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2020.07.06

起きたら外は暗いまま
寝過ごしたと思ってドアを開けたら 東京はなかった

東京なんてなくなっていて欲しい。そう思いながら目を覚ました。外は暗いまま、でもただ引くほどの雨が降っていただけで、街はそう簡単にはなくなってくれないということを嫌でも思い出させた。どんなに雨が降っていようと、この街も、当然ながらそこに生きる人たちのあれやこれやも、職場に向かう電車も線路も、そしていつか話してみたいあの人も、残酷なまでに昨日と同じ水準で存在していた。

前向きなものも後ろ向きなものも、変化というものは一夜にして起こるわけではなく、この東京は夜のうちにユートピアになることはなければ、電車に乗っている間に廃墟になることもないのだ。ここにあるのは地味で忍耐を要する緩慢な前進と、こちらの苦しみを都度確認するかのようにじわりじわりと首を絞めるかのような怠惰な後退であり、両者による長きにわたる綱引きである。後者が優勢です。前者も頑張ってください。体育委員の実況が力なくグラウンドにこだまするが、耳を貸す者は少ない。

ぼくはね、今日も牛丼を食べたんですよ。アクリル板に挟まれながら。すき焼きなんか食べられないんですよ。三種のチーズ牛丼は今日も美味しかったんですよ。一緒に出されたタバスコの瓶がほとんど空で、思い通りの量はかけられなかったけども、それでも美味しかったんですよ。お腹が空いていたからって特盛を頼めるぼくは恵まれてるんですよ。あるいは、こういう文章を自由にかけるぼくは恵まれてるんですよ。

人と同じことはやらないけど死ぬときゃ一緒がいい

豊かさの平等は求める質と量が人によって違うから諦めてもいいけれど、破滅と死だけは平等に訪れてください。これは求めすぎでしょうか?

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