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ナッジで伝わるプレゼンに⑨:魅力を余すことなく

あなたの頭の中にあるアイデアの魅力を100とします。
Q1 その魅力は言葉にした時点で、どうしても目減りします。目減り後はいくらでしょうか?
Q2 あなたがアイデアの魅力をプレゼンした時、相手はいくらの価値として受け止めてくれるでしょうか?

魅力を届けるのは至難の業

TEDxGlobisUの本番2か月前に録画した、自分の予行演習の動画を見返しました。自分の頭にある価値を100としたら、私は50程度しか言葉にできず、その50も相手には25しか伝わっていないようでした。もしもその状態で本番を迎えたら、私の話を聞いた人は「ナッジって退屈だな」という印象を持ったことでしょう。

TEDxトークでは、持ち時間は18分でスライドは最低限にするなどの制約があります。そんな中、自分の思い描いたイメージを抽出できず、ベストな言葉で相手に届けることのできなかった発表も多いと聞きます。魅力を伝えるにはどうしたらよいのか、Attractiveナッジの観点からお話しします。

私の場合、予行演習で解決できました。本番までに予行演習を60回以上し、フィードバックは約250人からいただきました(誰かに聞いていただいた予行演習の回数が60回で、一人での練習は200回以上かもしれません)。予行演習のお陰で、最大限に伝えることができたと確信しています。

なぜ、何のために予行演習?

予行演習を重ねた理由は、ナッジの魅力を余すことなく伝えたかったからです。私は初めてナッジの文献を読んだ時、衝撃を受けました。その魅力は、私がしっかりと話せば、きっと聞く人の心に届くはず。このチャンスで退屈なトークをするわけにはいかないのです。

予行演習の最大の目的は「プレゼンの表現を少し変えると、相手のリアクションはどう変わるか」を測定することです。そうしないと、Attractiveナッジが設計できません。私は予行演習の相手に、率直に感想を言うようにお願いしています。
相手にとって、目の前にいる人のプレゼンの欠点をズバッと言うのはリスクを伴います。だから私は最初にリスクフリーであることを約束しました。「私は学会発表で、厳しい意見には慣れています。この予行演習ではどんな意見でも決して気分を害さないと約束します。むしろ、厳しい意見を引き出せないと、私の伝え方が不十分だったと感じますので、遠慮なくお願いします。」と宣言しました。実際に厳しい意見をいただいても(仮にそれが的外れなものだったとしても)、「ミスリーディングしてしまったのは、私の表現に工夫の余地があるということ。気付かせてくれてありがとう」と心からの感謝の言葉を伝えました。

「竹林は暇だからそれができるんじゃないか」…その通りかもしれません。でも、どんなに締切が続く時期であっても、プレゼンの機会がある限り、私は予行演習を欠かしたことはありません。このプロセスがあるからこそ、聞く人の心に届くAttractiveナッジができると信じています。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。



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