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地方自治体ナッジ:笑顔あふれる尼崎市

尼崎市は2019年10月に設立された、日本の地方自治体で2番目のナッジユニット。発起人の江上昇さんが元お笑い芸人ということもあり、コンセプトから細部に至るまで、とにかくユーモアたっぷりのチームです。竹林が2020年3月18日に尼崎市で開催されたナッジ講演会とナッジコンテストにお邪魔した様子を報告します。

開始前から面白い

コロナ感染の初期段階、研修のような「重要・不急」の扱いは悩ましかったでしょう。会場には机に席は1つで距離を確保し、マイクはその都度消毒、扇風機を配置して換気…と万全の感染症対策の下、開催されました。

そして、トイレに入るとアポロ月面歩行の写真と「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」の名言ともに「さぁ、あなたも一歩前へ!」のメッセージ。「トイレをきれいに」と書かれても心に響かなかった紳士諸氏も、アポロナッジで行動指示をされると従いたくなったようで、トイレはピカピカでした。このナッジを目にして、始まる前から大成功の予感が。

盛り上げていただいた講演

コロナ対応で御多忙の中、市長や副市長も含め、20名余りの職員が参加(コロナ対策のためにやむを得ず人数をミニマムにしました)。職員向け研修にもかかわらず、テレビ局2社が取材に来てくださいました。(嬉しい!)

最初は竹林によるナッジ講演。会場はあたたかい雰囲気で、人数が少ない分、1人1人とアイコンタクトを取れました。竹林のナッジクイズ(ちょっと意地悪)に、市長が笑顔で答えてくださいました。

関西でも津軽弁で行動経済学を話す講師。皆様が笑顔で頷いて聞いてくださった姿に心を動かされました。そんな優しい皆様に対し、私の渾身のギャグが大滑りをして困らせてしまったことは、実に心苦しく、「二度とあってはならない」と誓いました。

笑顔あふれるナッジコンテスト

竹林講演の後は職員によるナッジコンテスト。7チームからナッジによる社会課題解決のプレゼンが行われ、竹林からコメントさせていただきました。どれも、低コストで相手を嫌な気にさせずに行動へと促す創意工夫に満ち、具体的な提案ばかりでした。そして、プレゼンに笑いの要素がちりばめられ、絶妙にテーマへの関心をくすぐるナッジになっていたのが見事です。

「ナッジの大切さはわかっているけど、具体的にどうすれば?」「1人だとやりづらい」「前例には手をつけにくい」…この声は全国からたくさんいただきます。そんな悩みに対して、ナッジコンテストは背中を押し、関わった全員を楽しくしてくれます。「表現やデザインを少し変えるだけならすぐにできそう」「そんなに特別なものでなくてもいいんだ」といった小さな勇気が、ナッジの実践に繋がります。

【尼崎市HP 市長の活動日記 2020年3月18日でも紹介されました】

【みんなの尼崎大学のFacebookでも紹介されました(竹林の声入り)】

尼崎市にエールを!

私たちは規範を守らない相手にはつい説教したくなりがちです。が、尼崎市はナッジを手に入れました。経済学のゴールは幸せの最大化で、ナッジは幸せの最大化を実現するための力強い武器です。だから尼崎市はナッジとともに幸せにあふれた自治体へと発展していく。私はそう信じます。

尼崎市では新採用職員研修のメニューにナッジを入れることも検討しているとのこと。私の知る限り、これは全国初です。尼崎市のナッジへの熱意と面白さ、実行力。全てが大好きです。コロナ終息後、すぐに伺います!

最後に

尼崎市ナッジユニットの皆様の御尽力は想像を絶するものがあったと推測します。心から敬意を表します。ありがとうございました!

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追伸 ナッジコンテストで提案のあった「押しチャリ」は、特に竹林のツボに入ったことから、別途報告します。

市長から「マスクを外すとき、紐だけ触るようなナッジはどうでしょう?」と提案を受けました。私はこのナッジをずっと考えています。アイディアがあればお知らせください!





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