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6323 ローツェ 決算(2024/7/11 発表)
7/11(木)引け後、以下の通りローツェが3~5月期の決算を発表しました。同社は、半導体関連装置(搬送装置)を主に手掛けています。他には、FPD関連装置、分析装置、ライフサイエンス関連装置、それらの部品や修理などの事業も手掛けています。半導体製造装置に関する「受注動向」をチェックするために、こちらでは同社売上高の9割超を占める半導体関連装置(搬送装置)にフォーカスします。
3~5月:会社全体
売上高:29288 百万円 前年比+75.5%
営業利: 8748 百万円
利益率: 29.9 %
純利益: 8774 百万円
1. ローツェの手掛ける半導体関連事業
![](https://assets.st-note.com/img/1720975851532-aetHvuDYnA.png?width=1200)
同社の手掛ける半導体関連事業は、上に掲載の写真にありますように、半導体シリコンウエハを搬送する装置がメインです。今年の3~5月期においては、これら半導体関連事業のうち、26%がエンドユーザー向け、74%が装置メーカー向けという構成比になっています。また、近年の傾向としては、ユニットとしてよりも寧ろシステムとして販売する事がメインになっています。各製品については以下の解説を御覧下さい。
同社の強みは、パーティクル(※)を低レベルに抑える高い技術と故障の少なさ(半導体製造は非常に高コストなので、基本的にフル稼働が長時間可能な事が前提となります)にあります。半導体製造装置向け「搬送装置」市場の正確なシェアデータ数値はありませんが、おおよそ3~4割なのではと推定しています。
※パーティクルとは:
パーティクル(particle)とは「小片及び粒子」を意味しますが、半導体業界におけるパーティクルとは半導体製造プロセスにおいて悪影響を及ぼす「数百~数十nmレベルの微粒子」の事を指します。パーティクルは、半導体シリコンウエハに付着し成膜や露光時の不良を起こす、製造装置内で光学系に影響を与え不良を起こす等、半導体の生産歩留まりを悪化させることから、軽減の取組みが長らくなされてきました。パーティクルを構成する物質は、金属、ゴム、プラスチック、ホコリ、塵、等の固形物が含まれます。半導体工場では外部からもたらされるパーティクルを低減するために、クリーンルーム内の気中清浄度を保つよう取組みがなされていますが、実際は気中に浮遊し外部から混入するもの以外にも、製造装置自体がパーティクルの発生源である場合があります。
搬送用ロボット:半導体シリコンウエハを汚染することなく搬送する装置です。半導体製造工程では真空環境を用いる処理があるため、大気用搬送ロボットと真空用搬送ロボットの2種類があります。また、これら搬送用ロボットには、半導体シリコンウエハの整列や半導体シリコンウエハに付されているロットナンバーの読み取りを行うアライナーや、半導体シリコンウエハを格納している容器(FOUP)の蓋を開閉するロードポート等が含まれます。
EFEM:装置の前面にロードポートを持ち、内部に半導体シリコンウエハ搬送用ロボットやアライナーを搭載した装置であり、半導体プロセス装置の前面に設置されます。半導体シリコンウエハを格納している容器(FOUP)と半導体プロセス装置の間で半導体シリコンウエハを搬送する装置です。足元で急拡大している中国の半導体メーカーの間では、トップシェアを誇ります。
ウエハソーター:装置内にある半導体シリコンウエハ搬送用ロボットがFOUPに保管された複数の半導体シリコンウエハの中から1枚ずつ取り出し、半導体シリコンウエハに付されたロットナンバーを光学的に読み取り、振り分けを行い、別のFOUPに収納する等、FOUP間で半導体シリコンウエハの移載を行う搬送用の装置です。
N2パージウエハストッカー:半導体シリコンウエハ保管庫の内部を窒素ガスで満たすことによって「無酸素かつ低湿度」の環境を作り出し、半導体シリコンウエハ表面への自然酸化膜の形成を抑制しながら、半導体の製造工程間で半導体シリコンウエハを保管する大型の装置です。数千枚の半導体シリコンウエハを一度に保管する事が可能です。TSMCが選好している装置であると見ています(1996年に、台湾の新竹科学工業園区に関連会社RORZE TECHNOLOGYを設立しています)。
2. 半導体関連事業の「受注動向」
3~5月期:半導体関連装置
売上高:26836 百万円 前年比+91.9%
受注高:22616 百万円 前年比+66.2%
受注残:52180 百万円
下に添付のチャートを御覧下さい。薄い青のバーグラフが半導体関連事業の受注高です。3~5月期は前年比で+66.2%伸びて226億円となりました。2023/11~2024/2期は前年比で+94.0%でしたので、前年比の伸び率がややスローダウンした事になります。ピンクの折れ線グラフは半導体関連事業の「受注残」です。前Qからやや減少しました。これらの事から言えるのは、半導体製造装置セクターは「調整に向かっているのかしら」との疑念を頭の隅に置いておく方が良さそうという事です。搬送装置自体はリソグラフィーやデポジションの様な先端プロセスの帰趨を決定付けるものではないですが、それら先端プロセス装置と一緒に工場内に配備されるので「半導体製造装置」セクターの動向を知る事ができます。
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半導体製造装置セクターについては、以下の通り(グリーン色)2017年春にて業界全体の「受注データ公表」は終了しました。しかしながら、ローツェの様に、独自で受注データを公表している企業がありますので参考になります。7/17決算予定の「ASML」も、独自に受注を公表していますので参考になります。
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3. 地域別売上高データから留意すべき点
以下に添付のチャートは、ローツェの地域別売上高です。中国向けが顕著に拡大しており、他地域向けはフラットですので留意が必要です。足元の半導体セクターが牽引する株式相場ラリーは、「AI」が主役の「ストーリーテリング」の印象が強いです。しかし、実ビジネス(決算データ)では中国向け売上高が業績を牽引しています。同社の3~5月売上高の46%が中国向けです。中国は国策として「半導体の自給自足を目指している」ものと見られ、半導体製造装置メーカーの中国向け売上高は更に拡大する余地はあるかもしれません。しかし、経済的な理由(半導体に対する長期的な需要トレンドを上回る生産キャパシティとなる潜在性があります)以外の理由であるとするならば、将来の半導体需給に対する抑制要因(潜在的な価格低下)となるリスクを孕みますので注意が必要です。
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株価に関しては、10年間の「月足」を見ておきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1720976164093-QiIsN2pu9Z.png?width=1200)
業績に関する会社からの説明は以下の通りです。
経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や設備投資に持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかに回復しました。しかし、世界的な金融引締めの影響による景気減速リスクや地政学リスクの高まりなど、依然として不確実性が残る状況が続いております。当業界におきましては 、半導体需要 の回復と在庫の正常化 が進み、特にHBM(High Bandwidth Memory:高帯域幅メモリー)を中心とするAI関連の半導体需要が回復を主導しました。さらに、自国のサプライチェーン強化を目的に、中国において半導体製造拠点の増強が活発化し、それに伴う半導体製造装置への投資が顕著に増加しました。このような状況の中、当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高29,288百万円(前年同期比75.5%増)、営業利益8,748百万円(前年同期比85.4%増)、経常利益11,361百万円(前年同期比118.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益8,774百万円(前年同期比146.7%増)となりました。
今回はここまでです。
お読み頂き有難う御座います。
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