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日本新薬(株)山科植物資料館訪問記。


日本新薬株式会社 山科植物資料館

 *もっと調べてから確かなことを記載すべきなのだが、とりあえずアップする。今後、調べるべきところは調べて、改訂していく予定。

 2024年7月4日金曜日、一年越しの想いを叶え、見学に伺ってきた。
 現館長の山浦先生、前館長の秋田先生、調整を頂いた鶴見様をはじめとする職員の方々には、頂いたご恩に見合うだけの感謝の言葉が思い浮かばないほど本当に本当によくして頂いた。一般公開しているのだが(要予約)、どなたがいらしても、いつも丁寧にご対応されているのがよくわかる。また、多くの知識や理解、経験を授けて頂いた。この場を借りて、改めてお礼を申し上げたい。

 館長の山浦先生が書かれた資料館に関する記事(薬学雑誌に投稿されたレビュー。pdfでDL可。)がこちらから読めるので、ご興味がある方はぜひ。
”山科植物資料館の歴史とその取り組みー製薬企業の薬用植物園の一例ー”
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/131/3/131_3_395/_article/-char/ja/ 

先ずは、山科植物資料館の紹介

 日本新薬さんは、ミブヨモギという植物に含まれるサントニンという成分を使って開発した駆虫薬で大きくなった企業だ。その当時は、原料植物中のサントニンの含有率を増やすために様々な研究がされたそうだ。現在は植物を原料とした製薬はほとんど行われていないので、栽培地などはお持ちではないそうだが、植物由来の化合物の研究や、貴重な植物を系統保存をこちらの施設で担ってらっしゃるそうだ。
 一般にも公開しており、事前に予約をすれば見学が可能。基本2時間の見学で、最初の30分は会社と山科植物資料館のお話があり、その後1時間半で植物園の各所をガイドの方がご案内くださるという流れになっている。山科の住宅地の中にあるこぢんまりした植物園ではあるが、手入れが行き届いており、住みたくなるような心地よさである。お手入れ部隊として雇って欲しい・・・・。

 この日は事情があり時短でのお願いをしたのだが、そんな手前勝手なお願いにも大変柔軟に対応くださった。また、予約した当時に同日予約を入れてらした方が日程を変更されたようで、当日はなんと私一人のためにお時間を割いていただく形となった。2度とこんなラッキーは起こらないと思う。本当に贅沢極まりない幸運に満ちた日になった。
 
 仕事道具でもある灸の原料であるヨモギについて数年前から勉強をし始めて、あちこちにヨモギを探しに歩いたり、コレクション(?)してきたのだが、ミブヨモギもどうしても見せていただきたくて今回の見学に至った。ここにしかないからねぇ・・・。正に、百聞は一見に如かず。写真や書物では学べん事も多いわなぁ・・・である。

山科植物資料館の園内見取り図は上記リンク先に。
第1及び第2園見本園の植物達が私にとっては興味のど真ん中でもあるので、見学時間のほとんどをこちらをご案内いただいた形となったが、園内には、温室やビオトープ、シダ類のエリアなどもある。通りすがりに見たビオトープや温室もとてもよく手入れされていて、とても美しかった。
(また来てくださいとおっしゃって頂いたので(京都人のなんやらやったら怖いけど、府外、なんなら市外の人間なんで、言葉通りに受け取って)またお伺いして、今度は温室やビオトープを見せていただきたいなと思う。夏以外に伺ったら、ヨモギたちもまた別の顔を見せるだろうし。)

様々なヨモギ

さてミブヨモギは、内陸型のカワラヨモギのような風貌で、2回羽状で、うっすら毛が生える葉を持つ縦にシュッとした、そして意外にも(?)華奢な植物だった。サントニンは全草に含まれるそうだが、特に花穂(開花前の蕾)の濃度が高いとのこと。葉をもんだら、よくあるヨモギの香りとは異なる、スパイシーなとても良い香りがした。
サントニン抽出に使ったヨモギとして、クラムヨモギと、ミブヨモギとクラムヨモギを掛け合わせた、ペンタヨモギ、ヘキサヨモギも、並んで展示されている。
クラムヨモギは、これは本当にヨモギの仲間なのか?と思うような形態と質で、パリパリと硬い。よく育ったローズマリーのよう。根元がしっかりと木質化しているところもローズマリーの形態と似ている。葉の作りがもっと小さいので、細いブラシを触るような感覚ではあるが。本当に不思議。
ペンタヨモギ・ヘキサヨモギはミブヨモギの見た目を受け継いでいた。遺伝子操作しているので(不自然な形)、自然受精はしないらしく、人が一株一株受粉しては育てていたのだそう。大変な作業である。
後でちゃんと勉強しよう。56倍体にまで掛け合わせで上げていったのだったかな?https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8D%E6%95%B0%E6%80%A7


ミブヨモギの葉
ミブヨモギ


ミブヨモギは直立で細長く立つ風貌。華奢。
クラムヨモギ。乾燥した土地に生える植物のせいか、ワシワシ、モシャモシャした硬い感触。
これとミブヨモギを掛け合わせることで、より多くのサントニンを含む品種(ペンタ、ヘキサ)を開発した。
ペンタかヘキサの花穂(だったかと。。。)

 他のヨモギ属も多く栽培されていて、カズサヨモギ(写真なし)、ニシヨモギ(写真なし。本物を始めて見たが、カズサヨモギとそっくりで驚いた)、カワラヨモギ(海岸タイプ)、ニイタカヨモギ、クソニンジン、ニガヨモギ(写真なし)、と、私の目標と理想がここにあった。

海岸型のカワラヨモギを初めて見た。本当に感動した。
ニイタカヨモギ
クソニンジンはとても良い香りがする。どのタイミングで臭くなるのか、それともこの香りが苦手な人がクソなどという不名誉な命名をしたのか。この人、1年草で、自己生殖できるそう。種をよく飛ばし、あちこちで目を出すんだと教えてくださった。毎年種取りしてるらしい。とても可愛い。

先生のご許可をいただきながら、匂いを嗅ぎ、齧らせて(葉を少しだけ千切らせてもらってから)いただいたが、大概良い匂い、良いお味であった。特にカワラヨモギは美味しく感じた。ニガヨモギは本当に苦いので齧らない方がいいです。

それ以外にも、いわゆる薬用植物が多く展示されていた。

劇薬・・・・写真の向きは後で直す。
写真の向きは後で直す。
おひたしなどで昔から食べられてきたボウフウ。防風通聖散の原料でもある。
絶滅危惧種指定。

機能性食品商品と、展示植物の食品区分表示

加えて、日本新薬さんは、医薬品だけでなく機能性食品も作ってらっしゃる。
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/foods/

植物の中には、葉は食品、根は医薬品などと、部分によって区分が異なっていたり、食品区分に分類されているが、何がしかの機能を持つものがある。長年培ってきた植物利用のノウハウを活かし、食品の開発も行なっているため、こちらの展示物のうち、食品としても使われるものには、食品区分についても記載されている。秋田先生のこだわりなのだそう。薬膳も勉強しているとお伝えしていたら、秋田先生がそうなの?!と。秋田先生の知識やご経験に触れる機会を逃してしまったのが、本当に心残りである。
日本新薬名義の食に関する論文を調べ、できるだけ近い未来に再訪しなければならないと思う。

実業団だったかプロのスポーツチームだったかと直接契約してらっしゃるとか。全商品の5%ぐらいが機能性食品だそうで、結構力を入れてらっしゃる。

自分用メモ 〜アロエの記録〜

以下は、自分のためのメモ。
医薬品登録されているケープアロエ(葉の汁は医薬品)と、本アロエ(果肉が食品として利用されている。日本の民間薬)の葉の汁は、どちらも苦いが、ケープアロエの方が、相対的に粘度が高く苦かったように思う。汁だけ舐めたせいか、ニガヨモギの葉(自分で栽培しているもの)を口に入れた時よりも苦味はマシ、という印象。
ネット検索すると、アロエのジュースの商品が少なくない数見つかるのだが、これらはおそらくキダチアロエや本アロエなのだろう。植物は結構苦いのだが、どんな味がするのかな?

医薬品として指定されているのはケープアロエ。日本でよく見る、本アロエやキダチアロエは医薬品指定はされていない。はず。
ケープアロエの断面。果肉と葉皮(?)の間から黄色い汁が出てくる。この後ポタポタと滴って、地面を濡らしていた。ネバネバしていて、乾くと(煮詰めるのだったか・・・)茶色くなって固まる。結構苦い。
植物全体を写すのを忘れてしまった・・・orz…

アロエの写真と、汁を固めた蘆薈の写真が次のサイトで見ることができる。


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