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日刊スポーツ記事について

日刊スポーツから、僕のオーストラリア移籍に関する取材記事が公開されました。有難いことに多くの反響をいただいたので、補足をする形で書いていこうと思います。まずはこちらの記事を読んでいただけたらと思います。

海外移籍の理由

海外移籍を考えるきっかけとなったのは自分の根底にあった「もっと成長したい」という感情です。4年間プロとしてプレーしてきて、結果は言わずもがなですが、何度かあったターニングポイントをプラスに変えられなかった自分に対しては物足りないというのが本音です。町田で契約満了の通達を受けたことは、これまでピッチで結果を出すことだけに拘り続けてきた生活から半歩離れ、自分を見つめ直すきっかけになりました。

選手としてまだできるという思いと、4年間でキャリアを右肩上がりにできていないことを認める自分が混在していました。結果に比重を置いてきたこれまでのプロセスから脱し、別のアプローチが必要であると考えました。これは個人的な思考なので、チャンスがある限りJリーグでチャレンジを続ける姿勢や選択はもちろん尊重しています。ただ僕の場合は自分に対して現状打破をしたい思いが勝り、一プレーヤーとしての挑戦と同時にピッチ外でも成長し、還元するという新たな目標を定め、その為の1つの手段として海外移籍を目指しようやく実現させることができました。

ピッチ外での成長と取組に対する考え方

競技者としても、一社会人としても現状打破をしたかったとお伝えしました。その為に今後は自分なりに問題意識や思いに対してアプローチをしていくことで、ピッチ外での成長を実現していきたいと考えています。その部分についてもう少し踏み込んだ話は次の見出しで説明します。

ピッチ外での活動に対してこれまではなんとなく中立のスタンスを保ってきました。これまで深く考える機会の少なかった事でしたが、契約満了や新型ウイルスのパンデミックで試合や練習ができない状況なども重なり、考えさせられた事があります。分かりやすい例では、サッカー選手の仕事の核である競技が行えない状況で、多くの選手がSNSでの発信に積極的になっています。もちろんファンの皆さんのためという思いが根底にありますが、個人単位で従来とは異なる価値の見出し方を始めているように思います。このような傾向はアフターコロナの世界でも継続されるべきだと個人的には思っていて、このパンデミックが生み出した思わぬ産物かもしれません。状況が落ち着けばSNSのみに縛られる必要もなく、プレーヤーが競技以外の場で価値を見出すことには、自身の成長と、サッカー選手の社会的価値の向上に繋がるという意味で大きな可能性を感じます。

ピッチ外での取組がサッカー選手を成長させるという考え方については賛否両論あるかと思います。なぜなら自分自身もこれまでそういった姿勢になれていなかったし、サッカーに賭けている選手たちだからこそ眩しく見えるのだというのも理解できるからです。ですが、コミュニティや人間関係の偏りやすい職業であるこらこそ、そういった取組、もしくは情報収集でもなんで構わないのですが、様々な刺激を日常的に得られる環境は少なからず何かの助けやヒントになるとは思います。具体的にはなんだって良くて、当然何もしないという選択だって尊重されるべきですが、個人的にはピッチ外での取組や成長に可能性を感じた事が、今回の決断をした大きな要因になりました。

問題意識

具体的な取組はなんでも良いと述べましたが、僕は現役中の影響力が少しでもあるうちに、自分なりの問題意識と向き合う事にしました。記事中の「能力がありながらその道をあきらめた人を、何人も見てきた。(中略)日本のサッカー界は、もっと人材のポテンシャルを生かせる可能性があるのではないか。そういう人たちが少しでも前向きにJリーガーを目指せるように、自分に何ができるかやってみようと思った」という記述について補足をすると、そのような人たちがチャレンジしやすい土壌というのは、社会的なサッカー選手の価値がより高い状態と言い換えられるかもしれません。迷ってしまう気持ちはよく分かります。自分の実力で通用するのか、引退後は何をしたら良いんだろう、と考えてしまうのものです。

「日本のサッカーが強くなる」という大きな目標に対して「サッカー選手の価値を高める」というアプローチから少しでも貢献したいという思いがあります。後者に対するアプローチは、長期的には前者の基盤になり得るのではないかと思っています。ですので今後の方向性は、選手という立場でそこに対して微力ながら貢献していく方法を試行錯誤していく事になります。そもそも僕がこのようなことを考え始めたのは実は高校生時代まで遡ります。サッカーファン目線だったかもしれませんが、”日本がサッカーワールドカップで優勝するには何が必要か”というようなことを漠然と考え始めた時期です。(当時は育成年代の試合機会や制度について調べていました。笑)それから大学やプロでの時間を経て、この機会に問題意識として一石を投じたいと思ったのが、これまで散々述べているサッカー選手の社会的な価値の向上(チャレンジしやすい土壌作りに繋がる)という点です。問題視しているのがセカンドキャリアについてかと問われると少し違います。サッカー選手の社会的な価値の向上は、次世代の選手たちにとっては大企業の安定した職と比較した時に一歩が踏み出しやすくなる可能性がありますし、選手にも社会にもメリットがあります。そのような状態に近づいていく為に、まずは選手サイドから、社会に対して良い影響を与えることを意識してみるべきだと思っています。何かを待っていても何も変わりませんが、小さな積み重ねが長期的にはサッカー選手の社会的地位の向上という形で自分や次世代の選手たちが恩恵を受ける事に繋がるかもしれません。何はともあれ現状は、より多くの人に僕なりの問題意識を認識してもらいたいというステップです。サッカー選手がなんか言ってるなという感覚でいいので、読者の方々が少しでも何かを考えるきっかけになればと思っています。

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