お別れ

そろそろです。別れが近づいています。いつか来ることはわかっていて、はじまりから、いつだって別れはそこにありました。真に純粋なものなどないのかとわかりはじめた頃だったでしょうか。そしてこういうものが本物なのかもしれないと。完全な統一などなく、そこに渋みを感じつつも幾つもの要素が、情感が混濁し渦を巻くものなのだと。
救われた分遠さがありありと感じられ、わたしとの親和性の限界がすぐそこにあることもいつか必要でなくなることも、はじめからわかっていました。それでいて、何度もわたしの手を引き、少しだけ明るい場所へ連れていってくれるようでした。あのときあなた方がわたしに植えた理想はまだあちこちに根を張っていて、あまりに眩しく遥かで、今も愚かにもがき苦しんでいます。
バラバラの世界で一瞬交わったこと、今までわたしの一部を構成してくれたことに、感謝を。

別れは徐々に色濃くなり自然とそうなるもので、行為としてするものではないのかもしれません。地続きでは踏ん張れない弱さです。本当はもうしばらく前から遠くなっていたのです、少々長居しすぎました。

やや名残惜しくなってしまいます、しかし別れは消失ではない。すべては変化しつつ持続してゆきます。皆ひとりずつのまま、どこかに少しずつ残り続けるのです。
すてきなひとりぼっちです。
いつかどこかですれ違うこともありましょう。あるいはもう目に浮かぶことはないのかも。それでももう、わたしは大丈夫です。
こんなものはすべて独りよがりですが。

言を尽くしすぎました。
ぼくはそろそろゆきます。
あなた方はこれからも、変わらないものを持ち続けながら変わり続けていくのでしょう。
陽が沈む前の眩い光を両目にあつめて祈っています。どうか、末永く、お元気で

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