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書く練習(4/7)

女「まだやってたの?」
男「ごめん、起こしちゃった?」
女「ううん、平気。ごめんね、気、使わないで。」
男「いやいや、ごめんね。」
女「また飲んでる。」
男「うん、ちょっと不安で。」
女「やめておきなよ。ほんとに死んじゃうよ。」
男「平気だよ。」
女「平気じゃないの。」
男「ごめんって。怒らないで。」
女「怒ってないけど。」
男「ごめんね、電気消そうか?」
女「平気。ちょっと起きる。何か飲む?」
男「あっちゃんは?」
女「私ホットミルク作る。ゆうくんも飲む?」
男「おれコーヒー飲みたい。」
女「もうそれ飲んでるからコーヒーはダメ。紅茶淹れるよ。」
男「平気なのに。ありがとね。」

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女「お説教みたいに感じてほしくはないんだけどね。」
男「うん、わかってるよ。」
女「ほんとに、死んじゃう人とか、いるんだよ。」
男「平気だよ。それ外国とかの話だもん。」
女「でもゆうくんずっと寝てないし、いつも眠そうで辛そうだし。」
男「ごめん、心配かけちゃってるか。」
女「私にごめんじゃなくて。」
男「うん、ごめんね。」
女「この前佐藤さん言ってたんだけどね。佐藤さんも毎日沢山飲んでたんだって。そしたら、一日中眠くって、で、動悸が止まらなくなるんだって。ずっとドキドキして。」
男「うわ、わかる気がする。」
女「それで、結局なんにも集中できなくなって、夜中机に向かいながらずーっとぼーっとしてるのを繰り返してたんだって。それ聞いてほんとに怖くなっちゃって。ゆうくん絶対そうなるもんって。」
男「おれはまだ平気だけど。」
女「まだ、とかの話じゃないよ。ゆうくんタバコもすごいし。ほんとに生き急いでる感じして。」
男「生き急いでるかぁ。確かになんか、寿命すり減らしてる〜って感じる時ある。」
女「笑い事じゃないんだよ。」
男「そうだね。」
女「ほんとに死んじゃったらどうしようって、ときどきほんとに悲しくなっちゃうんだから。」
男「うん、ごめんって。」
女「たまにはこれくらいキツくいっとかないと、ゆうくんすぐ無理に頑張っちゃうから。ごめんね。」
男「ううん。ありがと。」
女「…」

男「ほんとに、平気だよ。ありがとね。」

男「ほんとに、平気だから。」

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男「死んじゃったらさ、死んじゃっただからさ。それはそれでじゃない?って思う時、ある。」
女「…」
男「実際、めちゃくちゃ忙しくてさ。ひとりで夜中ずっとほんとに辛いって思うこと、ほんとにあって。」
女「うん。」
男「だからあっちゃんいてくれる日、ほんとに、嬉しくてね。」
女「うん。」
男「死んじゃう人って、ほんとにいるじゃない。ほんとに死んじゃうんだぁって思うけど。おれは別にそうしようって決めてできないと思うけど。なんか。」
女「ゆうくん、」
男「ほんとにさ、別に、もうだめだーって。思うわけじゃないんだけど。全然。俺なんか普通じゃんって思うけど。でも、なんか。」
女「うん、うん。」
男「なんか、結構、きっついな〜みたいな。わかるな〜って思うこととかも、全然あるし…。…」
女「うん。うん。」

女「大丈夫だよ。大丈夫。大丈夫だよ。」

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女「ゆうくんにね、こんなことして、とか、こんなことしちゃだめって、何か思ったこと、ほんとにないんだよ。別に、ほんとにムカつく〜って思うことも、ほとんどなくてね。ただ、私時々とっても寂しくなるの。ゆうくんひとりで生きちゃってるなって。もちろんね、私だってひとりで生きてはいるんだけどね。そうじゃなくってね。」
男「ごめんね。」
女「大丈夫だよ。大丈夫。」

女「ゆうくんさ、友達いないですって言う人嫌いって言ってたでしょ。私、あれ好きなの。じゃあ友達だって思ってた人の気持ちはどうなの?って。本当にそうだよね。私、友達に友達いないって言われたら悲しいと思う。」
男「うん。」
女「私もね、大学入って、友達全然いなくってって、言うようなタイプだったから。ゆうくん、素敵だなって、思ったんだよ。私といる時も、友達といる時も、優しい。優しいって、お年寄りに席譲るみたいなことじゃないんだよ。わかる?」
男「わかる、と思う。おれ優しくなりたいって、ずっと思ってるよ。」
女「私にとってはね、ゆうくんすっごくやさしいよ。大好きだよ。」
男「うん。」
女「ゆうくん、いっぱい頑張ってるのも、すごいよ。」
男「すごくないよ。」
女「すごいの。ゆうくんは頑張っててすごいの。」
男「すごくないよ。」
女「もう、私の好きな人の悪口言わないで。」
男「…ごめん。」
女「ゆうくんがとっても辛いなって思うことがあるのも、わかるよ。わかってないのかもしれないけど、でも、そうだよなって思う。でもね、ゆうくん、辛いなって言っていいし、私には何もできないけど、こうやって、一緒にいられるからね。」
男「あっちゃんに迷惑かけちゃうね。」
女「ほら。絶対そうやって言うと思った。私はね、そうやって、ゆうくんがひとりで辛く思い続けるの、辛いんだよ。友達いないんですって友達の前で言ってる人と一緒なんだよ。私じゃ何もできないかもしれないけど、力になりたいって思ってるし、私が辛い時はゆうくんに助けて欲しいなって思ってるんだよ。」
男「あっちゃんにいっつも助けられてるよ。」
女「ほんと?そうなら嬉しい。私、助けたいんだよ。わたしもゆうくんみたいに優しい人になりたい。私もそう思ってるんだよ。」
男「うん、ありがとう。」
女「だから、ひとりで苦しいなんて、言わなくていいよ。私夜中いつ起こされても怒らないよ。でも、起こさないで、今みたいにゆうくんひとりで泣いてたら私怒るよ。」
男「うん。」
女「死んじゃいたいって思うのはしょうがないと思うけど、ほんとにゆうくんがひとりで死んじゃったら、私、すっごく怒るよ。」
男「死なないよ。」
女「わかってるよ。絶対ダメだもん。そんなの。」
男「うん。」
女「でも、一応言っとく。絶対許さないから。すごい悲しいけど、悲しんであげないし、私一生辛いんだから。」
男「うん。」
女「友達のために、いっぱい優しいゆうくんなんだから、私にも優しくして。優しくするって、荷物持ってくれるとか、車道側歩いてくれるとか、生理の時気を遣ってくれるとか、そういうことを言ってるんじゃないよ。」
男「うん。」
女「わかってる?」
男「うん。…うん。わかってるつもりなんだけどね。でも、それすごく難しいよ。」
女「そうだよね。私もできる自信ない。でも、2人で頑張るの。頑張りすぎて辛くならないように、2人とも頑張りすぎないで支え合うの。」
男「うん。」
女「だから、大丈夫だよ。ゆうくんはいっぱい頑張ってるよ。」
男「うん。」
女「今日は、もう一緒に寝よ。」
男「…。」
女「ちゃんと明日起こしてあげる。ね?」
男「うん。」
女「えらいね。じゃあ、それしまって。」
男「でも、眠れるかな。」
女「眠れなくってもいいから。一緒に隣にいて。おねがい。」
男「うん。わかった。」
女「ここにいるよーって、手とか繋いでて。」
男「うん。わかった。」
女「よかった。あした私片付けるから。ゆうくんこっちきて。」
男「うん。あっちゃん?」
女「なあに?」
男「ありがとう。あっちゃん。好きだよ。」
女「うん、私も。好きだよ。」
男「おやすみ。」
女「おやすみ。」

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