「70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術 プロティアン」を読んで

こんにちは。ミートキャリアサポーター・アカデミー3期生のきんちゃん@キャリア支援見習いです。
アカデミー初回座学でも取り上げられ、お勧め書籍にもなっている「70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術 プロティアン」を読了しました。私自身の振り返りのためにnoteで感想を綴っていきます。

そもそもプロティアンという言葉を知らなかった

ミートキャリアサポーター・アカデミーの受講生には専用のslackが用意され、各種インフォメーションや講座の資料がそちらで共有されるのですが、「講師のおすすめの書籍」的なコーナーがあり、そこで初めて「プロティアン」を知りました。キャリコン資格未取得で、キャリアに関する勉強といえばエドガー・シャインさんや金井壽宏さんの本を読んだくらいの私には、初見で「プロテイン!?」としか読めず(笑)
とにかく、まずは読んでみなければと、思い購入にいたりました。
以下、本文を引用しながら、自分なりの感想や気づきを綴っていきます。
なお、あくまでこのnoteでは自分本位というか、自分の学びを綴ることが大きな目的なので、この本の要約にはなっていないことをご了承ください。

プロティアンとは

プロティアンという言葉の語源は、ギリシャ神話に出てくる、思いのままに姿を変える神プロテウスです。プロテウスは、火にも水にも獣にもなる、環境の変化に応じて変幻自在に姿を変えます。
このプロテウスという言葉にキャリアを掛け合わせて、米ボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授が1976年に提唱した概念が「プロティアン・キャリア」です。
著者の田中研之輔さんは、あるときこの概念に出逢い、これだ!と衝撃を受け、そこから現代のビジネスパーソンのキャリア形成に活かしていくことを考えるようになったとのことです。
プロティアン・キャリアは、
・キャリアとは組織の中ではなく、個人によって形成される
・キャリアとは変化に応じて、個人にとって必要なものに変更できる
という考えです。

組織から、自分の手に取り戻す

キャリアは組織に預けるものではなく、自分で育て、形成する

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p26

「組織の中」で捉えられてきたキャリアから、「キャリアの中」で組織を捉えるように、認識を変えること。組織に預けてきたキャリアを、自らの手に取り戻す行為でもあります。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p71

プロティアン・キャリアを形成するには、人は組織にキャリアを預けず、自分で主体的にキャリアを構築していかなくてはなりません。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p136

まずはじめに私に刺さったのが、キャリアというものを「組織に預ける」から「自分の手に取り戻す」という表現です。特に「取り戻す」という言葉には、本来は自分たちのものであった大事な何かを、意志を持って取り返しにいく、というこれ以上ない主体性が込められていることがハッキリとわかります。
とても気に入ったので、キャリア支援者のためのキャリア相談でカウンセラーの方に自分のことをお話しする際にそのまま使っていました(笑)
これまでの私の引き出しには、「自分の人生の主人公は自分」的な表現がありましたが、これだと「ふーん。それで?」のような感じもあり。取り戻すというワードを使うことで、一気にストーリーや情景が目に浮かぶようになり、立体的になる気がします。
つくづく、言葉選びはセンスだな、と感じます。
同じことを言っていても「これまで:組織 → これから:自分」のような表現だと私には響かなかったはず。
相手にいかに刺さる・響く表現ができるか?はキャリア相談の現場でも求められそうです。というか、すでに日々の仕事で求められていますね(笑)

組織の中で起こりがちなこと

そのうえ、組織の中で成果を出すことに追われていると、一番大切なことを見失ってしまいます。それが自分自身のキャリアのことなのです。
私たちは組織の中で働いていると、一番大切な自分自身のキャリアについて、つい思考停止に陥ってしまいます。組織が守ってくれると思うようになるからです。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p26

「たとえラットレースに勝ったとしても、君たちはしょせん、ネズミのままだ」

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p120

誰にどのように思われるかばかり気にして、本来の仕事のおもしろさを忘れ、自分自身を見失っているのかもしれません。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p64

まさに少し前までの私のことを言い当てられている感じです。私はもともと組織で仕事をするのが好きです。チームで目標を達成する喜び、へこんでいる自分を助けてくれる同僚や上司、困難に対して諦めずに取り組むメンバーの存在などなど、多くのことを組織で働くことから学びました。その気持ちはいまでも変わりません。しかし、このように組織で成功体験がある人間ほど、所属する組織を肯定しがちで、視野・視界が狭くなっているのも事実かもしれません。
だからこそ、次の言葉が響きました。

社会に出ると、働き方や生き方の本質を教えてくれる人はいません。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p26

そうそう、そうなんだよ!と思わず膝を打った言葉。
「働くとは?」「生きるとは?」「仕事とは?」ということって、普段生きていて、教えてくれる人なんていない。社会に出てからも出る前も、まして学校でも、教えてもらった記憶はないです。(キャリア教育とかなかったし)人間は自分の周囲にいる人から影響を受けるものだと思うので、会社のように一つの組織に染まってしまっていると、そこがすべて、になってしまう。よほど意識して外を見ていないといけないですよね。

アイデンティティと没頭

アイデンティティとは、「自分とは何者であるのか」ということ。
ビジネスシーンであれば、「ビジネスパーソンとしての私らしさは何か」を意味します。自分らしい仕事に没頭できれば、心理的な達成感は高まります。いまの仕事に満足しているビジネスパーソンの多くは、仕事上でアイデンティティを確立できている人だと言っても過言ではありません。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p55

これまで私は、ビジネスパーソンに対して継続的にヒアリング調査を重ねてきました。その結果から明らかなのは、「仕事がつまらない」と話す人は決まって、目の前の業務に没頭できていません。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p100

仕事がつまらないというモヤモヤを抱えている人にヒントとなるような言葉です。私も社会人なりたてから4~5年は、とにかく仕事がつまらなくて仕方がなかったです。いま思えば、こんなはずじゃなかった、という思いを言い訳にして仕事に向き合わず、趣味やプライベートに逃げていた時期です。
私の場合、社会人5~6年目からスイッチが入って、仕事が面白いと感じるようになりました。このプロセスをうまく言語化できるとキャリア支援に役立つよな~と思いながらできていません。
キーワードは、「目の前の仕事に没頭没入」「腰掛け気分から組織の一員となる」「周囲から頼られる」「同じ境遇や志の仲間」「理解ある上司」・・・。順番は思いついた順であげてますが、こんなことをうまく整理してみます。(今度)
また、アイデンティティという点では、著者は以下のような指摘もしています。

現実には、自分の「心に沿った道」が分からない人も多いのではないでしょうか。特に大学卒業後、いわゆる良い会社に"就社"して、対外的には成功を収めてきたように見える優等生タイプの人は、内的な動機を見いだしにくい傾向が見られます。
親や先生、友達などの評価や価値基準に沿って、いいとされるものばかりを手に入れてきた結果、自分自身がどう思うかという問いかけがあまりできてこなかったのでしょう。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p140

親や先生、友だちが「よい」という学校や会社、塾や予備校、服や靴、遊びなど、選択するものすべてを他者に委ねて生きていると、「自分で選択したつもりが、実は人に勧められたものを選んだだけだった」なんてことも起こりそうです。
本当は自分は何を望んでいるのか?何をしたいのか?この選択が本当に自分がしたいことなのか?
学校とか部活、会社、キャリア支援では、こういった節目の選択をどのようにしてきたのか?なんていう視点も大事になりますね。

弱い紐帯の強み

「弱い紐帯の強み」とは、家族や親友、職場の仲間といった「社会的に強いつながりを持つ人々」よりも、友達の友達やちょっとした知り合いなど、「社会的なつながりが弱い人々」の方が、新しく価値の高い情報をもたらしてくれる可能性が高い、ということを示した言葉のことです。

70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術プロティアン 田中研之輔
p148

「弱い紐帯の強み」は、マーク・グラノベッター教授が提唱する社会的ネットワーク論の概念です。私も知っていました。
そもそも、有料キャリア相談というビジネス自体が、弱い紐帯の強みを生かしたものですよね。家族や友人、職場の同僚には面と向かって相談しづらいし、相談に乗る方も、近しい間柄ゆえに忖度したり躊躇してしまうところがあるもの。その点、ある意味割り切った関係性のキャリアカウンセラーとクライアントであれば、お互いに腹蔵なく話ができる(ような気がします)。少なくとも、普段クライアントが気づかない視点でのアドバイスを提供できるのでは。
有料キャリア相談は、弱い紐帯の強みという点でも非常に理にかなっていると思っています。

おわりに

非常に長文かつ、自分の気づきを思うままに書き連ねた文章となっています。繰り返しになりますが、本の要約を目的としたものではありませんので、プロティアン・キャリアの概要をお知りになりたい方は、プロティアン・キャリアで検索されたり、書評サイトをご覧いただけると幸いです。

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