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NFLプレーオフ・ワイルドカード・ラウンドでワシントン対バッカニアーズ戦が見逃せないわけ

色々ありましたが、NFLの2020-21年レギュラーシーズンが終了し、最終順位が確定しました。同時に2021年プレーオフの全出場チーム及びトーナメント組合わせも決定しました。プレーオフは1月9日(日本時間10日)のワイルドカード・ラウンドで始まり、2月7日(同8日)のスーパーボウルで幕を閉じます。

今年から2チーム分枠が増え、AFC, NFC それぞれから7チーム、合計14チームにより一発勝負の勝ち抜きトーナメント形式で行われます。第1ラウンドのワイルドカード戦は、両リーグ勝率1位チームが不戦勝シードで、残りの12チームが試合を行います。

つまり、今週末の2日間で6試合のワイルドカード戦があるわけですが、それのなかで僕が個人的にイチオシするのはNFCの ワシントン・フットボール・チーム(第4シード) 対  タンパベイ・バッカニアーズ(第5シード)です。

その理由は両チームのクォーターバックを務める2人のベテランの人間ストーリーです。

バッカニアーズのクォーターバックは言わずと知れたトム・ブレイディ43歳。NFL史上最高選手の呼び名も高い、まさに生きるレジェンドです。

ブレイディがデビュー以来在籍したニューイングランド・ペイトリオッツからバッカニアーズに移籍したのは昨シーズンオフ。そして今シーズン、ペイトリオッツは12年振りにプレーオフ進出を逃し、バッカニアーズは13年振りにプレーオフ進出を果たしました。これほど分かりやすいヒーローは現実にいるでしょうか?

一方、ワシントンのクォーターバックはアレックス・スミス36歳。かつてのドラフト全体1位で指名され、プロボウル(オールスター)にも3回選出されている名選手ではあるのですが、ブレイディのような超一流の評価はありません。変な言い方ですが、ただの一流選手です。

このスミスが今年大きな話題をさらったわけは、スミスが2年前試合中に生命さえ危ぶまれるような大怪我を負い、17回にも及ぶ手術とリハビリを経て、NFLの舞台に帰ってきたカムバック・ストーリーです。プレーオフの結果がどうなるにせよ、スミスが今年のカムバック賞を受賞することだけは間違いがないでしょう。

片や新天地にかけるNFL史上最高選手、片や奇跡のカムバックを果たした鉄人。この2人が激突する一戦を見逃すことはできません。

ところで、第4シードのワシントンはレギュラーシーズン7勝9敗、第5シードのバッカニアーズは11勝5敗。なぜ負け越しているワシントンの方がシード順が高いのかと言うと、所属するNFC東地区の他の3チームも軒並み負け越していて、ワシントンが地区優勝チームになったからです。勝率より地区優勝チームの方が優先させるというわけですね。

ちなみにNFLのプレーオフが現行に近い12チーム制になった2002年以来、勝率5割を切ってプレーオフに進出したのは3例目。ワースト記録は2010年シアトル・シーホークスの7勝9敗なのだそうで、今年のワシントンはそれに並んでタイ記録なのだそうです。

さらに言えば、ワシントンの最終戦で相手のイーグルスは既にその時点でプレーオフに進出する望みがなくなっていたため、来年のドラフトで有利な指名順を勝ち取るために、わざと負けたのではという疑惑まで盛んに報じられています。

例えそうであっても(多分そうなのでしょう)、アレックス・スミスの奇跡のカムバックの価値はいささかも減じるものではありません。スミスを応援したいなあ。でもブレイディも43歳だし、見れるのは今年が最後かもしれないなあ。と思いは千々に乱れるのでした。

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