2022 東京優駿を分かりやすく

ラップ総観

12.5 - 10.8 - 11.8 - 12.0 - 11.8 - 11.7 - 12.3 - 12.0 - 11.8 - 11.5 - 11.7 - 12.0(35.1-47.1-58.9-70.6 : 71.3-59.0-47.0-35.2)
中盤に気持ち緩んだ程度で全く息を入れる隙もないミドル~ハイペース。後半はL3最速で底力を問われた。厳しい流れのわりに終盤まで大きな減速が無く、その上キレも求められた最大限の地力勝負。走破時計2:21.9から近10年の中では最も好内容と言っても過言ではない。

展開

13ドウデュース 差し
18イクイノックス 追込
3アスクビクターモア 逃げ
12ダノンベルーガ 好位
6プラダリア 先行

序盤

皐月賞ではゲートで躓き、不本意なレース運びになっていたデシエルトがスタートを決めると7枠から積極果敢に先手を奪う。枠の利を生かしてアスクビクターモアも負けじと内から牽制、そのまま2番手で前を追う。(ここがペースアップの一要因でもある。)ピースオブエイトは抑えが効かないようで3番手。そのまま外に持ち出したところを内に切れ込んだビーアストニッシドが4番手。1コーナーを迎える地点で既に先行争いは決着。
有力どころではプラダリアが枠を生かして先行集団の後ろにつけ、この後ろ辺りからジオグリフ。ダノンベルーガ、オニャンコポンは中団の前。前走同様ドウデュースは中団の後ろで直線勝負に賭ける位置。前走とは打って変わってイクイノックス、キラーアビリティは後方待機。

中盤

バックストレッチを迎えてもデシエルトはペースを緩め(られ)ず。アスクビクターモアが2番手。縦長の馬群でジオグリフはやや後退(詳細は後述)。ドウデュース、イクイノックスは焦らずじっくり後方待機。

4角

デシエルトを追いかけるアスクビクターモア。大外をロードレゼル、ジャスティンパレス、ドウデュース、キラーアビリティが一列ずつ回っていく。内の方からイクイノックスが中団の後ろまで取り付く。ダノンベルーガはその前。

直線

アスクビクターモアが馬場の真ん中に進路を求めながら粘りこみを図る。外から内に切れ込んできたドウデュースが外から突き抜ける勢い。内から外に持ち出してきたイクイノックスがようやくドウデュースを追い詰めに行く。1番人気ダノンベルーガも前を追うが勢い劣って3番手まで。前4頭の争いから最後はドウデュースとイクイノックスの叩き合いに絞られるが、僅かにドウデュースが競り合いを制し、第89代ダービー馬に輝く。

各馬総括

1着ドウデュース


前走の皐月賞はアスクビクターモアのスロー逃げと直線の短い中山が合わなかったようで、大外一気では流石に間に合わなかった。底力勝負でも自身の瞬発力に賭けるスタイルは崩さず、直線まであわてず騒がずの後方待機。絶好のタイミングで追い出されると抜群の伸びで堂々の勝利。
一度マイルを経験していると今日のような速い流れの競馬にも対応しやすく、皐月賞での腹を括った後方待機さえも末脚炸裂につながった。凱旋門賞はよくわかりませんが、直線だけの競馬に徹すれば面白いと思います。日本の3歳馬の看板を背負って戦ってほしい。

2着イクイノックス

最初のコーナーで行きたがって伸びを欠いた皐月賞の反省を生かす後方待機。3コーナーから内をジワジワと追い上げて直線は外に持ち出しながらドウデュースを追うも僅かに届かず2着。
枠がもう少し内なら1列前のポジションで競馬できていたように見える。ドウデュースとは単純に枠の差。前でも後でも展開次第で位置を変えられるのは今後も強みになっていきそう。

3着アスクビクターモア

厳しい流れを唯一先行しての上位入線。2枠3番を生かして終始デシエルトを見ながらの最内2番手。3~4コーナーで外を早めに追い上げ、直線では早めに先頭に立つ。馬場の真ん中の状態の最も良いところを探りながら粘りこもうとするが、最後は差してきた2頭に捕まっての3着。
最も評価されるべき内容。苦しい流れでも持続力を武器に最後の最後まで耐え抜いてダノンベルーガには抜かさせず。皐月賞で逃げを経験したことが前向きに活きたか、レース内容が大きく良化。秋以降の飛躍が待ち望まれる。

4着ダノンベルーガ

前走同様好位追走から正攻法で直線抜け出しを図るもなかなか抜け出せず。ジリジリと前を追い詰めるもアスクビクターモアまでは捉えきれず。
呪い、と結論付けるのは流石に暴論ですかね(笑)。一つは川田J特有のポジションを取りにいく堂々とした競馬が流れ的に裏目に出たこと。もう一つは上位2頭と比べてキレが鈍いところ。単純に言えば足が遅いのですが、時計勝負ではやや分が悪かったように思えますね。

5着プラダリア

内目の枠から前々で運ぶ。終始ロスなく立ち回って、直線は先に抜けたアスクビクターモアを目標に追い上げるも差は縮まらず。
1月デビューで経験も浅いことを考えると大健闘。ゴール前まで脚が保たれている時点、距離が伸びても問題はなさそうで菊花賞でも期待できる。長丁場を中心に使われてきたところ、やはり時計勝負で弱さが出たか。

6着キラーアビリティ

ドウデュースを前、イクイノックスを後ろに見る絶好位。追われに追われて追い上げるがなかなか前と差が詰まらない、ゴール前でようやくジオグリフを交わしたところで入線。
タフな流れの展開は最も向いたが、逆にその分決め手を欠いた。

7着ジオグリフ

位置を下げた原因

距離を持ち堪えるために好スタートから抑えつける形で1コーナーに入るが、下がってきたビーアストニッシドを避ける狙いで外に出してきたプラダリアがジャスティンパレスに被さってその外にいたジオグリフも当然外へと膨らむ。この直後にロードレゼルが1列前に進出したことでダノンベルーガの外に並ぶ位置で向正面を迎えた。
最高の立ち回りができた前走に比べてロスもそれなりに大きく、ギリギリこなせる程度の距離では終いの伸びに影響するのは自明。

8着オニャンコポン

好位からロスなく立ち回るもイマイチ伸び足りず。
勿体無かったのは直線で一度内をついたシーン。丁度外にはアスクワイルドモアが並んでいて、ジャスティンパレスが内に切れ込んだ煽りも微妙に受け、外に出すタイミングが遅れた。ここが非常に惜しかった。

その他の馬たち

ビーアストニッシドは距離が持ったのは嬉しい誤算?ハイペースなら確実に上位に来るアスクワイルドモアが伸びて来られなかったのは、普段よりも強気にポジションを取ったのが響いたように思える。ロードレゼルは17番枠も厳しかったが、スタート後に積極性を欠く主張をしていたのが惜しい。青葉賞では今回同様のペースでも十分な見せ場を作れていたように3番手のポケットで運べたなら面白いシーンはあったように感じた。デシエルトは距離以前にこのラップでは……。

全く素晴らしいレースでしたね。ダービーの内容から世代レベルには大きく期待したいところ。

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