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ナッジで伝わるプレゼンに⑰:象にはっきりと矢印を示す

聞いているうちに、背中を押されて「この話、ぜひやってみたい」と思えるプレゼンがナッジの利いたプレゼンです。ナッジの利いたプレゼンにするには、相手に明確な矢印を示すことが前提条件です。矢印がクリアだと、相手はそれに従って進みやすくなります。

人の感情は「象」と比喩されることがあります(なぜ感情が象なのかは、こちらで)。象に対し、矢印を明確に示さなかったり、矢印があってもノイズが多くて方向がよくわからなかったりすると、象はどうしてよいかわからず、暴れるでしょう。理性によるコントロールは限定的で、暴れた象を抑えるのは難しいです。
ここで、明確な矢印が示されると、象は矢印を一瞬見失ったとしても暴れることなく、簡単に正しい道へと戻ることができます。

私はプレゼンを指導しています。そこで「私のプレゼンで足りない点がありませんか?」という相談をいただくことがあります。この相談、答えるのは実に難しいのです。なぜなら、共同研究者でも指導教官でもない私にとって、聞いた内容が全てだからです。演者の持つ「実は私はこのことを伝えたい」という秘めたる思いを、私は具現化できないのです。先日、澤円オンラインサロンで、メンバーから「足りない点を教えてください」と相談を受けた澤円さんが「あなたの考えがわからないので、答えられません」と返答していました。実に明快でした。

ここで、矢印が明確なプレゼンには、「主張を支える論拠が足りませんね」といった、フレームワークに基づく助言はできます。しかし、私が受けたプレゼン予行演習の多くは、矢印が不明確なものでした。その大半が、ノイズが邪魔をして、矢印が見えなくなっているケースだったのです。その状態でさらに情報を足そうとすると、情報過多になり、相手を疲れさせます。「プレゼンに足りないのは何?」には答えにくいですが、「これを確実に伝えたい。何を削ぎ落せばよい?」という質問には、私は全力でお答えできます。
矢印をすっきりと示すことで、相手は自発的に行動してくれる可能性が高まります。
今日も最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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