「光の朝 50句」

大あくび薄髭の空に見られてた

水切りす‘成功法則’の石コロで

ぜんぶ野焼キスル色んな感情

太陽の息で溶かし込む言葉

安息へ迅る週末のテールランプ

「レッテルを剥がして欲しい」と薔薇が言い

藤波が鬱と入れ替わってくれている

都市を抜け茜空へ眠り落ちる

晴れた5月は植物界へ移住する

夜のブランコ銀河へ息を吸いに行く

半夏生の吐息が頬に柔らかい

心が揺らす影と光のシーソー

金木犀と虚心想起し黄昏れる

夏雲へ弓引く前の白い刹那

言語は私を創る星間物質

あまのがわ40億年は我に棲む

夢の世のヒューマンエラー神無月

銀河より孵化した鰐の眼の閃光

竜胆の一生(ひとよ)に潜むメビウスの輪

冬の夜の祈りで染める木の痛み

月光が雲間に映す影の蛇

秋桜 心のかさぶた澄み渡る

ユリ開くは 死者を見つめる子供達の

楓の朽葉を果てる朔の夜

情念を宙へ葬る紅葉狩

昼月の思考停止は有罪か

冬麗の雲を孕んだ西の人

寒昴 転生してはみたけれど

したたかな曖昧に立ち冬の鹿

言の鬼逃れて咲いた冬薔薇

心の闇ホワイトペンで執刀す

福寿草/春の動機を間違えて

梅一輪ロボットではない証明せず

二月果つ幻夢の鳥に焦がされて

調律の雲海に浮く桜島

白鳥の嫉妬を量る午前4時

春の夜コトバの止まり木に火を灯す

桜道の秘密結社の入り口で

身篭ったスミレが私に言いに来た

朝凪へ春の傷あと耀う

タンポポが灯台下(もと)で待つ夜明け

九輪草 私の運命こえてゆく

蓮華つむ昨日暴かれたセカイにて

黒い服にヒカリ集めて解毒する

幻と幻食べて生きている

木星街でひと休みする長い夜

東雲へ妄想詰めた風船とばす

儚さの底を舞ってる白い蝶

木洩れ陽のニセモノ私に会釈する

光の朝 君が知らない歌をうたう

2019
Maya.

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