みそか
今年もあっという間に1年が終わろうとしている。
暮れの荒川は、思ったより賑々しかった。普段から多様性には事欠かない街だが、皆どこへ帰るわけでもないのか、居酒屋をはしごするサラリーマン、ガールズバーのキャッチ、待ち合わせのカップル・・・とにかく駅はごった返していた。
ぼくはといえば、年末の大掃除に苦慮しているところだった。
どうして年末は掃除をしなければいけないのかよくわからないが、普段から決してマメではない性分のため、こういう機会でもないと綺麗にしようという気が起きないだろう。まだ越してきて間もなく、大掛かりな掃除道具を揃えるのを後回しにしていたので、慌てて近くの生活用品店に駆け込む。
部屋のゴミ出しから水回り、ふだん放置していた場所を丁寧に整頓していく。同時に、自分の頭のなかもなんだかクリアになっていくのを感じた。こんなことなら、普段からきちんとしていればいいのに・・・ぼくは自分にむかってつぶやき、軽くため息をついた。
ふと、実家に帰ったら姪っ子にお年玉をあげなくちゃならないことを思い出した。億劫だったが、ぼくはポチ袋を買うためにもう一度出かけることにした。マフラーを巻いて、無印で買った安いメルトンコートをはおる。
最寄りのコンビニに行くと、ありがたいことに年賀状やポチ袋の棚が特設されていた。ポチ袋は、ポケモンやディズニーのキャラものの、可愛いやつがたくさんあり、思わず目移りしてしまった。どれが一番喜んでくれるだろうか。
選びながら、いつのまにあげる側になってしまったんだろう、と思わず苦笑した。もう自分もいい年齢なのだが、なかなかいまだに大人になった気がしない。大人としてやらなければならないことや振舞いはよく理解していたが、実際にそれをやるのはけっこう大変だ。
そろそろ、姉妹で「違い」を気にしたりするのかな、とぼんやり思った。姪っ子は二人いるのだ。少なくとも、上の子はもう「お年玉」の概念を十分に理解しているだろう。そのうち、金額とか、入れる袋の種類も考えなきゃな、などと思いながら、今回は全く同じキャラもののポチ袋を二つ選んだ。
今年も、あと一日。今日はなにを食べようか。
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