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ナッジで伝わるプレゼンに①:「私はバイアスの塊」

2020年9月20日に開催されたTEDxGlobisUで「心のゾウと仲良くなると、人は動く」というテーマで登壇しました。応援してくださった全ての方に感謝します。恩返しを込めて、今回から連載で「ナッジを利かせたプレゼンの考え方」を紹介します。

私の話を聞いて、初めてナッジを耳にする方も少なからずいらっしゃいます。もしも、ナッジを語る私が説教口調だとしたら、第一印象で「ナッジは面倒なもの」というネガティブな印象を残してしまいます。だから、私は「聞いてくださる方の心をそっと後押し(=ナッジ)するスタンス」を徹底して貫きます。

そのために不可欠なのは、①自分の心理特性を知り、②自分をナッジすることです。
①のお話しから始めましょう。相手を動かすのは難しく、その前に己を知り、マネジメントしないと始まりません。「ナッジ理論を研究して、何を感じたか?」と聞かれると、私は「自分はバイアスの塊であると知った」と答えます。私はバイアスの先行研究の登場人物と同じように、「わかっていても行動できない、人間らしい人」なのです。

「あなたも、人間らしい人」と仮定した上で、プレゼンでバイアスとどううまく付き合うかを考えていきます。バイアスと付き合うには事前準備が重要です。本番ぶっつけ勝負は、バイアスの誘惑に流される可能性が圧倒的に高く、危険です。最低限、自信過剰バイアスのバイアスの存在は知っておいて損はないでしょう。

自信過剰バイアス:自分のことを客観的評価よりも、ずっと高くする心理

自信過剰バイアスはとてもパワフルで、他人の評価よりも自分の作品を5倍も高く評価するという研究もあります(この研究では「IKEA効果」や「自前主義バイアス」として紹介されています)。このバイアスが強いと「ちゃんと説明しているのに、素直に受け取らない相手が悪い」という意識になりやすく、「自分が頑張れば頑張るほど、相手は引いていく」というミスマッチを起こすこともあります。せっかくプレゼンを聞くために集まってくださった方です。ぜひ前のめりで楽しく聞いていただき、記憶に残るプレゼンにしたいものです。

そのためにはどうすればよいでしょうか?②の「自分自身をナッジすること」がお勧めです。ナッジのフレームワークEAST(Easy, Attractive, Social, Timely)に整理し、連載していきます。お楽しみに。

※YouTubeで1日おきに、120秒ナッジトリビアを発信しています。「たけばやし博士」をチャンネル登録してくださると、励みになります。


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