おだやかな沼にて恋心を抱いているのですから

もう仕方がないことは仕方がないのだから
土がぜぇんぶめくりあげられて
沼川がどっと流れ流れて
地球はくるまりました。
地球は沼になりました。
地球の大半は淡水になりました。
かつての大都市は水面下。
自由の女神はクマノミのイソギンチャク
サクラダファミリアはクラゲのファミリイが
東京タワーはもうてんでばらばら鯉のエサ
人はプランクトン、
もしくは藻屑になりまして
カモがしあわせになりました
カモの兄妹はお互いの体をあたためながら、
ママが帰るのを待ちました。
オレンジの木の実が落ちました
遙か遠くから、雲より高い巨大な落葉樹から。
ママはそれを拾って、
なんだ、ただの芥だわね
と言って、木の実を捨てました。
宇宙人は来ました。
しかし三日ほどの滞在で
ノスタルジアのエクスタシー
チケット買ったの損したよ
ため息ついて帰ってしまいました。
太陽がじめじめしています
か ぜ が
きよくきもちくおだやかです
草花は揺れます
海草も揺れています
枯れ葉の下に埋まった石ころくらい
あなたが好きでした
だって
小鳥のさえずりが鳴いているのですから。





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