ラジオNIKKEI賞を振り返って感じたこと


スポーツには必ず競技者(プレイヤー)がいて、普及度にもよるが観客(サポーター)が存在する。
こと競馬においても両者が存在し、観客に関しては近年母数が急増している。


どのスポーツにおいてもプレイヤーとサポーターでは見ている視点や感じる事が大きく異なる。
プレイヤーはその業界のプロフェッショナルであり、観客はその競技におけるプロではないからそれもその筈である(中には元プレイヤーという者もいるが)。




先日のラジオNIKKEI賞で1番人気に支持され3着に敗れたレーベンスティール。レース内容は見ての通りで「スムーズにいっていれば…」と思わせる以外の何物でもない競馬。鞍上の戸崎騎手もレース後のコメントで「結果的にはもう少し位置を取るべきだった」と後悔の言葉を口にしていた。

レース後、ファンの間では当然の如くその騎乗に非難が集中。私のTwitter上では競馬記者の「これは酷い」というツイートまでオススメに出てきたほど。一体何をオススメしてるんだ(笑)


ファンが「酷い騎乗」と感じ、跨っていたジョッキーも後悔のコメントを残した事から、一見するとプレイヤーとサポーターで同じ感想を抱いたのではないかと考えられるが、個人的にはもう少し深堀りする必要がある事案だと感じたため今回noteにつらつら綴ってみようと思った次第である。




まず結論から言うと、レーベンスティールがどういう馬であるかを把握した上で騎乗内容を見る必要があるということ。


レーベンスティールは果たしてどういう馬か。まず一番に挙げられるのは前進気勢が強い馬であるという点。
あくまでも個人的な視点による考えではあるが、実際にラジオNIKKEI賞のレース前インタビューでも「前進気勢というか気持ちが強い馬」と管理する田中博康調教師が話しており、概ねこの馬の特徴と捉えてよいのではないだろうか。
追い切りでは引き手をグイグイ引っ張るように進んでいき、新馬戦でも鞍上がなだめている様子が窺えたように、本質は気性がやや勝っているタイプと言える。

であるとするならば、スタートして無理に位置を取りに行ったらどうなるだろうか。競馬をよく知っている方なら容易に想像がつくと思うが、折り合いを欠く可能性が非常に高まる。


ラジオNIKKEI賞以前の4戦はいずれも好位から競馬をしていたが、前半からペースが遅かったり内枠ですぐ前に壁を作れる状況であったりなど、位置を取っても折り合える環境が整っていた。しかし今回は、逃げ宣言をしていた馬や他にも行きたいクチの馬が数頭いたことで戦前はハイペース必至と目されていた。
となると、無理に位置を取れば必然的にハイペースに巻き込まれるため、折り合い面を加味しても「できれば前半は急かしたくない」「馬のリズムに合わせた競馬を」というジョッキー心理が働く。実際、スタートしてから戸崎騎手は無理に出してもいなければ強引に下げようともしておらず、馬のリズムに任せた結果、中団やや後方という位置になったのは見ての通り。それでも「結果的にはもう少し位置を取るべきだった」とレース後にコメントしたのは、あくまでも戦前の読みが外れ、勝利できなかった上での発言であって、「結果的に」という言葉の通りレースを終えてからの感想。


今回のレースを勝つためには結果的に位置を取るべきだったと私自身も思うが、今後の馬のためを思えば今回の内容は100点に近いと断言する。

というのも、今までのレーベンスティールは緩い流れで自然と好位を取り、4コーナーも自然と前が開いて末脚を伸ばすことができていた。裏を返せば、中団から脚を使う競馬も、馬群を割って抜け出すような競馬も経験していなかった。
大舞台へ行けば当然のように厳しい流れになり、メンバーレベルも上がって理想の位置を取れる可能性は圧倒的に少なくなる。さらには多頭数が必然となって馬群を割る競馬が求められる。新馬戦でソールオリエンスと叩き合いを演じたレーベンスティールの素質は間違いなく大舞台でも通用するだけのものがある。とするならば、G3競走の今回で厳しい競馬を経験できたのは非常に価値が高い。レースでは敗北し、賞金加算も叶わなかった“結果”だけを見れば勿体ない一戦になったと捉えざるを得ないが、これだけ内容の濃い競馬を経験できてどこが勿体ないんだ?というのが私の素直な感想だ。



ファンも恐らく、これらのことは承知の上だろう。その中でも馬券を購入している以上、やるせない想いがあって騎乗内容を批判しているんだと思う。

その批判がもしかしたら当事者たちに届き、奮起する要素になっている可能性もゼロではないため「批判するな!」とは言わないが、馬券での勝ち負けなんて一瞬の幸福度に過ぎないんだから、もっと先の長い話=今後の馬のことを考えてあげて、ポジティブな発言を増やしてほしいなぁと思う気持ちも。。。

弱小アカウントの細々とした心境ではあるが(笑)




話は逸れてしまったが、プロであるジョッキーは当然の如くファン以上に様々なことを考えてレースに騎乗している。終わった後もレースの勝ち負けのみならず馬の将来のことを分析している。

今回の一件で、改めてプレイヤーとサポーターでは価値観が大きく異なるということを再認識させられた。



思ったことをただつらつらと書いていったので、途中おかしな文章ばかりでしたがお許し下さい。




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