見出し画像

ランドウィック競馬場の特徴は? 【クイーンエリザベスS特集】


皆様こんにちは。
タイガーマスクGです。


今回は日本からユニコーンライオンが参戦を予定し、日本での馬券発売も決定したクイーンエリザベスS(日本時間:4/8(土)14:55発走)について、レース全体のポイントやコースの特徴、有力海外勢の情報など、私なりの視点から各種ご紹介をして参ります。



先日のドバイワールドカップデーも日本馬の活躍で大いに盛り上がりましたが、日本の競馬ファンにとって馴染みの深い同開催に対し、クイーンエリザベスSは「ザ・チャンピオンシップス」という2週で計8つのG1が行われる祭典の目玉競走でありながら日本の競馬ファンの間ではやや馴染みが薄い開催。

直近では2020年にダノンプレミアムが参戦(3着)し、当時も日本での馬券発売が行われていたため3年ぶりの日本馬参戦&馬券発売という事となります。


そのダノンプレミアムを含む過去の日本馬の挑戦もふまえ、分かりやすくレース傾向や特徴を解説して参りたいと思いますのでぜひ最後までお読み頂けると幸いです。宜しくお願い致します🙇‍♂️






コースの特徴(ランドウィック競馬場・2000m)


舞台となるランドウィック競馬場はコース一周が約2224mと非常に大きく、正方形に近い四角形のような全体像。1~2コーナーは楕円のような形で日本の競馬場と似たコーナーのつくりであるのに対し、3・4コーナーはほぼ直角と言ってよいほど急角度なつくりとなっており、コーナー角としてはかなりキツさが感じられるコース形態。それでもコーナー中間は直線になっているため勝負どころでのスパートも比較的かけやすく、コーナー角がキツいからといって一概に後方待機勢が厳しいとも言えないのが特徴。

日本で例えるとすれば「京都競馬場の外回りコース」が最もイメージに近いかもしれません。
同コースも3~4コーナーは入口部分の角度がやや急で、その中間はほぼ直線のようなつくりとなっており(坂のアップダウンは度外視)、形態そのものは似ているかと思います。


その京都競馬場の外回りコースでも時折見られる光景ですが、4コーナーから直線に入る際、コーナー角が急であるため遠心力によって馬群が外にバラけやすく、内を上手に立ち回った馬がバラけた馬群の間を突いて抜け出すというシーンがよくあるのも特徴的。
スパートがかけやすい反面、遠心力で外に膨れてロスをしてしまうリスクも十分にあるため、そこの駆け引きも見どころと言えるでしょうか。



また、クイーンエリザベスSの舞台である2000mは1~2コーナーの中間付近にゲートが設けられており、すなわち楕円の途中からスタートする形となります。想像しただけでもお分かりかと思いますが内枠が圧倒的有利の舞台であり、過去の好走馬も大半が内枠の馬で占めております。

豪州歴代最強牝馬と言われているウィンクスは2017~2019年にこのレースを3連覇していますが、うち2年は大外枠から楽勝しており同馬がいかに強かったかを物語っているかと思います。



まとめると、

  • 圧倒的内枠有利(スタート位置が起因)

  • 脚質による有利不利はフラット(スパートのかけやすさが起因)
    ※但し、コーナリングには注意が必要。

  • ウィンクスは強い(余談)


という事が、コースの特徴から言えるでしょう。




レース傾向


まずはじめに、クイーンエリザベスSが開催される地・オーストラリアは日本のほぼ真裏に位置しているため季節が真逆であり、現在は秋シーズンとなります。この辺りは周知の事実かと思いますが、秋のシドニーはとにかく気候が不安定で一年でも雨の日がとても多い季節と言われています。

その影響を受けるように過去のクイーンエリザベスSは道悪馬場で行われる事が非常に多く、2014年から昨年までの9回はすべて稍重以上(特に昨年は最高ランク「10」の極悪馬場)での開催と、その傾向は顕著なものとなっております。

冒頭に挙げたダノンプレミアムも不良馬場に苦しむ形で3着に敗れましたが、能力値と当時のメンバー構成を考えれば勝てる可能性はかなり高かったように思います。それでも敗戦したように、道悪になる可能性が高い→能力以上に適性が求められる可能性が高い、ということが傾向としては言えるでしょう。


馬場状態に関しては当日になってみないと分からないため、あくまでも現時点では傾向の一部として捉えて頂きつつ当日の馬場状態を見て判断して頂けたらと思います。



日本馬はこれまで、トゥザワールド(12着)、トーセンスターダム(5着)、クルーガー(2着)、そして前出のダノンプレミアム(3着)と4頭が参戦。
最高着順のクルーガーはコースの特徴にも挙げた「コーナーで内を上手に立ち回る」という競馬でウィンクスに食い下がり、他3頭は道悪馬場を攻略できずに敗れた印象で、コースの特徴やレース傾向がそのまま反映されたような結果となっています。

ダノンプレミアム以外の3頭はいずれも日本でG1を勝っていないながら、このように好走している馬も出ているわけですから、適性さえしっかり備わっていれば日本馬でも勝てるチャンスは大いにあると言えるでしょう。




有力海外馬紹介


ここからは今年の出走馬から特に注目している海外馬を、個人的な観点からピックアップして参ります。



ドバイオナー(馬番②・枠番⑨)

欧州を中心に豊富な実績を積んでいる英国調教馬が豪州統一を目論んでの参戦。
これまで欧州競馬では、並み居る強豪と常に勝ち負けを繰り広げていながらもG1ではあと一歩の競馬が続いており、個人的にも「勝ち切れない」イメージが強くあったものの、今回の前哨戦として出走した前走のランヴェットSではR.ムーア騎手を背に4馬身半差の圧勝劇を披露し、初のG1タイトルを獲得。
この前哨戦が今年初戦かつ豪州初戦でもあったため、5歳にして本格化したのか、それとも豪州の地が適していたのか、はたまたその両方か。推測できるプラス要素が数多くあることが、評価急上昇の要因のひとつとなっております。

今回は、昨年末に短期免許で日本に来日していたT.マーカンド騎手が同馬と6度目のコンビを組みます。



アナモー(馬番①・枠番⑧)

ゴドルフィンがオーストラリアで所有する4歳馬。現時点でG1・9勝という圧倒的な実績を誇る豪州現役最強クラスの1頭で、生まれが2018年11月(南半球産による)のため現在は4歳半という競走馬としての充実期を迎えています。

生産時期を記した上で取り上げたいのが、短アタマ差の2着と好走した一昨年のコックスプレート。2021年10月の開催でシーズン視点から換算すれば3歳に分類されるものの、この馬からするとまだ3歳にも満たない状況で古馬一線級と対戦する形になり、ステートオブレスト(後にプリンスオブウェールズSを勝利)との壮絶な叩き合いを演じて僅差の2着。
当然、斤量の恩恵は大きくあったためその点を考慮する必要こそありますが、日本競馬で例えるならば3歳春先の時点で天皇賞(秋)やジャパンカップに挑戦するような感覚ですから、この馬の凄さがよく分かる実績かと思います。


昨年のクイーンエリザベスSでは最下位(9着)に敗れていますが、その後はG1・4連勝をはじめ驚異的な躍進を遂げ、前述のとおり今が充実期であることは間違いありません。
今回の秋シーズンで欧州遠征をした後、現役を引退する事がすでに発表されており今回が豪州ラストランになる予定との事で、強力な遠征勢を打ち破り地元での有終の美を飾りたい一戦であります。



カスカディアン(馬番④・枠番⑤)

こちらもゴドルフィンがオーストラリアで所有する1頭。豊富なキャリアを積み、今年で8歳を迎えたセン馬にはなりますが前走のオーストラリアンCでG1・3勝目を飾るなど、まだまだ衰え知らずといったところ。

そのオーストラリアンCは直線残り200mまで進路が完全に塞がれて全く追えない状況でありながら、前が空くやいなや豪快な末脚で差し切って勝利という素晴らしいパフォーマンスを披露。
道悪競馬もお手のもので前売りオッズこそ上記2頭に離された評価を受けていますが、それらに割って入る可能性は大いに有り得るでしょう。



その他伏兵馬

オーストラリアでG1・4勝の実績を誇るモンテフィリア(馬番⑫・枠番⑪)は、連覇を狙った前々走のランヴェットSでドバイオナーに4馬身半差を付けられており今回は伏兵扱いに留まっているものの、決して勝負付けが済んだとも言い切れない内容だったため巻き返しの余地は残っていると推測。

昨年のタタソールズゴールドCでロードノースやステートオブレストなどを破ったアレンカー(馬番③・枠番⑩)は、豪州移籍初戦だった前走のオールスターマイルで見せ場なく最下位(15着)に惨敗し、評価が急落。
しかしながら、調教師・騎手ともに「硬い馬場が合わなかった」と明確な敗因を示しており、レース傾向でも挙げたようにこの時期のシドニーはとにかく雨が降りやすく、今年も道悪馬場での開催になるようなら大きく巻き返してきて不思議ない1頭でしょう。




日本馬についての見解とまとめ


今年は冒頭にも述べた通り、日本からユニコーンライオン(馬番⑦・枠番⑬)が参戦。

この馬の特徴は何といってもしぶとさで、ラストの粘り込む力というのはとても脅威かつ大きな武器と言えます。
実力そのものは日本だと少々足りない印象を皆さんももしかしたら感じているかもしれませんが、鳴尾記念や福島記念、そして2着だった宝塚記念では自慢のしぶとさを活かして勝ち負けを演じており、このメンバーに入っても実績的に劣るということはありません。

また、レース傾向やコースの特徴を考えるとこの馬の先行力・しぶとさはこの舞台にマッチするのではないかとも思いますし、鞍上にはオーストラリアの名手であり日本でもお馴染みのD.レーン騎手を手配するなど盤石の態勢。
13頭立ての大外枠に入ってしまった点が非常に残念ではありますが、鞍上の手腕と馬自身の持ち味を活かして頑張ってもらいたいところであります。



今回、ユニコーンライオンの参戦により日本での馬券発売が実現しておりますので、まずは馬と陣営の皆様に心から感謝し、全力で応援したいという想いであります。

構図としては地元豪州勢vs遠征組という形で、中でもアナモー(地元勢)とドバイオナー(欧州勢)が前売り時点では二強を形成していますが、何度もお伝えしているように当日の馬場状態が結果を大きく左右させるのは間違いなく、条件によって着順が入れ替わる力関係だと戦前の段階では捉えています。


枠の並びや各馬の適性なども見極めつつ、慎重に予想・馬券購入をするのが賢明ではないかとお伝えし、まとめとさせて頂きます。





以上、クイーンエリザベスSについての簡単な特集でございました。

歴史と伝統のある当競走ですが、とても難しい特徴を持つレースであるため見る側としても非常に悩み甲斐がある一戦かと思います。


海外競馬は当然ながら地域によって特色が大きく異なり、当日の天候や条件によっても求められる能力が変わってくるため、当レースに限らずとても興味深いジャンルであるという事を皆様にも感じて頂ければ、記事投稿者冥利に尽きる想いでございます。



貴重なお時間の中、最後までお読み頂きましてありがとうございました🙇‍♂️




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?