今日も長い1日だった。
街を歩き泥をはね、椅子に座り腰を痛め、家路に着こうと思っていたら飲みたくない酒を飲まされ文句を聞かされる。

 プランなんてそう上手くいかないもんだなあ、と軽くため息を吐く。モヤモヤ。毎日のイライラはどこにもやり場がないものだ。
 仕方ない、風呂にでも入ることにした。

 お湯のシャワーを浴びると体がピリピリする。心なしか風呂場もいつもより白く曇っている気がする。

 頭を洗う。ザッと泡立てて無心で頭の汚れを掻き落とす。
 すると、小さな泡がふわっと床に落ちていくのが見えた。
 ゆらゆらと飛んでいる。透明なようでよく見ると多彩な色がグルグルと渦巻いている。
シャボン玉についての記憶が蘇ってきたのはそれがぱんっと破れた後だった。

 シャボン玉遊び、楽しかったよなあ。でっかい奴作ったり、 息吹いて沢山一気に作ったり、泡に塗れてたなぁ。

 今でも楽しいんだろうか。いや、この際大人になったんだし、もっと豪勢に泡まみれになってやろうか。

 考えてたらちょっと面白くなってきた。あいつらほんの一瞬しか現れない癖にめちゃくちゃ楽しませる。

 見てると変な姿してるし、1人でどっか行くし。更には他人の汚れを落とすような善良なやつもいる。人間とは大違いだ。

 そろそろシャワーで流すことにする。ザッと流して風呂に入る。バスタオルで体を拭き、髪を乾かした。

 サッパリすると眠くなる。泡になってやろうか。一瞬で消えても面白い奴になれるならそれで良い。

 どうやら来年の予定は決まったようだ。

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