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GKにおける止めるとは。

長年GKコーチとして日本の第一線を走っている松本拓也GKコーチとのスクールが始まっています。

MTM GK METHOD
詳細は以下のリンクから⏬


拓也さんとGKの話をする時、トレーニングの話をする時にボールを止めることへフォーカスすることがほとんどです。


ラリーガのトップをいく2人のGK。

どちらのシュートストップも秀逸と言えます。

今回の記事ではシュートストップにおける
『反応』について紐解いていきます。

人はどのくらいの時間で反応できるのか、反応する時間に限界はあるのか、GKが反応し動き出せるまでどのくらいか。

ひとえに反応と言っても色々あるので見ていきましょう。



少し前の映像ですが、21-22シーズンCL決勝でのレアルマドリードGKクルトワのシュートストップ。

この映像を例に解説していきましょう。

1st Scene.


まずは1シーン目

リヴァプールFWのマネがDFをかわしてのシュートシーン。

マネが縦パスを受け2枚はがしてシュートしたシーン。
当時リアルタイムで見ていましたがさすがに入ったと思ったシーンです。

このシーンでの反応について。

そもそも反応とはどういうことなのか。

*ある働きかけに応じて起こる物事の動き。
*生体が刺激に応じて活動を起こすこと。
*物質の相互作用によって別の物質を生じること

goo辞書

ネットで打つと一般的にこう出てきます。

二つ目の生体が刺激に応じて活動を起こすことがフットボールの中での反応になると言えます。

刺激され情報を知覚すると後頭葉の視覚野、頭頂葉の連合野、前頭連合葉に行き運動野へ。そして運動の実行となる。
この一連の知覚/情報伝達/情報の統合/実行までの流れはどのくらいの時間で出来るのか。

末梢神経の伝達速度は神経の種類にもよるがおおよそ70-120 m/secと言われている。
1秒間に70-120m進めるほどの速さである。



ボールが足に当たってシュートが放たれる。
そしてボールがクルトワの前に来るまでどのくらいかかるのか。

約0.5秒

0.5秒までに反応しないといけない。

シュートを打った地点からクルトワの立っている地点まで約15m。
0.5秒で到達していると仮定するとボールの速度は100kmほど。

そのスピードに対して反応する必要がある。

では足がボールに当たってボールが放たれる瞬間からクルトワが動くまではどのくらいか。

約0.2秒

0.2秒ほどでクルトワは跳ぶ方向へ動き始めている。



では動き始めるのに他の情報は必要か。

味方と相手はどう配置されているか。



この状況でシュートコースはどうか。


この場面での赤の矢印方向へのシュートは味方DFがいるのでないと予測するのが妥当。

となると必然的にニアサイドを狙うコースになると言える。
マネの横からDFが2人付いているのでシュートにかけられる時間はわずかで難しいことは出来ない。

クルトワにおいてもこのシュートコースの予測はそこまで難しくないと言えるでしょう。


2nd Scene.

続いてはこのシーンを。


サラーがカットインからシュートを打ったシーン。
これもクルトワは綺麗に弾いています。



この段階でシュートはニアかファー。
ニアは右手側から寄っているDFに当たる可能性があるため可能性は低くなる。
となるとファーに打ってくる可能性が高くなる。


シュート直前にはこのような配置となる。
この状況だとシュートはほぼファーに来ると予測することが多いと思う。

そしてこのシーンでのクルトワの反応までの時間。
シュートが打たれてから跳ぶ方向に動き出すまでに約0.15秒

そしてボールが足から離れてクルトワの手前までくるのに約0.6秒

ペナルティエリアの少し遠い位置なので17mほどでしょうか。
ボールがクルトワの前に来るまでボールのスピードは100kmほど。

100kmの物体が飛んでくる前に反応してアクションしないといけない。




ここまでの2シーンで反応について書いてきました。

いち早く反応するためにはボールがどこに来るかある程度予測しながら構えます。
それに加えて直前までボールを見て、来るシュートに対して瞬時にアクションを起こします。

アクションを起こせるまでにかけられる時間は限られています。
その限られた時間で最高の反応をするためにはボールに執着し、相手の動きに執着し味方をコントロールすることも必要になることもあります。


過去のプレー経験、予測、知覚情報、周囲の状況をシュートが飛んでくる1秒にも満たない間に統合して動く。
GKはそれほどまでに洗練された動きをしている。


最後に

ではどうトレーニングするのか。

実践的な練習はGKコーチが担当するべきで、フィジカルコーチやトレーナーが関わるべきところは身体の部分と言えます。

身体の専門家は知覚してから反応までに要する時間やアクションを起こすまでに必要な時間を知っています。

そのためにも良い状態で身体を使うかが重要です。
そこにフォーカスしてトレーニングを実施していくことが求められます。

何が問題で、どれがクリアになったらスムーズに動作を実行出来るのか。
チームや個人の課題を評価するところから始めてみましょう。



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