「こんなアプリ思いついたんだけど作ってくれない?」の注意点
これはIT業界でエンジニアをしている誰もが1度は経験したことがあるかもしれないですが、IT系の仕事をしていると古い友達やかつての同僚から突然連絡が来て
「こんなアプリ思いついたんだけど作ってくれない?」
と言われることがあります。
今回はこのあるあるについて記事にまとめようと思います。
だいたいこんな感じ
これまで幾度となく「アプリ作って」の提案を受けてきたのですが、その提案の多くは具体的にこんな感じです。
「日本にいる外国人にターゲットを絞ったSNSを作ろうと思ってて、アプリ作れる人を探してるんだけど手伝ってくれない?」
手伝ってくれない?の部分を言い換えるとアプリを実装してほしいと言うことなのですが、この手のお願いは大抵の場合「アイデア」ではあるけど「企画」にはなっていないことが多いです。
つまり、本当にそれがビジネスとして成り立つかの検証を行う前に、どうやって作るかの相談を始めてしまっている状態です。
アプリを作るコスト
ところで、1つのアプリを作るのにどれくらいのコストがかかるかご存知でしょうか?アプリの種類にもよりますが、サービスとして成り立つ機能を揃えるには数百万円程度の開発費を想定しておくべきでしょう。
また、開発が終わればそれで済むわけではなく、実際にはランニングコストがかかるため、毎月数万円〜数十万円のコストがかかることを覚悟しなければなりません。
例えば、先の「外国人向けのSNS」の場合、1人のエンジニアを雇うのに80万円/月として3ヶ月で完成させると240万円。AndroidとiOS両方作ると2倍とまでは行かず1.5倍くらいで360万円。サーバーやメンテナンスのコストで月10万円。
とすると1年間サービスを継続するのにだいたい500万円のコストがかかることになります。
「アプリ作って」
とお願いしてくる人たちは、このコストを把握していないことが多いです。すなわち、
友達がやってくれるから開発費はタダ、メンテコストなど存在しない
と言う感じです。
開発の対価は?
上記のコストをしっかり把握している場合、「アプリを作って」とお願いするのは「360万円分の労働をして」と言っているのと同じことになります。
にも関わらず、「アプリ作って」の労働の対価が定義されていないことも結構あります。
これは、タクシー運転手になった友達に「タダで東京から博多まで乗せて」と言うのと同じことですし、美容師になった友達に「これから一生タダで切って」と言うことと同じことになってしまいます。
ではどうすればいいのか?
もし、すごくいけてるアプリのアイデアを思いついた場合は、そのアプリを作るのに数百万円がかかることを前提に、それでも作りたいのかを確認しましょう。
言い換えると、本当にいいアイデアだと思えるのであれば、友達ではなくアプリ制作会社に数百万円払って作って貰えばいい、と言うことになります。
そうではなく、友達と一緒にやりたいのだと言う場合は、開発者が開発するコストと同等以上の何かを準備する必要があります。
例えば、
・自分は日本語教師であり、数百人の外国人との繋がりが既にあるので、アプリさえあれば初期ユーザーの獲得は容易い
・市場調査や実証実験を終えており、ものさえ完成すれば数年で開発費を取り戻せる算段がある
・国や地域の助成金を獲得ずみであり、そこから開発費を出すことができる
などです。
まとめ
いずれにしても大事なのは、そのアイデアが
数百万円、自分の懐から出しても良いものだと言えるかどうか
ということだと思います。
この観点を忘れて無邪気に「アプリ作って」と言ってしまうと、
言われた側は純粋な搾取だと受け取ってしまうことがあるので注意が必要です。
2023年3月16日更新:
最近ふと気になり、プログラミング言語ごとのコスパを集計してみたのでこちらも併せてご覧ください。
https://goke.work/programer/769
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