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【マッチレビュー】19-20 ラ・リーガ第27節 バルセロナVSレアル・ソシエダ

こんにちは。高校生クレで指導者を目指しているGodaiです。高校が休校ということもあってかなり暇ですので、本日から稚拙ながらもマッチレビューを書いていきたいと思います!さて、今回は第27節のバルセロナ対レアルソシエダです。バルサは前節クラシコで0-2と完敗し、首位マドリ―との勝ち点差は1。ここで2連敗してしまうと厳しい状況に追い込まれてしまいますが、相手は直近6試合を全て勝利している古豪ラ・レアル。前回の対戦では2-2と引き分けました。ここは勝ってマドリ―にプレッシャーを与えたいという一戦です。


スタメンです。

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 バルセロナの方は新しく加入したブライスワイテがCFに入り、クラシコでアルトゥールが怪我をしたということで右のCHにはラキティッチが入ります。今シーズンなかなか調子が上がらずあまり試合に出れないラキティッチでしたがコンディションは大丈夫でしょうか。ビダルや、アルトゥールの代わりに先発起用が期待されていたリキなどはベンチからのスタート。セティエンの選手交代に注目が集まります。
一方のソシエダは左ウイングのポジションに10番のオジャルサバルではなく18歳のバレネチアが抜擢されています。また、バックラインにもジョレンテが帰ってきてかなりいいチームとなっています。ここまで7ゴールを記録している大型の若手ストライカー、イサクにも注目が集まるところですね。


●前半


前半、バルサはいつも通り4-3-3でメッシがフリーマンとして動き回り試合をコントロールしようとします。セティエンが就任してからバルサのビルドアップはGKのテアがバルベルデ時代と比べて一段と絡むのですが、このバルサのビルドアップに対し、ソシエダはイサクとポルトゥを2トップにした3-4-1-2のような形のマンツーマンで対抗してきます。

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ラングレとピケに対してはポルトゥとイサク、ブスケツに対してはウーデゴール、デヨングとラキティッチにはゲバラとメリーノがしっかりとマークにつきます。前半なのでゆっくり来るだろうと予想していましたが、1分40秒でデヨングが奪われたシーンや3分50秒でテアがイサクに引っ掛けてヒヤッとしたシーンなどを見るとわかるように前半でもソシエダは前からガツガツ来ます。クラシコでマドリ―にまんまとやられたように、バルサのビルドアップに対してはマンツーマンが非常に有効だとどのチームも気づき始めたようです 。

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このような形ですね。ポルトゥとイサクはアルバとセメドへのコースをかなり切りながら寄せてきますので、バルサとしてはテアのフィード力に頼るしかないですね。ラングレ、ピケ、ブスケツの3人とイサク、ポルトゥ、ウーデゴールの3人の3対3の状況なわけですから、空いているのはGKであるテアしかいません。そうなるとテアの持つパスコースは安全面を考えるとサイドにいるグリーズマンもしくはブライスワイテになるわけですが、6分のシーンからもわかる通り、テアはブライスワイテの足元にピタッとフィードしてしまいます(笑)。これがテアの強みですよね。前線から激しくプレスをかけられていても彼のフィードで一気に相手陣地まで押し込んでしまいます。
押し込まれたソシエダはウーデゴールとイサクを2トップにした明確な4-4-2のかたちで守ります。

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この形ですね。バルサは攻撃時にはブライスワイテが左に入ります。ここで相手ディフェンスラインを抉れるウイングがいればかなり楽なのですが、今のバルサにはいません。デンベレは怪我をしていますし、ファティも若いのでこの勝っておきたい試合で起用するのは正直不安です。ブライスワイテにはぜひそのような選手になってほしいですね。いつものバルサならメッシが中盤でボールを受けて走りこんだアルバへスルーパスという必殺技があります。これならウイングのように1対1をしなくてもすでに勝負のついた状態でボールを受けれますから、あとは中の選手に合わせるだけです。
しかし前節のクラシコでもそうでしたが、相手が激しくマンツーマンでくるとビルドアップの段階で詰まってしまってテアのフィードに頼る形になってしまいますので、メッシになかなかボールが入りません。メッシも降りてきてボールを受けるシーンはありましたが、決定的な仕事ができるエリアではありません。14分のシーンではルーズボールを拾ったラキティッチがメッシへパス、そしてメッシからブライスワイテへ出しそのままシュートという惜しいシーンも見受けられましたが、メッシがある程度のスペースがある状態で受けられることはほとんどありません。


となるとバルサはどう攻めるか。バルサとしては相手からのプレッシャーがない状態で始められる自陣でのセットプレーや、相手からボールを奪って相手の4-4-2が整う前に攻めたいところです。16分のシーンではラキティッチがボールを奪いアルバに預け、オフサイドにはなりましたがブライスワイテが裏でもらうシーンがありました。いつものバルサならGKに返してビルドアップを開始しますが、この試合はカウンターのような形で攻めることが多かった印象です。セティエンのイメージからは少し遠ざかった攻め方ですね。


しかし、20分を過ぎてからはバルサがだんだん試合を掌握し始めます。テアのフィードやセットプレーから相手を押し込み、ビルドアップを試みます。この時、メッシがかなり低い位置をとります。デヨング、ラキティッチ、ブスケツ+メッシの4人でソシエダの中盤3枚のラインを突破しにかかります。27分30秒当たりのシーンが一番わかりやすいでしょうか。本来ならラキティッチがいるはずのところにメッシがポジションをとり、テアのフィードを納めることができるラキティッチが前にポジションを取ります。テアのフィードの落としをラキティッチから受けたメッシ。彼がここにいることでまずラキティッチが浮きますのでフリーで受けるもよし、相手のライン間へもぐりこんで引っ張ってメッシのスペースを開けるもよしという状況ができます。そしてメッシのいる右サイドで数的不均衡が起きます。このシーンではメッシはラングレにパスするのですが、右でおきた数的不均衡のおかげでラングレが持ったときに左サイドのアルバへのスライドが間に合ってないんですね。そのためアルバはフリーでボールを受け中に運び、中盤でいつものようにゼロトップとして中盤にいるメッシに渡します。ここでグローザベルがアルバについていき、左のブライスワイテが完全にフリーになります。ここで重要なのがデヨングの動きです。彼はメッシが持った瞬間トップのような位置にポジションをとるんですね。

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こんな感じです。デヨングがこの位置に入ることによって▧で囲った部分でジョレンテとグローザベルの2人をピン留めできるんです。このメッシのブライスワイテへのパスが通り、最後ラキティッチのミドルシュートは惜しくも入りませんでしたが、かなりいい攻めだったと思います。バルサのメッシ依存の長所がでた場面ですね。実はこのデヨングの目に走っていく動き、最近の試合で結構見られます。僕が読んだ記事だと、セティエンがデヨングにこの動きをするように言ってるらしいですね。6分あたりのシーンなんかでもブライスワイテがサイドに開いて空けたスペースにデヨングが走りこむ場面があります。僕個人的にはデヨングは後ろから前進のための軸として相手のライン間で受けてラストパスを出すような役割をしてほしいなぁ…なんて思ったりもしますが…(笑)
バルサのディフェンス面で注目したいのはソシエダのゴールキックの時の陣形でしょうか。ソシエダのGKのレミーロもテア同様かなり足元のあるGKですので、ソシエダもビルドアップを試みます。この時にバルサはラキティッチを上げて前4枚でディフェンスをします。

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この形です。特に13分当たりのシーンがわかりやすいかと思います。ソシエダはゲバラが降りてきて数的優位を作ろうとしますがラキティッチがマークしてそれを許しません。さらにメリーノにはブスケツ、バレネチアにはセメドが付きます。これによって相手の2CB+モンレアル+ゲバラに対して4対4の状況ができます。さらにハーフライン近くまで降りてきてボールをいったん収めようとしたイサクにはなんとピケがその位置までついていきます。完全なマンマークで個々の力では圧倒的にバルサが上回ってますので、このディフェンスはかなり効いていましたね。ただ、セメドがバレネチアを見ている分アルバが絞らないといけませんので、逆サイドのグローザベルはフリーになります。

●後半


さて、後半です。両チームメンバーチェンジはありません。まあ後半も前半とあまり変わりはありません。わかりやすく変わったと言えばバルサの相手ゴールキック時のディフェンス配置でしょうか。前半は先ほど説明しました通り、ラキティッチを上げて前線で4対4の状況を作り出していたバルサですが、後半はやり方を変えてきます。前述したとおり、前半の形ですと、ブライスワイテがジョレンテのマークにつき右に追い込む形の守備になりますので、左のアルバが絞るとグローザベルはフリーになります。後半はそれを嫌がってかやり方を変えてきました。

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この形です。ブライスワイテを一段下げて左SBのマークにつかせることによってスライドする手間を省きます。そして相手GKのフィードを収めようとするイサクには前半同様ピケがついていきます。これがバルサの守備の変更点ですね。


後半気になった点はあと3つほどあります。


1つはブスケツの飛び出しです。これは50分のシーンです。相手がボールを下げた際にグリースマンが低めの位置をとっていたためブスケツがジョレンテとそのままGKまでプレスに行くシーンがあります。もちろんブスケツのスペースは空いているわけですから、このシーンではうまくウーデゴールを使われ、2列目と3列目のライン間をとられてピンチになってしまいます。このブスケツの飛び出し、グラナダ戦でもありました。彼が飛び出しても全員がうまくずれることができればいいんですが、メッシはディフェンスをしませんので(それが彼が輝ける理由の一つでもありますが)どうしてもデヨングなどがでてしまい今度はそのスペースを使われてしまうという現象が起きてしまいます。僕個人の意見としては、前2人がファーストディフェンスに行けない状況、もしくはすでにブスケツが出てしまった場合、単純に4-4のブロックを作って跳ね返す方がいいと思います。バルサは高さもありますので、相手にボールは持たれてしまいますがその方が安全でしょう。


2つ目は56分ごろのFKでのソシエダの配置です。

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これです。すごいですね(笑)。もう絶対にメッシにFK決めさせない!という気持ちが見えます。このFK,結果的にメッシが中の相手にあててしまうんですが、僕は思いました。これ、ラキティッチかブスケツに簡単にあててこぼれ球を拾った方がゴールが決まる確率が高くないですか?2人とも高さがありますし、直接FKを決めさせないためにこの配置をやっていると思いますので、少し意表を突いたプレーをしても面白かったんじゃないかなと思います。


最後は73分、ビダルの投入です。60分過ぎたあたりからそろそろ交代してもいいんじゃないか?とお思いだった方は多いのではないでしょうか?僕もその一人です(笑)。このセティエンの交代の意図には、ビダルを入れて前線を活性化させようという意図があったと思われます。ビダルって、皆さんご存じの通り攻撃参加もできれば守備も頑張れちゃう。しかも得点もとれちゃうというスーパーな選手です。セティエンとしてはメッシのオプションを増やす意図でラキティッチとビダルを替えたと思います。しかし、僕個人的にはブライスワイテと替えてほしかったですね。前半こそチャンスに絡んでいたものの後半は少し消えていた印象です。彼はかなりサイドに張るタイプのアタッカーなので、アルバのオーバーラップするスペースがなくなっていました。ビダルなら中よりでプレーできますし、中で細かいパス回しに参加できるとともにアルバのスペースを空けることができます。そのうえ後半の70分という試合の強度が落ちてくる時間帯にインテンシティの高いプレーを相手陣でもすることができます。それに、ラキティッチもこの試合、悪くなかったのではないでしょうか。彼も中でメッシとのパス回しに参加できる選手の一人ですのでメッシのパスコース、オプションを残しておくという意味でやはり僕はブライスワイテを替えてほしかったですね。

結果は76分にVARでPKを獲得したバルサがこれをきっちり決め、1-0で勝利を飾りました。内容はともかく、クラシコ敗戦後のこの1勝はチームとして大きいですね。


●感想


バルサのビルドアップでの詰まりが明るみに出たクラシコからの2戦でした。スアレスやデンべレがいればもう少し楽な試合になったかもしれませんが、怪我なので仕方ないですね。そこも踏まえてセティエンが今後どう修正していくかは見ものです。皆さんもお分かりだとは思いますが、セティエンのチーム作りは始まったばかりです。厳しい条件下で彼がどのような答えを導き出すのか、ファンとしてじっくり見守っていきましょう!


最後になりますが、たかが高校生の生意気なマッチレビューを読んでいただきありがとうございます!(笑)かなり上から目線となってしまいましたが…(笑)。今後もバルサの試合後はこのようなマッチレビューを出していきたいと思いますので、よろしくお願いします!

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