【訂正】教育長の続投を求める署名とは何だったのか

※以下は6月24日~6月28日にかけてnoteにて「ごえさん」というアカウントで掲載した文章です。情報の不正確さ、および、活動内容への否定的な表現、住民活動への批判にあたる表現を省み、自主的に削除したものですが、公開中に閲覧されていた関係者から連絡があり、話をする機会がありました。その話の中で、情報の誤り、私の認識誤りがあることが分かり、改めて自分勝手な文章を書いてしまったと反省しております。私自身、口コミをそのまま文書化してしまい、前述の通り情報の不正確さを自覚しておりました。ついては関係者から伺った内容を元に原文を引用する形で以下に訂正いたします。
当記事により、教育長はじめ呼びかけ人の方々、文章に登場する皆様に多大なご迷惑を与えてしまったことを深く反省し、謝罪いたします。大変申し訳ありませんでした。

教育長の続投を求める署名とは何だったのか

2024年3月18日に島本町に400筆もの署名が提出された。要件は「島本町教育長の続投を求める」というもの。呼びかけ人は、元教育長(2021年4月~2024年3月)の中村氏が町立小学校にて校長を務めた期間に関わりがあったという、元PTA会長の3名。
署名が提出された時点では、教育長の人事はまだ決まっていなかったが、3年任期の最後の年に、中村氏が島本町の山田町長を相手どり、損害賠償3,800万円を求めて大阪地裁に提訴したことから、教育長の続投は難しいと見て、中村氏を後押しする目的で署名活動を行った、というのが一般的な理解だ。しかし、何か釈然としないものがあり、改めてこの事案について考えてみた。

発端は何か

この署名活動では、教育長である中村氏がパワハラを行ったとして議会で糾弾され、さらに関連した執拗な嫌がらせを議員たちから受け、山田町長からは不当な厳重注意や反省文を強要されたことが取り沙汰されているが、そもそも何が発端でそのような事態になったのかを調査してみた。

1.    中学校における生徒指導事案にて教員と保護者とが衝突

中学生同士の校内における衝突があり、(⇒【訂正】生徒同士の衝突はなく、何気ない声の掛け合いに過剰に反応した教員が事案を無理矢理作ったとのこと。)事態を重く見た学校側が、不適切な交友事案として、学年内で共有する事態に発展。ところが当人同士が解決していることから、一方の生徒の保護者が教員に不適切な指導があったとして学校側に訂正を申し入れる。一方で、教員側は指導は適切であったとして譲らなかった。

2.    校長、教員、保護者とで数か月に渡り話し合いをするも折り合いがつかず

納得のできない保護者は数か月に渡り、学校側の担当者を交えて話し合いをするも学校側は保護者の言う不適切な指導を認めなかった。

3.    保護者が教育長に直談判

保護者が中村氏と昵懇(じっこん)であったことから、教育長に直談判をする。なお、巷では教育委員会に話を持っていったとされている。⇒【訂正】保護者は教育委員会に申し入れをし、当初は教育推進課課長を通じて話し合いをするも解決しなかったことから、教育長も加わっての話し合いとなった。なお、教育こども部部長は学校現場経験者ではない為、現場を良く知る課長と教育長が対応に当たった。
今でもロビー活動などはあったが、教育委員会を通さずに、保護者が直接教育長に話を持っていき、それが受理されたのは恐らく異例の事態ではなかろうか。⇒【訂正】筆者の憶測。裏付けはない。

4.    教育長が現場に出向き、校長と教員を指導

中村氏が中学校現場に出向き、学校長と教員と話し合いを行う。実際は話し合いだったのか、教育長からの指導だったのかは定かではない。⇒【訂正】教育長、課長が丁寧に聞き取りを行って対応されたとのこと。
(教育長が現場に出向いた場合は、どのような場合でも「話し合い」ではなく、「指導」と捉えられてしまうのではないか。しかも現場に乗り込まれている訳だから、現場側が「厳重指導」と受け取っても仕方がないことと思われる。)

5.    教員が現場に出てこられなくなる

中村氏の現場訪問の直後、担当教員が無期の休職を願い出る。最終的には数か月の休職の後、退職している。⇒【訂正】担当教員は長期休暇の後、現場に復帰された。

教育長の指導が招いた事態

教育長の指導が正しかったかどうかの判断は筆者にはできないが、学校現場に出向いて指導を行う、という教育長の行動が、結果的に担当教員の休職・退職に繋がってしまったのは確かだ。(⇒【訂正】担当教員は長期休暇の後、現場に復帰された。
担当教員の休職により対象生徒の学年の教科のカリキュラムに遅れが生じる、という弊害も出たということだ。
筆者も保護者であるので、もちろん学校側には保護者が納得のいく対応をしてほしい、という思いはある。ただ、教育長の行動は残念ながら、一連の事態を悪化させてしまった、と受け取られても仕方がない。⇒【筆者の認識誤り】学校長や担当教員の態度や対応にも問題があったとされることから教育長の責任ではない。
教育長はこの一件で、校長、及び、担当教員にパワハラをした、と議会でしつこく追及されることになる。また、事態を重く見た山田町長から、厳重注意を受けるとともに、反省文を強要された、とされている。

署名活動の動機の謎

呼びかけ人によると、3月18日に署名用紙を島本町に提出した際に、「不当な対応」を受けたとしている。もちろん、住民の意見なので、行政としては真摯に対応してほしいところではある。

ただ、この署名は法的拘束力を持たない。これが議会に提出する請願署名であったり、直接請求を求める署名であったなら話は別だが、島本町としても、受け取る義務はない。
町の職員も人間なので、はじめからアドレナリン全開の住民たちが署名用紙を持参したら遠慮したところだろう。⇒【訂正】呼びかけ人は穏やかに話をされたとのこと。むしろ高圧的な態度を取ったのは役場職員の方だったそうだ。
ましてや町の人事や町長、議会を批判する内容であればなおさらだ。
ここで気になるのは、なぜ今更署名なのか、ということだ。中村氏が現場指導の件で議会から糾弾されたのは2022年9月のことである。

呼びかけ人は以下のように発言しているが今ひとつ要領を得ない。

議会の傍聴によく行っている自分ですら、今回の教育長への不当な嫌がらせ行為はすぐに理解できなかった。教育に関係のない言葉の揚げ足取り、デマの流布とヤジばかりだったため、正常バイアスが働いていたのか、あまりにもバカバカしくてこれが現実だと認識できなかった。議員からのあたかも教育に理解があるかのような質問(現場へのヒアリングは一切なし)によるこんな低レベルの嫌がらせで、まさか、お世話になってきた中村先生の取り組みがつぶされてしまうとは、あまりに不当。議会を見てきたのに、事の重大性、教育現場への悪影響に気づくのが遅すぎた反省も込めて、危機感を感じた有志で活動を決めた。(山田町長と中村先生が子どもたちのために最初に一緒に活動したのが第二小学校PTAサークルの「絆」だった。)

主張は教育長の擁護するよりも首長、職員、議会への批判

「教育長の続投を求める」と言いつつ、中村氏の取り組みや人柄を紹介するのではなく、呼びかけ人の主張は、中村氏がどんな嫌がらせを受けたか、ということから発展し、山田町長をはじめ、議会、職員への批判に終始していたのも違和感があった。⇒【筆者の認識誤り】チラシでも街宣でも教育長の功績を称える内容があった。
連日の街頭演説に加え、批判を連ねたチラシの全戸配布なども行っていた。中でも山田町長の顔写真をモンタージュのように配置したチラシは強烈であった。

呼びかけ人には別の目的が

実は、呼びかけ人には別の目的もあったのではないか。それは、ズバリ、山田町長、及び、島本町議会へのネガティブキャンペーンである。あるいは、中村氏を擁護する活動の出足が遅くなったことで、署名活動を通したネガティブキャンペーンに切り換えたと捉えることもできる。
それを裏付けるのは、教育長人事が定まった(中村氏が退任、横山氏が就任)後も呼びかけ人が、山田町長にセクハラ事案があったとして宣伝活動を続けていることだ。
⇒【筆者の認識誤り】呼びかけ人が町長や議会を批判するのは、教育長が不当な扱いを受けたことを住民に分かってもらうためであり、あくまで教育長の擁護の為だということ。

学校長による陰謀説

また、署名活動を行っていた背景として、中村氏が指導を行った学校長の教育長就任を阻止する、という目的もあったようだ。
呼びかけ人によると、学校長は保守派の議員と結託し、教育長がパワハラを行い、学校長に土下座を強要した、と議会で追及されるように扇動したとのこと。学校長は次の教育長就任を目論んでおり、目の上のたんこぶである中村氏を排斥しようとした、とのことだ。
この陰謀説はもちろん証拠もないし、実際に本件とは関わりのない横山氏が教育長に就任していることから、呼びかけ人の思い違いだと思うのだが、仮に陰謀説を宣伝することで学校長もネガティブキャンペーンの対象にしたのだとすれば、背筋が寒くなる。
⇒【筆者の認識誤り】呼びかけ人はこのような宣伝はしていないということ。

結局何がしたかったのか

筆者が思うに、やはり署名活動は中村氏の後押しにはならなかったのではないか。おさらいになるが、署名活動をはじめたときには中村氏は提訴を公表していたし、おそらく人事も内々で決まっていたはずだ。呼びかけ人たちは、教育長事案は綿密に調査している、と主張していることから、すでに後押しのタイミングを逸してしまっていることは分かっていたはずである。それでも署名活動の名の下、連日街宣活動をし、署名用紙を住民の意思だとばかりに島本町に突きつけている。やはり、前述の通り、別の目的があったと思われて仕方がない。⇒【筆者の認識誤り】署名活動は住民の意思に他ならない。

後記

筆者も中村氏が学校長時代に子ども達がお世話になったし、保護者として関わりがあり、とても親近感を持っている。それだけに中村氏の訴訟騒動は残念でならない。筆者は中村氏が取り組んでいた「みづまろキッズプラン」が「非認知能力」に着目しているところに注目していた。学校長時代も、児童の表現力の向上に取り組んでおられ、学力検査で測れないところに教育を注いでおられた印象がある。筆者もかつて会社員時代に、保育における非認知能力の取り組みに関わったことがあった。非認知能力の取り組みはすぐには結果が出ず、恐らく中長期に渡るカリキュラムになるはずだ。

中村氏が損害として請求した額は3,800万円。教育長一期分の報酬、プラス、名誉棄損の損害賠償、というところだろうか。厳しい言い方をすれば、中村氏は、教育に対する取り組みを放棄し、我が身を守るための行動に打って出た、と言えるだろう。⇒【筆者の認識誤り】教育長は道半ばである「みづまろキッズプラン」を遂行するため、議会で糾弾された不当な言いがかりを払拭し、身の潔白を証明する為に訴訟を決断されたとのこと。最後まで望みを持っておられた。
また筆者は継続する意思があるなら反省文を書けば良いと思い、教育に対する取り組みを放棄、と表現した。しかし、中村氏は長年教育に携わってきた方であり、自身の納得できない厳重注意に対しては、到底反省文を書くことなどできなかった、とのことだ。確かに教育者としての矜持を持つなら当然のことであると改めて思う。筆者自身も今は中村氏の判断、行動は正しかったと思う。

島本町教育長の続投を求める署名

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