宇宙

こころの調子が悪いとき宇宙のことを考える。こんなかんじで。何もないところに浮いている。じたばたしても無駄。どこにも触れないし進まない。何も感じない。だから諦めて、身を任せる。
眠れないときに全身を弛緩させながらぼやぼやとそんなことを考える。

高校のころ国語の先生が、理系クラスに向かって
「君たちはいいね。何か心に陰りが生まれそうなとき、宇宙や数字のことを考えればいいから。哲学を専攻する学生は自死を選ぶこともままある。この話は悪い意味じゃなくて、バカにしてるわけじゃなくて。とてもいいこと。」
といった。その言葉は当時の僕の気分を害してバカにした印象を与えたけれど、いまでも記憶に残っている。

こころの調子が悪い。こころの不調からくる吐き気に悩まされ、毎日嘔吐と戦い、不眠と共に夜を明かし、動悸と共に一日を過ごす。
でもきっと大丈夫。金曜日には心療内科に行って、きっとこころが楽になる魔法の薬を貰えるんだろう。

これで、楽な死に方を調べなくても、少しづつ苦労して生きていけばいい。少しづつ苦労して生きていくのが、おれみたいな階級の比較的恵まれている人間には一番適している生き方なんじゃないかと思う。

終わりのない劣等感と考えてもしょうがない後悔が背後から迫り、頭の奥から死にたい死にたいと聞こえる。比喩ではなく本当に聞こえる。本当にこころが壊れてしまったんじゃないかと思う。

今日もモンスターを飲んで読み進まない課題に取り組む。

みんなもやっぱりあるのかな。死にたい死にたいって聞こえてくることが。近くのコンビニから帰る途中、足が動かなくなって、何分間もその場に立ち止まったまま動けなくなることが。布団に入ると動悸が止まらなくなって、布団から出ると暖房の効いた部屋なのにガタガタ震えが止まらなくなることが。

自分だけが不幸だと思いたくはないものね。