Préparation【N-3】 薬用植物畑を作った経緯
薬用植物畑を作るに至った経緯
薬膳や食養生を理解するために、その元である植物を学ぶことはかなりの近道になると、最近思うようになった。元はというと、台湾式の薬膳料理を試したいと思いながらも材料が手にはいらない、また、仮に手に入ったとしても煎じ薬用に細かく刻まれている。台湾式薬膳料理に生薬を加えるときは、刻んだものではなく、ホールの状態で鍋に入れることが多い。煎じ薬が刻まれている理由の一つとして、含まれる成分を煮出しやすくなる点にあると思うが、食養生のレベルではそこまで薬効は必要では無いというか、むしろ無いほうがいい(病気では無いので薬薬したものを取る必要がそもそもない。)のかもしれない。だからこそ、中のものが適度に抽出されるけど・適度に抽出されにくいホールの状態での使用という形になったのかもしれない。単に、下処理するのが面倒くさいという話もあるが(台湾人ならあり得る)。刻みしかなければ量を少なく調節すればいいんだろうけど、そもそも、薬事法で疾患に対して処方ができる薬物とされていて、一般人は入手できないので、欲しければゲフンガフン・・・。
有難いこと(?)に教材として栽培するという大義名分を得られる立場があったので(そもそも薬物として指定された部分を利用しなければ、栽培自体は問題にはならない)、手に入らないものは園芸種で代用しながら(形態観察は可能)、いくつかの植物の栽培を行っている。
植物を栽培なんて、さくらいみかさんの”ダメな園芸(https://83s.shop/items/63ca5e01ae9737149bff6375)に類似性しか感じない枯らす専門だった私がまた無謀なことを始めたものである。コロナ禍にあり、体を動かす理由として、鍬で土耕すのもいいんじゃね?など、割と真面目に考えていたのも事実である。結果的には、作業内容が偏りすぎていて、あまり良い運動にはなり得なかったこともここに書いておこう。
自分ともっとも縁が深くお世話になっているヨモギのことも何も知らなかった。その辺にあるヨモギとオオヨモギの2種類しか世の中には存在しないと思っていたぐらいだ。ちなみにその辺に生えているよく見るヨモギはカズサヨモギ。その上、艾の材料になるのはオオヨモギで(教科書にはそう書いてある)、カズサヨモギは食用、っていう刷り込みがあったが、それも現状と乖離があることを知った(現在は、カズサヨモギはもぐさの原料として多く利用されおり、オオヨモギは繊維が強くて艾の生成過程で必要な粉砕が大変という理由から、艾の原料よりも食用利用で積極的な検討が重ねられているとか)。また、春のヨモギと秋の開花期のヨモギは、似ても似つかない風貌であることも学んだ。えーーーーー、これ同じ植物なの〜〜?っていうレベルである。そんなこんなで、ヨモギだけでも無知すぎて、ほんまにあんたやるん?と常に自問自答を繰り返すような現状でスタートし、その状況は未だあまり変化していない。
この現状を打開すべく、プロフェッショナルの技をもっとも簡単に学べる植物園ソロツアーを地味に開催している。これが意外に面白い。こんなにも植物園ごとに個性が違うのか!特に大学附属、研究機関附属の植物園はマニアックで楽しい。常にフレキシブルに変化する状況の一コマを切り出して見ているからだろう。教育プランに合わせてレイアウトが変ったり、研究に合わせて表に出される植物の種類が変わったりと、常に変化している。時に雑多に見える場所が発生していたとしても、それも、流れ、その場の歴史の一過程なのだ。一般の方のための憩いの場としての側面が強くなっている植物園の通常公開されているエリアは、変化が大きくない。心地よい空間ではあるが、生々しい”植物園に関わる人たちの営み”は大変見えづらいように思う。これは単なる個人的好みなのだろうが、小〜中規模の教育・研究系の植物園に心躍るし、多くの方に足を運んでほしいと思う。その場合は、訪問記録を残してね。
そして、一年の内、何度も足を運ぶべきだと思う。その時期にしか見られないものもあるから。枯れずに育ち続けるものも季節で風貌を変えるし、1年草などはある時期が来ると姿を消してしまい次の年の芽吹きまでは会えない。宿根草も地上部が枯れると次の年まで見ることが出来ない。美しい花を見に行くのも良いが、植物の移り変わりを見るのも本当に楽しい。
そこで知った技やこだわりをこれからまとめていく。訪れた時期によっては、訪問目的が変わっていたりするので、統一感がないと思うが、訪問件数がある程度増えたら、改めてまとめ直すなどする予定。
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