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MLBの新労使協定 結局何が変わったの?

こんにちは。ハルです。

MLBのロックアウトが明け、移籍情報が絶えませんが、こんなにも長く続いたロックアウトはそもそも何を目的に行っていたのか。新しい労使協定で何が変わったのかを解説します。


・ロックアウトの目的は何だった?

2016年に成立した労使協定の有効期限が2021年の12月1日までであり、オーナーたちはその時に2つの選択肢を与えられた。1つは交渉を続けて、長い期間をかけて合意を目指すもの。もう1つはロックアウトを実行し、緊急で交渉の成立をするものだった。

その結果、ロックアウトを実行し、早期解決をすることを目指した。しかし、結果としてオープン戦、開幕を延期せざるを得ない時期まで伸びてしまった。

・新しい労使協定の内容は?

1.最低年俸の増額

 2021年の選手の最低年俸は57万500ドルでした。2022年の最低年俸は70万ドルとなり、翌年から2万ドルずつ上がり、2026年には78万ドルまで上昇します。

 近年、若い選手の台頭を中心にチーム作りをする風潮が続いており、これは、選手会側の大きな成果と言えるでしょう。


2.年俸調停前のボーナスプール

確証の受賞者や個人の成績に基づいて上位100人の年俸調停前の選手に対して5000万ドルを分配する制度。これは年俸調停権を取得できない若手選手に対してボーナスを与えるためにできた新しい制度です。

例えば、
MVP・サイヤング賞受賞:250万ドル
           2位:175万ドル
           3位:150万ドル
         4位/5位:100万ドル

新人王受賞:75万ドル
    2位:50万ドル

オールMLBファーストチーム:100万ドル
セカンドチーム:50万ドル

となっています。

残りの金額は、WARに基づいて分配されます。なお、FanGraphs版を使うのか、Baseball-Reference版を使うのかは今後決められます。


3.ぜいたく税の課税ライン

今回の労使協定交渉の最大の焦点であったともいえるぜいたく税について。2021年は2億1000万ドルでした。しかし今後は

2022年:2億3000万ドル
2023年:2億3300万ドル
2024年:2億3700万ドル
2025年:2億4100万ドル
2026年:2億4400万ドル

となります。

超過金額によって支払額が異なり、

2000万ドル未満の場合:20%
2000万ドル~4000万ドルの場合:32%
4000万ドル~6000万ドルの場合:62.5%
6000万ドル以上:80%

となっています。なお、4段階目は新しく設置された基準であり、今オフ大型補強を繰り返すメッツのオーナー、Steve Cohenに向けたものだとされています。


4.ドラフト・ロッタリー

ドラフトの全体1位から6位までの指名権を抽選で決めるというもの。対象となるチームはポストシーズン進出を逃した18チームで、勝率が低かったチームほど当選確率が高くなる。

ただし、いわゆるスモールマーケット球団の収益分配対象チームは3年連続で抽選に参加できず、いわゆるビッグマーケット球団の収益分配の対象でないチームは2年連続で抽選の対象にはなれません。

この制度はタンキング防止のために作られたもので、多少はタンキングが少なりそうです。


5.サービスタイムの操作防止策

トッププロスペクトを開幕ロースターに登録し、その選手が新人王投票3位以内、またはMVP/サイ・ヤング賞投票で5位以内に入った場合、ドラフト指名権を得られるもの。

また、新人王投票で1位または2位になったトッププロスペクトには丸1年のサービスタイムが与えられます。

これにより、プロスペクトのデビューをわざと遅らせてFA権取得を1年遅らせるという操作をしづらくなり、それならば開幕からロースターに入れて置き、ドラフト指名権を獲得した方がよい、という球団が増えるでしょう。


6.プレーオフが12チームに拡大

各リーグの地区優勝3チーム、地区2位以下の勝率上位3チームがプレーオフに進出できます。

地区優勝3チームのうち、勝率の高い2チームはシード権を獲得し、ポストシーズン第1ラウンドを免除され地区シリーズに進出できます。

残りの1チームとワイルドカードの3チームが3試合制でのワイルドカードシリーズを争うことになります。

ポストシーズンの価値を下げることなく試合数を増やすことで、MLB側が放映権料などを獲得することが狙いだった模様です。

7.ユニバーサルDH

今季からナ・リーグでもDH制が導入されます。

なお、解除してピッチャーが打席に立たせることは可能です。


8.ルール変更について

2023年から、現役選手4人、MLB機構に指名された6人、信販1人で構成される委員会が設立され、ピッチクロック、守備シフト禁止、ベースの拡大、ロボット審判などのルールの変更を決定します。

委員会で採択されたルールを実施の45日前 (もともとは1年前)までに通達をすればルールの変更が可能となります。


9.国際ドラフト

アメリカ・カナダ・プエルトリコ以外の選手が対象のドラフトです。今年の7月25日まで交渉を永続し、選手会側が導入に賛成すれば、それと引き換えにクオリファイング・オファーの制度が廃止されます。


10.その他

  • 今オフのルール5ドラフトの中止

  • 国内ドラフトが20巡目までに

  • ドラフトの身体検査に関するルールの変更 (昨年のKumar Rockerを受けてと思われる)

  • ユニフォーム・ヘルメットに広告

  • 40人枠内の選手のマイナーでの最低年俸も上昇

  • マイナーへのオプションでの降格は1人当たり1シーズンに5回まで

  • 1ゲームプレーオフ (いわゆる163試合目)は廃止

  • ダブルヘッダーは9イニング制に

  • 延長戦のタイブレーク廃止

  • 2023年以降は1シーズン内に必ず全29球団と対戦する

  • 今後5年で、アジア、ドミニカ、ヨーロッパなど世界各国で試合を開催


まずは、ロックアウトが解除され、162試合開催できることを嬉しく思います。

ルール変更により、恩恵を受ける球団、そうでない球団、など様々ではありますが、一応はより多くの人が納得できる結果になったのではないでしょうか。

今年も162試合+プレーオフのシーズンを楽しんでいきましょう!

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