【凱旋門賞2021】~出走馬の経歴を知りレースを更に楽しむ~



今年も凱旋門賞の季節がやって参りました。


毎年、日本のみならず世界の競馬ファン・ホースマンが待ち焦がれ、憧れる大一番。


私自身も毎年楽しみにレースを見ておりますが、今年は海外競馬により熱が入った事もあり各馬の動向や前哨戦の内容、それ以前の結果やそこからの成長力etc... 日本競馬と同じ熱量で見てより一層凱旋門賞が楽しみになっております。


今回はその凱旋門賞の出走各馬のメディア等で公になっている情報から個人的な見解まで経歴とともに書き綴っていき、凱旋門賞への楽しみを皆さんと共有して参りたいと考えております。
もちろん馬券購入に役立つ情報共有になればなお嬉しいですが、"皆さんの楽しむ視点を増やしたい"というのが第一の目的なので各馬のマイナス情報やネガティブコメントは基本的には出さず「良さ・利点」のみ載せて参ります。あしからずご了承下さいm(__)m



まずは日本にとって情報の少ない海外の有力勢からご紹介して参ります。



①頭目:スノーフォール (牝3 愛)

情報の少ない海外勢とは言えど、この馬なら皆さんもご存知でしょう。
日本競馬の結晶・ディープインパクトを父に持ち、ノーザンファームで生を受けたのち海外へと渡った日本競馬にとっても非常に縁のある1頭。
2歳時の昨年はマイル以下の距離で思うような成績を残せない中、フィリーズマイルにおいては同厩のマザーアースとの取り違え事件が発生し不本意な形で話題となったものの、3歳になった今シーズンから馬が変わったかのようなめざましい活躍で連戦連勝。特に衝撃だったのは英オークスでの16馬身差圧勝劇で、レース後鞍上のL.デットーリ騎手が「熱いナイフでバターを切っているかのような感覚」と表現した事がさらに強さを印象付けるものとなりました。
その後も愛オークスで8馬身差、ヨークシャーオークスで4馬身差と圧勝に次ぐ圧勝で一躍凱旋門賞の主役へと名乗りを上げ、前哨戦のヴェルメイユ賞ももはや勝ち負けではなく"勝ち方"に注目が集まっていましたが、ここで2着に敗れ連勝がストップ。勝ったティオーナはミュージドラS、英オークスでそれぞれ負かしていた相手だけによもやの敗戦となってしまい、本番と同じロンシャンの12F戦で敗れた事によりブックメーカーによる前売りオッズも1番人気から陥落するなど一気に暗雲が立ち込めてしまいます。それでも陣営は至って冷静で「あくまでも前哨戦」「勝てなかったもののラスト6Fはどの馬よりも速かった」と前向きなコメントを残し、また今回へ向けた状態に関しても"素晴らしい"と太鼓判を押すなど自信が窺えます。
個人的にも今回の凱旋門賞へは追加登録を行っての出走である事から、本来目標に据えていなかった大一番へ照準を絞るべく今夏の調整やレース選定が少々難しかったのではないかと推測し、馬場適性に関しても英オークスのパフォーマンスを見るに道悪馬場がマイナスとはとても言い難く、単純に前走の敗戦はデキも展開も噛み合わなかったものと捉えております。
何れにせよ、ポテンシャルはメンバー随一どころか世界No.1と言っても差し支えないでしょうし、能力通りに走る事ができれば連勝時同様の圧勝劇が見られるかもしれません。




②頭目:アダイヤー (牡3 英)

続いてはこの馬。
日本でもお馴染み「ゴドルフィン」の持ち馬で今年の英ダービーを制した3歳牡馬。その英ダービーでは今回同じく有力と目される同厩・同馬主のハリケーンレーンらを寄せ付けず、7番人気という低評価を覆しての快勝。一躍注目を浴びると続くキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは5頭立ての少頭数ながらミシュリフをはじめとする超豪華メンバーを相手に完勝。英ダービーの勝利がフロックでない事を証明するだけでなく世界トップクラスの実力を持っている事も同時に証明してみせました。
英ダービーでの低評価には幾つか理由があるものの、やはりそれまでの成績が特筆すべきモノでなかった事は大きく、素晴らしい馬体の持ち主ながら当時はまだフォームがバラバラで質の良さを走りに活かしきれていない印象を個人的に受けていました。それがようやく実になりダービー、キングジョージの連勝に繋がるわけですが、その成長力は凄まじく今回はキングジョージ以来のレースとなるものの、凄まじい成長力で更に馬が良くなっている可能性もあるだけにあらゆる面において未知の魅力を感じます。
流動的であった鞍上も引き続きW.ビュイック騎手に決まり、ゴドルフィンの一番手ジョッキーがこの馬を選んだというだけでもさらに期待が膨らみます。




③頭目:ハリケーンレーン (牡3 英)

続いてはアダイヤーと同じくゴドルフィン2大勢力の1頭として注目を集めるこの馬。
こちらは対照的にデビューから素質の高さを存分に発揮し、無傷の3連勝でダービーへと駒を進めると当日も2番人気に支持されましたが先述の通りアダイヤーに敗れ3着。しかしここで下降線を辿る事無く、愛ダービーで差し切り勝ちを収めると続くパリ大賞典も圧勝し、前哨戦となる前走の英セントレジャーもラスト1.5Fまで持ったままの手応えで悠々快勝。通算成績7戦6勝、G1・3連勝というキャリアだけなら今回のメンバーでもトップクラスと言えますが、やはり今回出走するアダイヤーに英ダービーで敗れた点、またそのアダイヤーを主戦のビュイック騎手が選んだという点が人気を下げる要因になっているかと思います。
しかし、代わって手綱を取るJ.ドイル騎手もビュイック騎手と共にゴドルフィンの主戦ジョッキーとして活躍している上、2018年の凱旋門賞ではシーオブクラスに騎乗しエネイブルに迫る2着と好走、その他にもG1・2勝のポエッツワードや世界的名マイラー・キングマンなどの主戦も務めた世界屈指の名ジョッキーで、ビュイック騎手の代わりと呼ぶには勿体ない騎手起用のもと今回の大一番へ臨みます。
あとは渋った馬場でパフォーマンスが上がるタイプだけに当日の馬場状態というのはひとつカギになってきそうな所。母父のシロッコも現役時代は道悪を得意とし凱旋門賞を馬場が硬いという理由で回避する程のパワータイプで、14.5F戦の英セントレジャーを稍重馬場で制し今回と同じロンシャン12F戦のパリ大賞典を重馬場で制したスタミナやパワーは母父シロッコから受け継がれているのでしょう。個人的なこの馬の印象としては、走りのバランスが本当に素晴らしく軸のブレないフットワークで欠点の少ないタイプと認識しております。道悪巧者で走りのバランスが良いというのはなかなか希少な存在ですし個人的にも好みの1頭です。




④頭目:タルナワ (牝5 愛)

続いては古馬勢からこの馬を紹介。
前述3頭とは対照的に日本にとってあまり馴染みがなく情報が少ないと感じている方も一定数おられるのではないでしょうか。
それもそのはずで、日本で馬券が発売されたレースには今まで出走しておらず日本馬との直接対決もなくここまで実績を積んできており、スノーフォールのヴェルメイユ賞敗戦により凱旋門賞の前売りオッズ1番人気に転じた(※現在はアダイヤーが1番人気)というのが日本の競馬ファンによる視点かと思います。
しかしこれまでの戦績は1番人気に支持されるだけの素晴らしい実績を誇り、本格化を迎えた昨シーズンにはヴェルメイユ賞、オペラ賞、BCターフとG1・3連勝を果たすなど4戦4勝で年間無敗。中でもBCターフでは日本馬とも幾度となく対戦したマジカルらをねじ伏せる完勝劇で一躍中長距離界のトップ戦線へ名乗りを上げ、今シーズン初戦となったバリーローンSも6馬身半差の大楽勝。前年から5連勝で迎えた前走の愛チャンピオンSではセントマークスバシリカの後塵を拝し連勝ストップとなってしまったものの、勝ち馬の斜行により本来の力を発揮できず(審議になったが結果は覆らず)、距離に関してもやや短かったとの陣営評価で負けて強しと言える好内容の前哨戦でありました。
何よりこの馬の強みは綺麗な馬場、渋った馬場と条件不問で能力を発揮できる点で、終いは必ずいい脚を使うだけに大崩れは考えにくい1頭。アガカーン殿下の主戦ジョッキーであり日本でもお馴染みのC.スミヨン騎手が今回1年ぶりに同馬の手綱を取り、「殿下のために凱旋門賞のトロフィーをもう一度持ち帰りたい」と並々ならぬ想いを馳せているだけに狙うは"先頭ゴール"ただ一点のみでしょう。



今年はこの4頭が有力とされておりブックメーカーの前売りオッズでも10倍を切る形となっております。


そんな中、今年日本から挑戦するのがクロノジェネシスディープボンドの2頭。


前者クロノジェネシスは日本でもトップクラスの実力と実績を誇り、グランプリ目下3連覇を含むG1・4勝、さらには生涯で一度も掲示板を外した事のない超堅実派で今春のドバイシーマクラシックにおいても初遠征ながらミシュリフとクビ差の接戦を演じるなどポテンシャルは世界でも屈指のモノがあります。

後者ディープボンドはG1勝利こそ無いものの、今年の春の天皇賞では1番人気に支持され惜しくも2着という成績を残し、前哨戦となるフォワ賞では堂々の逃げ切り勝ちを収めている実力馬。とにかくバテないタフさが持ち味で重馬場の阪神大賞典を圧勝している実績からもロンシャンのタフな馬場もこなせるであろうと推測されます。騎乗予定であったC.デムーロ騎手が厩舎の優先契約の関係上ラービアーに騎乗する事となり直前での乗り替わりを余儀なくされてしまったのは残念ですが、代わって手綱を任されたのが敏腕のM.バルザローナ騎手であれば何ら不足はありません。海外競馬では日常茶飯事の事象なだけに難なく対応してくると見てよいでしょう。



その他の海外勢で気になる馬を挙げるならば、スノーフォールと共にオブライエン厩舎が送り出す2頭、ラブブルーム

前者ラブは昨年の凱旋門賞を馬場悪化の影響で回避したものの今年のプリンスオブウェールズSまでG1・4連勝を果たした世界トップクラスの実力馬。近走も大崩れこそしていないものの少々物足りない内容での敗戦が続いており今回は人気急落が濃厚でありますが、急遽の参戦や酷な斤量を背負わされるなどそれぞれ敗因は明確なだけにここでの巻き返しは十分に有り得るでしょう。

後者ブルームはクールモアとキーファーズによる共同所有馬で今回は武豊騎手の騎乗が決定し、海外馬ながら日本でも多くのファンが応援しているのではないでしょうか。決して話題性だけの馬ではなく、今シーズンはタタソールズGCで2着に入るとサンクルー大賞でG1初制覇。前哨戦のフォワ賞ではディープボンドにとって楽な展開を懸命に追い込んで2着と実績面においても決してヒケを取らず、名手の手綱捌きで更なる激走に期待したいところであります。

地元フランス勢は手薄と言われているものの、前出のラービアーは昨年のこのレース5着馬でありその後も安定した走りで順調にここまで駒を進め、昨年覇者の鞍上を据えて頂点獲りを目論む不気味な存在。地元ダービー2着のシリウェイはそのダービー以来の一戦ながら成長力次第では侮れない1頭で、日本にも一度短期免許で来日したF.ブロンデル騎手が引き続き手綱を取ります。


さらにはイギリス勢から前出のゴドルフィン2頭に加え、インターナショナルSでラブに先着しミシュリフに次ぐ2着と好走したアレンカー、未勝利の身でありながら英ダービーでゴドルフィン2頭に割って入る2着と激走したモジョスターも参戦し、イギリス勢は非常に層の厚い布陣となっております。




以上が凱旋門賞に出走する有力馬から伏兵馬までのご紹介でした。若干お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが実はほとんどの出走馬を紹介しております…(笑)

要するに今年はそれだけチャンスのある馬が多いという事であり、人気上位4頭はなかなか強力ですが伏兵馬の付け入る隙も十分にあると個人的には思っております。



今回ご紹介した馬の中から皆さんが各々"ビビッ"とくる馬を見つけ、予想や馬券購入等に役立てつつレース当日は存分に盛り上がって頂けたら私の本望でございます。

皆さんで素晴らしい凱旋門賞dayにして参りましょう(^^)/


ご一読、誠にありがとうございましたm(__)m





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