽観視している模様です。また、4/9のインテルのテックカンファレンスおいて数か月以内に投入するとしたデータセンター向けAI半導体の新製品「ガウディ」は今年5億㌦以上の売上高を達成すると見込んでいるとの事です。メタの大規模言語モデル(LLM)で比較した場合、エヌビデアのAI半導体「H100」に比べてデータ学習速度が平均で1.5倍速いとの主張があった様です。←ここまで
 
AI半導体「ガウディ3」:
 
同社は、7〜9月期にはエヌビデアのGPUに対抗するAI半導体「ガウディ3」を投入する計画です。しかしながら、この「ガウディ3」に関しては、最初から負け戦の可能性があると見ています。以下の解説は、4/28のnote「インテル決算(2024/4/25 発表)」から一部抜粋して再掲したものです。御参考までにどうぞ。
 
ここから→ =========================================
 
データセンター向けAI半導体の新製品「ガウディ」について触れておきます。「Gaudi 3はNVIDIAのH100/H200をターゲットとしている」「H100(エヌビデアの足元のAI半導体大ヒット商品)とのトレーニング性能の比較では、平均1.5倍高速(1.4~1.7倍高速)」「推論性能におけるH200(エヌビデアのH100の次)との比較になると旗色が悪い」「H100はHBMが80GBだったので、トータルで128GBを実装するGaudi 3にアドバンテージがあるが、141GBを搭載するH200にはメモリー量で負ける」「LLAMAだと良くて同水準、70Bだと明らかにメモリー不足」「Gaudi 3の特徴としては電力効率の良さをアピールしたい模様だが、高効率なものもあるが違う事も多く、何をどう実行するかで変わる」「今後のロードマップについて、Gaudi 3の後継としてGaudi 4的なものは特に考慮されておらず、次はFalcon Shoresになる事が改めて明らかに」「Falcon Shoresは、Ponte Vecchioの後継となるAPUである」「Falcon Shoresは、x86コアとXeベースのGPUから構成され、しかもユニファイドメモリーが実装される構成である」「インテルとしてはGaudiをoneAPIに統合するより、Gaudiのアーキテクチャーを廃してXeベースでAIを処理する方向に舵を切ったと考えるのだが妥当」「Gaudiは、あくまでXeベースのAIトレーニング向け製品が出るまでのピンチヒッターという役割だった事が今回の発表で明らかになった」(大原さん「Intel Vision 2024」https://ascii.jp/elem/000/004/194/4194919/
 
インテルのAI半導体「Gaudi」については、この様な前評判が出ている事、インテル自身が売上目標5億㌦という中途半端は数字を述べています事から、余り期待できないものである様に想定します。AI半導体は「売れるものならとことん売れるが、優位性がないと見做されると見向きもされない」「顧客はみんなベストなものが欲しい」と考えており、「勝者が総取りする」ものであると見ております。トレーニング性能、推論性能、電力効率、などAI半導体のポイントとなる要件の「最適解」でエヌビデアに及ばない様に見えるものをインテルが大々的に発表してきたあたりに、今のインテルのパワー不足を感じます。インテルに関しては、2016年以降のCPU製造の不具合からここまで来てみて、半導体業界の「栄枯盛衰」をハッキリ目の当たりにしている印象です。また、エヌビデアがソフトウエアCUDAも含めた開発環境を整備して「経済のお堀」をガッチリ固めてきているあたりに、エヌビデアの用意周到ぶりを印象付けられます。(エヌビデアは電力効率問題にどう対処できるのか見て行きます)

資料:インテル「Intel Vision 2024」 https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/vision-2024-gaudi-3-ai-accelerator.html#gs.81ejk1

ファウンドリ事業:
 
ファウンドリ事業について見ておきます。この4~6月期は、売上高が43億㌦、営業利益が28億㌦の赤字、営業利益率は -65.5%でした。過去12か月分を合算すると、売上高は186億㌦、営業利益は80億㌦の赤字、営業利益率は -43.0%でした。

資料:インテル「決算資料」

株価チャートをチェックしておきます。2021/7からの「週足」です。

資料:Stock Charts

今回はここまでです。
お読み頂き有難う御座います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?