めぐみの場合(仮)

別視点の話。主人公は32歳のキャリアウーマン。でも、趣味が特殊で……。これは冒頭ぐらいの話。もうちょっと続きます。ト書き2マス空けは最後にやります(笑)。


○ ヴィーナス化粧品・オフィス
めぐみ「これでは全く駄目です」
と、椅子に座りながら、書類の束を部下の女社員Aに返す葛葉《くずは》めぐみ(32)。
女社員A「(立ちながら)どこが駄目なんですか」
めぐみ「(ずれた眼鏡を戻し)要点がまとまっていなくて、企画意図が伝わらないからです」
女社員A「どこをどう直せば……」
めぐみ「それは自分で考えなさい」
椅子を回転させ、自分のデスクに戻り、PC作業を再開するめぐみ。
女社員A、無言で立っている。
めぐみ「(チラッと女社員を見て)そこで立っている暇があるの?」
女社員A、悔しさを滲ませる表情をして、その場から去って行く。
そんな二人の様子を遠巻きに見ていた他の女社員達、ヒソヒソと話をしている。
女社員B「(小声で)あれはちょっとひどくない?」
女社員C「(小声で)まあ、でも課長の実力は確かだから……」
女社員B「(小声で)それはそうだけどさぁ。もっと言い方ってものがあるじゃない」
女社員C「それは……」
めぐみ「(女社員達を見て)そこも無駄話しない!」
そそくさと散っていく女社員達。
めぐみ「はぁー、全く」
と大きく溜め息をつき、PC作業に戻る。


○ 高層マンション・全景(夜)


○ 高層マンション・廊下
くたびれた様子で歩いているめぐみ。


○ 高層マンション・めぐみ宅・玄関
めぐみ「はぁ……」
と、パンプスを適当に脱ぎ、廊下を歩き、部屋に向かう。


○ 高層マンション・めぐみ宅・部屋
電気を点けるめぐみ。
部屋は散らかっているとも言えず、片付いているとも言えない。どちらかと言えば散らかっている。
開きぱっなしにされた資格本、テーブルの上の空の缶ビール、ベッドは布団が乱れている。
めぐみ「はぁ! 疲れた!」
と、持っていたビジネスバッグと、着ていたスーツの上着をベッドの上に放り出す。
めぐみ、小さな冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出し、テレビの前に置いてある小さなテーブルの上に缶ビールを置き、その前にドカッとあぐらをかく。
めぐみ「(ビールのプルタブを開けながら)全く私がどれだけ(ビールを飲み)あんたたちのために上にペコペコしてるか(ビールを最後まで飲み)分かってない!」
と、空の缶ビールをテーブルの上にドンと置く。
めぐみ、冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出し、またテーブルの前であぐらをかく。
めぐみ「(ビールのプルタブを開けながら)どこをどう直せばって? (ゴクゴク飲み)そんなの分かるわけないじゃない! 私が入社したての頃も誰も教えてくれなかったわよ! (ゴクゴク飲み、ビールが空に)自分で考えろっての!」
ドンと空の缶ビールをテーブルの上に置く。
めぐみ「はぁ……」
と、壁に掛かっている時計に目を向ける。
時間は23時を指している。
めぐみ「シャワー浴びて――」
と、部屋の隅にあるパソコンを見て。
めぐみ「いつもの時間ね!」
×   ×   ×
めぐみ、パジャマに着替えている。
パソコンに向かい、電源を入れる。
立ち上がるパソコン。デスクトップ画面が表示される。
めぐみ、ウェブブラウザをクリックし、漫画投稿サイトを開く。
数度クリックする。
めぐみ「(大声で)最新話キター!!」
ディスプレーに表示されているのは、いわゆるボーイズラブ(以下、BL)漫画である。
めぐみ、笑顔で熱心に読んでいる。活き活きとしている。
めぐみ「ふぅ……」
読み終わっためぐみ。
めぐみ「これは……」
と、ガッツポーズをして。
めぐみ「最高だー!!」
また一から読み直すめぐみ。
めぐみ「(読みながら)ほんと神展開ばかりだなー。絵も超絶上手いし」
読み進めるめぐみ。
めぐみ「はぁ……。よくこんな話が書けるもんだよ」
と、最後まで読む。
めぐみ「ほんと作者のマリーさんに会ってみたいなぁ。あっ、でも緊張して何も喋れないかも」
と、確かめるように時計に目を向ける。
針が1時を指している。
めぐみ「げっ! もうこんな時間! 早く寝ないと」
と、パソコンをシャットダウンさせ、あくびをしながらベッドに向かうめぐみ。
ベッドに入り、
めぐみ(M)「あー、明日の朝は会議があるんだっけ。準備は……明日の朝でいいや! もう寝る!」
と、すぐに寝息を立てて寝てしまうめぐみ。幸せそうな表情。

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