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【ペンタゴン・ペーパーズ/完成披露試写】

スティーヴン・スピルバーグ×メリル・ストリープ×トム・ハンクスの社会派ドキュメンタリー「ペンタゴン・ペーパーズ」の完成披露試写でした。
ベトナム戦争時にアメリカ政府が何を考え何を隠し、何に重きを置いて国民を戦場に送り出していたか。
その概要を詳らかにした最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」をめぐるニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストとホワイトハウスの闘い(実話)。

ワシントン・ポストの社主であるメリル・ストリープが家族経営の価値観の崩壊や40を過ぎて夫の自殺を機に社主として経営者の壇上に上がらざるを得なかった苦悩、その女性経営者の下で働くトム・ハンクスをはじめとする男性陣の想いなどなど、世相、男女の価値観といった社会問題が細部にまで仕込まれている作品でした。
肉感の増したストリープのナイトガウン姿などは、くたびれた肉体を隠しきれない女性社主の、体力や精神力の限界との闘いがにじみ出ていて強烈なまでに人間くさい。そんな彼女が法廷を出る際に、一言も言葉を発さずに有色人種の女性に挟まれながら闊歩する様は、申し訳ないけど勝手にぐわっともらい泣きしました。
「女性の権利がー!」とか喚くよりよほど印象的。その描かれ方こそが女性的で、だからこそ嫌悪する人もいるかもしれないけれど。

体制への批判的な立場としての言論の自由に関しては、スピルバーグの主張に反論はありません。
ただ、現代の日本のマスメディアを鑑みるに、「うん、それ本当に事実ですか?」と思うことがしばしばあるので、弱者救済や体制批判をポジショントークとされる方々に余計な勇気を与える映画にならないことを心より願っています。

3月30日、全国ロードショー。

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