第11期パイオニア神決定戦と《沈黙/Silence》の採用について
こんにちは。ゴキ研です。
既報の通り、第11期パイオニア神挑戦者決定戦に優勝して挑戦権を得たものの、惜しくも2勝3敗で敗れタイトルには届きませんでした。
おかげ様で反響が大きく、神というタイトルの知名度と、晴れる屋様YouTubeチャンネルの影響力の凄さに驚かされました。
ベスト8のメンバーを見渡すと私の様な実績のないプレイヤーが残るのは場違い感がありましたが、望外の結果を得る事が出来ました。
対戦結果は以下の通りです。
R1: 青白コントロール 〇〇
R2: 赤黒ミッドレンジ 〇〇
R3: 赤黒ミッドレンジ 〇〇
R4: 赤黒ミッドレンジ(八十岡さん) ×〇〇
R5: 白黒緑パルへリオン 〇〇
R6: イグナスコンボ 〇×〇
R7: 青赤オパス独創力 ×〇×
R8: 青白ロータス(細川さん) ××
予選6-2(8位)
QF: 白黒緑パルへリオン(原さん) 〇〇
SF: 青赤オパス独創力(小林さん) 〇〇
F: 赤黒ミッドレンジ(八十岡さん) 〇〇
優勝
タイトルマッチ:赤黒サクリファイス(松原さん)○○×××
デッキリストは晴れる屋様にて公開されており、以下の通りです。
皆様も気になるのは《沈黙/Silence》の採用でしょう。
今回は《沈黙/Silence》にどう言った働きに期待して採用しているのかを述べたいと思います。
記事は全文無料ですが、最後に有料設定をしています。
役に立つ内容でしたら購入をご検討頂けると幸いです。
1. 穴を埋める
どんなデッキも見据えるゲームレンジ(コントロールならロングゲーム)や、色固有の特徴(青はクリーチャーの破壊が苦手など)から弱点が存在します。《沈黙/Silence》がどの様に弱点克服へ寄与するかを見て行きます。
1.1. 序盤の空洞
これは以前に執筆した記事で触れておりますので、併せて読んで頂けると理解が深まると思います。
《吸収/Absorb》と言うカードは3マナ=3ターン目まで唱えられないカードですので、序盤の穴を塞ぐ必要がありますが、青白というカラーは単体除去が弱いという弱点を抱えます。
《沈黙/Silence》は序盤のアップキープに唱える事で1ターンの安全を得る事が出来ます。
環境王者の赤黒ミッドレンジが3マナ域に強力なカードを擁し、後手番では間に合わないと判断して《吸収/Absorb》の採用枚数を減らす構築も見られます。
しかし、赤黒ミッドレンジは2マナ域からパワー3以上のカードが並ぶパワフルな生物がライフを詰めてきますので、《吸収/Absorb》が3点回復しながら展開を許さないターンを作ってくれる事がとても重いと考えます。
第1に《吸収/Absorb》を強く使う意図がありました。
1.2. 大振りなアクション
青白コントロールは伝統的に重く強力なフィニッシャー(《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》など)を定着させて、その性能差で勝つ事を目指している関係で多くの土地を並べる必要があります。
相手が3枚程度の土地で回るビートダウンデッキである場合には、並べる土地の枚数差分の展開を許す事になりますので、《至高の評決/Supreme Verdict》などの全体除去で1対2以上の交換をして序盤の不利を覆すのが基本戦略です。
この戦術にも穴があり、フルタップで相手にターンを返す事になりますので、脅威を定着させてしまう恐れがあります。
プレインズウォーカーや、《エシカの戦車/Esika's Chariot》あたりが最悪です。
潤沢に積んだ《吸収/Absorb》でターンを稼ぎ5マナが出る状況であれば、《至高の評決/Supreme Verdict》⇒相手アップキープ《沈黙/Silence》で、安全にターンが返って来ます。
神決定戦でも象徴的な場面がありました。
手札にある《告別/Farewell》を使わせる為に、神・松原さんは《魔女のかまど/Witch's Oven》が場にある状況で、《不運な目撃者/Unlucky Witness》を戦場へ。
私は次のターンに運良く《沈黙/Silence》を引き当てました。
《告別/Farewell》のスタックで《不運な目撃者/Unlucky Witness》を生贄に捲れたのは《思考囲い/Thoughtseize》と《死の飢えのタイタン、クロクサ/Kroxa, Titan of Death's Hunger》でしたが、アップキープに唱えた《沈黙/Silence》によりプレイできずに追放されました。
2. 妨害する
コントロールデッキと言う性質上、カウンターが有力な妨害手段になりますが、《沈黙/Silence》も上手く使えばカウンターの様に使えますし、それ以上の効果を発揮する場面があります。
2.1. コンボに横槍を入れる
パイオニア環境のコンボの代名詞と言えばロータスコンボでしょう。
あの手この手でコンボを通そうと多角的に動いてきます。
《沈黙/Silence》があると対応の幅が広がります。
実は、5回戦で対戦したイグナスコンボにもコンボパーツが揃った瞬間があり、《沈黙/Silence》で1ターンを凌ぎ、《サメ台風/Shark Typhoon》サイクリング⇒《至高の評決/Supreme Verdict》で耐えた試合がありました。
《沈黙/Silence》を入れていなければ敗退していたかもしれません。
2.2. 特殊な方法で唱える呪文を追放する
先程の《出現の根本原理/Emergent Ultimatum》と同じですが、《白日の下に/Bring to Light》も一度追放した後に唱えています。解決前に《沈黙/Silence》で唱えられたカードを追放出来ます。
《感電の反復/Galvanic Iteration》も《宝船の巡航/Treasure Cruise》や《熟読/Pore Over the Pages》をコピーすると、両方をカウンターするのが困難です。
《沈黙/Silence》はコピーされると止める事は不可能ですが、《感電の反復/Galvanic Iteration》の対応で唱えれば続くカードを唱えられないのでコピーできず、《感電の反復/Galvanic Iteration》との1対1交換で実質カウンターとして機能します。
《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》も墓地からフラッシュバックの様に唱えて来ます。
対応で《沈黙/Silence》を唱えれば、本体が残ってしまうものの墓地から強力なカードを唱えられる事はありません。
3. 脅威を押し付ける
これまで妨害する用途ばかりでしたが、そもそも《沈黙/Silence》は自分の脅威やコンボを通す為に用いる事が多いです。
青白コントロールでは何といっても《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》でしょう。
コントロールミラー、クロックパーミッションデッキに自分から強く出る事が出来ます。
また、相手のライフが残り少なければ、《沈黙/Silence》をカウンター出来ないと、《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》で殴ってリーサルになります。
《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》には注意しましょう。
4. 構築
ここまでは《沈黙/Silence》の想定される使い方を述べました。
続いては理論を構築へ落とし込む作業です。
4.1. マナベース
赤黒ミッドレンジの《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》や《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster》、白単人間の《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》が出ない様に、《沈黙/Silence》を相手の先手2ターン目アップキープに唱えるケースが想定されます。
つまり、後手1ターン目に白マナが出る土地をアンタップインする必要があります。
《沈黙/Silence》、《吸収/Absorb》と唱える為に3ターン目まで縦置きすると言う条件を満たすのが《金属海の沿岸/Seachrome Coast》です。
コントロールミラーマッチにおいて後手で4ターン目のタップインは致命的(《放浪皇/The Wandering Emperor》⇒《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》)なのでフル投入は出来ませんが、4ターン目以降は《さびれた浜/Deserted Beach》で担保します。
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》:4枚
《金属海の沿岸/Seachrome Coast》:3枚
《平地/Plains》:2枚
《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire》:1枚
合計10枚になり、後手1ターン目に白マナが出る土地をアンタップイン出来る確率は79.0 %になります。
《灌漑農地/Irrigated Farmland》を減らしている関係で《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》や《ヴァントレス城/Castle Vantress》はタップインしやすいです。
手札と相談して早めに置く事も考えましょう。
4.2. ソフトカウンター
ソフトカウンターの枠には《検閲/Censor》や《ジュワー島の攪乱/Jwari Disruption》、《かき消し/Make Disappear》が良く採用されます。
私はメタゲーム次第で《却下/Reject》を用いる事もあります。
今回の構築では2マナ以上の要求が必要と考え《かき消し/Make Disappear》を3枚採用しました。
相手先攻、マリガンなしで毎ターン土地を置いたと仮定したの下図です。
《沈黙/Silence》と共存するソフトカウンターは2マナ以上要求である事が絶対条件になります。
4.3. 全体除去
先に述べた通り、全除去後に《沈黙/Silence》を唱える関係上、少しでもマナコストが軽い方が良い。
従って、《一時的封鎖/Temporary Lockdown》をメインとサイドに各1枚、《至高の評決/Supreme Verdict》3枚を採用しています。
《告別/Farewell》は緑単信心や白黒緑パルへリオン、赤黒サクリファイスなど、終盤に唱えれば相手は立て直しが困難となるフィニッシャーになり得ます。
5. 最後に
最後までご覧頂きありがとうございました。
《沈黙/Silence》の使い方が分からないと言う声が多かったので、プレイ指針を記述してみました。
今後、私に続いて採用する方が増えて新たな知見が蓄積される事を期待しています。
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役に立つ内容でしたらご検討いただければ幸いです。
それでは、良きコントロールライフを!!
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